2005年12月30日(金曜日)
1317.2006年の事その?ダイヤモンドキーパー
何にでもそうであるが、
ビジネスにとって『信用』は何よりも大切なことである。
前話の様に、「メイヨウ チャン」が日常的に行なわれているところでは、
さほどの事でもないかもしれないが、
信用で築き挙げられてきた日本の社会では、「信用」は特に大切なことであろう。
車に関わる「信用」といえば、
日本では、それがカーディーラーに一身に集まっているように思われる。
信頼性の高い日本車の生産者であるカーメーカーの信用が、
そのままカーディーラーにも集まっているのだろうか。
私もその一人であったが、
カーディーラーが何か悪い事をやったら、
カーメーカーがその責任をも持ってくるという錯覚があり、
それが本当である一面もあるが、
その信用が過大であり、非常に根深いものであることも事実だ。
そんなことを改めて痛感したのが、
カーディーラーが新車販売時にお勧めする「5年間保証のコーティング」であった。
私たち車の美装とかコーティングに関わるサービスのプロの端くれであり、
ケミカルに精通している者として、
「5年間もその性能を保証できるようなコーティングなんてありっこないじゃん。
化学的に絶対無理だよ。」
こんなのはディーラーの信用だけで売れている欺瞞性に満ちた商品であって、
そのうちに消えてしまうとタカをくくっていた。
その証拠に、
「5年間保証のコーティング(以下5年コーティング)」を施工した後を分析しても、
特に特徴があるわけでもないポリマー系の被膜が
薄く着いているだけであり、
「定期的、あるいは汚れたらメンテナンス剤で磨いてください。」
とあるメンテナンス剤も、
ありふれたクリーナーワックスであり、何度かそれで磨くと、
元のコーティング剤が痕跡も無くなくなってしまうことを知っていた。
これらのコーティングが「5年間輝きが続く」と表現している文言に対して、
誇大表現であると、現在裁判で係争中のコーティングもある。
「たしかに、クリーナーワックスで定期的に磨けば、
ある程度の輝きは続くかもしれないが、
それは、あくまでクリーナーワックスの輝きであり、そのレベルは低く、
最初に施工した5年コーティングによる物ではない。
故に、あたかも、その5年コーティングが所以で輝きが続くとの表現は違法である。」
その主張はもっともであると思うし、
一審ではその主張が通り、訴えた側が勝訴したが、
二審では逆にその訴えは退けられ、現在最高審で争われている。
私は、車の美装のためのコーティングによるベストケアは、
いまだにKeePreのコーティングシステムがベストであると確信している。
最初に流動性のない連続的な被膜をきれいにした塗装の上に形成して
一ヶ月余りから二ヶ月位の定期的に、
その被膜の上に着いた汚れと、
紫外線などで痛んだ被膜上面を若干分取り去りながら、
最初に造った皮膜をどんどん強化していくことが、塗装の改善につながり
いつもきれいで、新車のような輝きを維持する事になる。
これがKeePreの「塗装面改善の理論」だ。
これに、どんな作業段階でも必ず水を使っていく手法が加わって、
塗装面をきれいに維持する機能を倍化させている。
私は、いまだにKeePreのコーティングケアシステムがベストであると信じている。
いかに強い皮膜を塗装上にコーティングしても、
その表面は、紫外線や酸性雨、ホコリとの摩擦で徐々に痛んでいく物であって、
美観も5年間に5年分下がっていく物だ。
それをいかにメンテナンスしたとしても、
クリーナーワックスで磨いたのではひとたまりもない。
5年コーティングなどというものを頭から信用していなかった。
しかし、ディーラーの信用力は私たちの想像よりもはるかに大きいのか、
5年コーティングの類は、その後もどんどん普及し、
どのメーカーの、どのカーディーラーもが、
新車販売時の付加価値商品として取り扱うようになり、
消えてしまうどころか、
今では新車販売の50%以上の車が施工されるようになっている。
しかし、コーティングそのものの性能は、
これ等の商品が出始めた何年か前に比べてさほど変わっているわけではない。
なぜ、こんなに普及したのか。
塗装の質が上がったこともある。
塗装が良くなっているので、
コーティング効果があるように感じるのかもしれない。
いや、特のその要因が大きいのかもしれない。
そういえば、このところの新車の塗装は劇的に良くなってきている。
事情通に聞くと、
ここ十年以降の塗装の品質の向上は目を見張る物があり、
塗装に使われる顔料の進化、マイカの進化などで発色が良くなり、
特に近来、乗用車の塗装の90%以上が、ソリッドの上に“クリアー”が塗られ、
その透明なクリアー塗装が組成密度の高いハイブリッドになってきているという。
その結果、塗装の滑らかさが増し、なまめかしい艶が得られているという。
比較的濃い車などではその効果が高い。
赤い車では、昔は、古くなってくると顔料が表面に出てきて、
洗車拭き上げ時に、赤い色がタオルに着くような事もあったが、
そういえば、今ではそんなこともすっかり無くなってしまった。
新車ではドキッとするような真紅を見ることがある。
シルバーでも、その微妙な発色で何種類も揃えてあるのが普通になっている。
また、20年ほど前をピークに白色車が減ってきていることも無視できない。
今ではひょっとすると30%を切っているのは、
若い女性が18歳で免許を取ってすぐに車を買えるようになって、
その若い女性がカラフルな色の車を好んで買う。
特に女性層では、色の良さが購買の動機になっており、
“塗装色と艶”はメーカーも力の入れどころである。
そんな劇的に良くなりつつある塗装に、
ディーラーが超長寿命コーティングを、付加価値として販売して、
良くなった塗装の艶と発色効果で、
コーティングが効いている様な錯覚を得ているのかもしれない。
いずれにしても、
5年コーティングの類が、
新車販売時の50%以上の車に施工されていることは事実であり、
立派なマーケットを形成していることも事実である。
その規模は想定約700億円。
決して無視できない大きさである。
どうしようかと長い間思案していた頃、
出会ったのがアクアキーパーであった。
これは、ナノのレベルの非常に薄いガラス(SiO2)の非結晶体を、
電気的に塗装面にメッキするようなイメージでくっつけていく物で、
被膜としての厚みは極薄で、被膜として目で見ることは出来ない。
また、硬さも塗装の硬度に依存して、被膜によって塗装表面が硬くなることはない。
しかし、塗装上にくっついたガラスが、
塗装表面の性質をガラスの表面のように変えてしまうものだ。
つまり塗装という有機物から、ガラスという無機物の表面の性質になる。
これは洗う時にはっきりと分かる。
泡とラ・モッブを使って洗うと、明らかにツルツルになっている。
ガラスは水に濡れると非常に良く滑るようになるのだ。
その結果、アクアキーパーの施工後は、
有機物のように汚れを吸い寄せる性格がなくなって、
驚くほど汚れなくなる。
ある程度汚れても、雨などが降るとかなり落ちてしまって、
その効果は、洗車の間隔が大幅に広がるほど劇的だ。
しかし、ガラスなどの表面に脂分がこびりつくように、
アクアキーパーもまったく汚れないわけではない。
そんな時は、洗剤で洗えばそれで落ちてしまう。
「汚れないコーティング」として、これには私も驚いた。
加えて、発色が素晴らしい。
塗装の持っている本来の色を、より引き出してくれるようなそんな効果があって、
鈑金塗装の経験が深いスタッフが「これはすごい!」と驚いていた。
最初の施工から半年ごとにアクアキーパーメンテナンスとして、
ガラスの皮膜の強化を行なう。
それで半永久的にアクアキーパーそのものの効果が続くというものだ。
ただ、KeePreのように
ポリマー皮膜が強化された時の透明感のあるツヤがあるわけでもないし、
撥水性があるわけではない。
水が捌けていくような疎水性という状態になる。
しかし、それは好みの問題であって、
KeePreの塗装本来が持っているような撥水性とツヤが欲しい人もいれば、
アクアキーパーのように良好な発色と、「汚れないコーティング」が欲しい人もいる。
それぞれの好みの問題であって、
同じ次元において優劣があるわけではない。
かなりの時間テストした上で、約2年前アクアキーパーとしてデビューしたのだ。
これなら、色々な5年コーティングのように、
メンテナンスでクリーナーワックスが元々のコーティングを取り去って、
あとはクリーナーワックスのツヤが残るだけで、
それで5年間輝きが続くというような詭弁を弄しなくてもいいわけだ。
一方、超長寿命コーティングとして別の方向からの開発も進んでいた。
いわゆるボディガラスコーティングと呼ばれ、
Si(ケイ素)とO(酸素)が網目状に構造物を作り、
一般に言うところのガラスに似た無機物の皮膜を造る物だ。
元来、無機物を塗装のような有機物の上にくっつけることは非常に困難なのだが、
シランカップリング剤という無機に付く基と有機に付く基を持った物質にする事によって
無機のガラス様の皮膜を、有機の塗装上に形成する。
これは非常に硬く、
4Hとか中には8Hとかの硬度を誇っている物もあって、
ホコリなどとの摩擦による表面劣化を防ぐことが出来る。
また、無機物本来の性質である紫外線や酸性物質に対する優れた耐久性があり、
紫外線とか酸性雨による塗装の劣化も防ぐことが出来る。
また一番の特徴として、
屈折率の高いガラス様の透明な皮膜を厚く形成することが出来、
ポリマーである透明なクリア塗装の屈折率よりも高いので、
光の当たり具合で、まさに輝く透明感を得ることが出来ることだ。
(高密度で屈折率が高いダイヤモンドが、普通のガラスよりも輝いて見える事と同じ)
いいことずくめのボディガラスコーティングであるが、
もちろん弱点もある。
塗布作業が難しいということだ。
塗装上に滑らかな皮膜を形成するには、最初は液体でなければならない。
液体が固形物として被膜形成されていく過程を架橋反応という。
分子通しが橋を架けるように結合していく過程だ。
使用前にボトルの中で液体にしておくには、それを阻止しておかなくてはならない。
多くの場合、その役目をIPA(イソプロピレンアルコール)が果たし、
ボトルの中で分子通しをバラバラにしている。
(ボディガラスコーティングの匂いを嗅ぐとほとんどがIPAの臭いがする。)
それを塗装に塗布する事によって、空気に露呈する事になって、
IPAが蒸発し、架橋反応を阻害されていたケミカルが早速固形化していく。
うまく塗布されたケミカルは、
初期の反応以後も空気中の酸素によって、反応が進み、
一定の時間を経て完全に硬化する物だ。
初期の頃の製品では硬化が非常に早いので、
塗ってすぐ固まってしまうものが多く、とても手塗りでは使うことが出来ず、
初期のボディガラスコーティングは、塗装のスプレーガンで塗布されていた。
しかし、その技術は大変に難しく、
塗装のプロでもかなり苦労していたらしい。
もちろん専用のブースが必要となってくる。
SSレベルの設備ではとても無理であり、技術も熟練を要していた。
そのようなケミカルがだんだん進化してきて、
手塗りの製品も出るようになってきた。
初期の架橋反応のスピートのコントロールと、
ケミカル自体の液体の滑り、粘土などのコントロールが手塗りタイブのノウハウだ。
遅すぎても早過ぎてもいけない。
皮膜の内部硬化よりも、
シランカップリングによる塗装との密着スピードが早過ぎれば、
せっかく皮膜が出来ても“ムラ”が出る。
この“ムラ”が出ると、そうそう簡単には取れないものになってしまうのだ。
逆に遅すぎれば、被膜形成すべき分まで拭き上げの時に取り去ってしまう事になり、
ボリュームのある皮膜が造られない。
つまり、独特のツヤが得られないという事になる。
このバランスが非常に難しく、
各メーカー、色々なシランカップリング剤などを用いて
それぞれのノウハウを持っている。
SSの環境の中で、いかに失敗せずに塗布できるかは、
これは重大な課題であるのだ。
加えて、撥水の問題。
シランカップリング剤そのものにF(フッ素)を持っているので、
そのFをどのように表面に立てるのかで、
撥水度が変わってくる。
従来、ガラス系のコーティングは撥水しない物が多かったが、
やはり水玉コロコロの嗜好が日本人は強い。
この辺をどう実現するかも独特のノウハウの賜物である。
もう一つ、無機物を塗装上に貼るわけだから、
ウォータースポットの問題もある。
ウォータースポットとは、水道水などに多く含まれているミネラル、
カルシウムとかマグネシウムなどが、水が乾燥する段階で析出し、
それが塗装上に強くくっついてしまう現象だ。
通称「ウロコ」などと呼ばれている物である。
これは大変強固にくっつき、しかも無機物であるだけに溶剤で溶かすことも困難だ。
撥水を強くすればするだけ、このミネラルが多く塗装上に残る事になり、
この問題は深刻で、
このウォータースポット対策もノウハウの一つである。
このように非常に大きな効果を持つボディガラスコーティングは、
その反面、大きな困難も秘めており、
そうそう簡単に開発ができるものではない。
私たちアイ・タック技研?も、
長い時間を掛けて開発を進めてきていた。
そして苦労して苦労してやっとここまでこぎつけた。
開発ナンバー「VP-33」
日本のトップレベルに充分に届き、あるいは凌駕したと自負している。
その結果が、現在快洗隊直営店で実施している「ダイヤモンドキーパー」で、
その反響は、想像通りのものであった。
直営店7店で、販売実行2週間で施工・予約合わせて約60台。
平均単価約5万円で300万円の売上だ。
年末である12月は7店合計で4,000万円の売り上げを目指しているので、
ダイヤモンドキーパー効果は、わずか10%に満たない程度であるが、
このいう類の商品に対する確かな欲求が、マーケットにあることだけは実感している。
・紫外線・酸性雨に対して圧倒的な耐久性。
・高い硬度による摩擦に対する耐久性。
・高い密度の透明皮膜によるポリマー系とは異次元の輝き。
このような圧倒的な効果を、
ディーラーの圧倒的な信用によって販売されているいわゆる5年保証コーティングに、
どのような展開でぶつけていくことが出来るのか、
それが、これからのダイヤモンドキーパーの本番なのです。
そして、
この施工のためには、研磨技術の習得も必須となる。
SSでは、カーディーラーのように新車ばかりを扱っていればいい訳ではない。
お客様の要望によっては、かなり痛んでいる車も施工の対象だ。
その痛んだ塗装を復元させる研磨技術も習得しなければ、
「スイマセン、新車しか出来ないんです。」となってしまう。
そのためにも、
今回の宿泊設備を持った中央トレーニングセンターの開設も必要だったのだ。
快洗隊でダイヤモンドキーパーを施工し始めたことを知ったたくさんの方から
お問い合わせをいただいているが、
いま少しお待ちください。
きっと近々に皆様へのご提供を開始します。
と同時に中央トレーニングセンターの開設を待たずして、
その塗布技術、研磨技術の研修講座も各地で少しずつ開設していきます。
しかし、それにしても、
KeePreは、あまりにも簡単に、あまりにも短時間で、
理想のボディーケアが出来る優れた商品である事に、改めて気付かされた。
ダイヤモンドキーパーの艶は異次元のものであり、
素晴らしい物であるが、
私はやっぱり塗装本来の艶を保つKeePreが好きである。
あるいは、あまり洗わなくてもよくなってしまうアクアキーパーも好きである。
でも、やっぱりKeePreが一番好きかな。
人それぞれ、好きな物それぞれということです。
今回の開発テストに、もっとも貢献してくれた増田君。
今日から快洗隊を回り始めた。
朝の鳴海店。大変忙しそうで安心した。
鳴海店だけのドライブスルー。いつも2~3台の待ち車がいたが、
驚くほどのスピードで流れていく。これは本当にすごいと思った。
私はお客になって見た。
受け入れのソフトに問題をいくつか感じ、指摘したが、
それが良くなったらまた一段とものすごい結果が出そうである。
車の中から見たドライブスルーの洗車
続いて刈谷店。
この店は一体どうなっているのだろう。
店の中にここまで入るかという感じで、ギッシリ車を詰め込んで、
みんなで黙々と、淡々と洗車やコーティング、室内清掃が行なわれていた。
本文とも快洗隊ともまったく関係ないが、
中国・青島のガソリンスタンドで見た手作りの三輪車。
これであの中国のラッシュの中を走るのは絶対怖いだろうと思った。
北京から帰って来る時、
日本海側福井から日本を輪切りにするような感じで進入した。
最初白山連峰が見え、次に琵琶湖周辺の雪に埋もれた町を見た。
うれしかった。