2005年12月03日(土曜日)
1297.俺は走らないから
今日の土曜日の事務所はにぎやかだ。
商品の出荷はないので、女性陣はほとんどいないが、
役員さんたちをはじめとして、
出荷の責任者、企画の責任者、管理の責任者たちなど
普段、日常の仕事に振り回されている責任者たちが、
ゆっくりと自分の仕事をこなす為に、事務所に出てくる。
土日出勤をしても、休日出勤手当てなど付かない人たちが主だ。
多分、全国の営業社員もほとんど出ているだろうし、
快洗隊のスタッフも社長をはじめ全員出勤している。
いよいよ12月である。
そう思っていたら、出荷の女性事務員さんたちも昼から出勤してきたのだ。
出てこないと思った私が間違っていた。
この会社ではほとんどの人が、
土曜日でも必要があれば平気で出勤してくれている。
まったく頭が下がる思いである。
私も、35年前にガソリンスタンドに勤務するようになったころは、
みんなが休んでいる土日に仕事であることが嫌であった。
やはり、みんな友達と遊びたいからだ。
でも結婚してからは、
友達と遊ぶよりも嫁さんとどこかへ行くことのほうが多くなって、
行った先の観光地であったり、そこへ行くまでの道路が、
土日よりも平日のほうがずっと空いていて、
平日が休みであるほうが楽ちんであり“得した”と思うようになった。
それが、数年前、
現場を離れて事務所で仕事をするようになってから、
土日などが休みになって、(たまにだが)
行った先々、特に観光地などが大変混んでいて、うんざりすることを知った。
だから、
今では観光地に行くことが、すっかり無くなってしまった。
何でも得な面もあれば、損な面もある。
損な部分だけを考えれば、何をしても不幸であり、
得な部分を考え、それを活かせば、誰でも幸せになれるのかもしれない。
なんかの教訓みたいなことを書いてしまったが、
そう書いたハナから
私は明日の日曜日、遊びである。
言っている事とやっている事に矛盾を感じるが、
まあ、こんなこともある。
ダメな社長かな。m(__)m
実は、明日、ひょんなことから、
またMINEのジュニア耐久に出場する事になってしまった。
畠中君がMINEサーキットの仲間から誘われて、
どうしても出たくなったからだ。
私たちにとってのMINEサーキットは、
今年の春のジュニア耐久で最後にするはずであった。
十勝で使った私たちのインテグラを、
富士スピードウェー・FISCOに持ってきて、
これからはFISCOを私たちのホームグラウンドにする事にしたからだ。
しかし、
私たちのインテグラのNプラスからクラス4への変更も終えて、
一昨日、FISCOのコースライセンスを取りがてら、
シェイクダウンの予定であったが、
前もってコースに専有走行の予定が入ってしまい、
私たちはコースライセンスを取得するだけになってしまったのだ。
だから、この日のシェイクダウンはオアズケとなった。
ガッカリしていたところに、
MINEからのジュニア耐久出場のお誘いが入り、
欲求不満がたまっていた私たちは、
最後であったはずのMINEで、また、急遽、走る事になったわけだ。
今日の午後4時前まで仕事をして、
そのあと、以前から予定されていた同窓会に出て、
名古屋⇒新山口への直行最終便の「のぞみ」に飛び乗った。
今はその新幹線の中である。
8ヶ月ぶりのレース走行。
それも、行ってすぐに予選と決勝。
ぶっつけ本番もいいところである。
しかし、私は畠中君に、
「俺は走らないからな。」と宣言してある。
サーキットにも行くし、予選もとりあえずは走るが、
決勝では走らないと宣言したのだ。
若くて丈夫な畠中君と山本君が、半分ずつ、好きなだけ走ったらいい。
私は、彼らが下痢か骨折で動けなくなった緊急時のための“控え”選手となる。
そう宣言したのだ。
天気予報で、日曜日の福岡地方は「雨」であると出ていた。
MINEサーキットは、福岡の天気予報に準じている。
雨のレースなんて、とんでもない。
私は絶対にいやだ。
自分の前に車がいれば、水しぶきで前方の視界がまったく無くなってしまうので
コース横の景色を見て、見当でブレーキを踏むのだそうだ。
そんなキチガイじみたことなど、私に出来るわけが無い。
雨のコースを練習で走ったことがあるが、
限界状態で走るサーキットでは、まるで氷の上を走っているようで、
とにかくよく滑る。
氷の上を走っているような感じだ。
フレーキを強く踏めばたちまちロックして滑るし、
アクセルを不注意に踏んでも、首を振ってあっという間に滑るし、
ハンドルをうっかり切っても滑る滑る。
そんな状態で、
水しぶきで前が見えないまま、コーナーに突っ込んでいくのだ。
しかも、闘争心剥き出しのライバル達と闘いながらである。
とても、普通の神経の人間のすることではない。
私は、「俺は走らないからな。」と宣言した。
ヘルメットとレーシングスーツとシューズ、グローブも持っているが、
レースで雨が降っていたら、
私は絶対に走らないつもりである。
そんな宣言をしたら、
畠中は「そうですか、仕方ありませんっ。」とマジな顔で言いやがるし、
山本は「首を痛めていて、痛くて半分なんてとても走れないです。」と言うし、
ああっいやな奴らだ。
どうしても、怖がる私を、雨のコース上に引きずり出すつもりである。
私を恐怖に落としいれて、
奴ら、面白がるつもりでいるのか。
何で、決勝の日曜日に限って「雨」なんだろう。
神頼みのグリット吉田も、「行けません!」と力んで言うし、
だんだん万事休すになってきた。
しかし、それにしても今回のジュニア耐久レース、
全部で120周、多分4時間はかかるレースとなっている。
ジュニア耐久としてはいまだかつてない長い距離で、スーパー耐久とほぼ同じだ。
たしかに、二人で走るのはつらいかもしれない。
なんちゃって、
二人とも、スーパー耐久に出たいと熱望しているのだ、
それがこのレースを二人で走りきれないのでは話にならない。
畠中と山本が、マジな顔をして見たり、泣き言を言って見たりするのは、
私を引きずり出そうという魂胆からに決まっている。
しかし、私は、サーキットに行ったが最後、
彼らの術中にはまってしまうであろうことも確かだ。
明後日の朝、新しい話がアップされていなかったら、
私は、畠中と山本に無理やり雨のレースに引きずり出されて、
恐怖のうちに死んでいったと思ってください。
やっぱり、最初に誘われた時に
「仕事が優先だ、今はそんな事に付き合っていられるか!」と、
きっぱりと断ればよかった。
つい、スケベ根性を出して、
「レース?出る?いいねえ」と言ってしまった自分のバカさ加減に悔まれる。
今、私は本気で雨のレースを怖がっているのです。
駄目もとで
明日の朝、「俺は走らんからな!」と、もう一度言ってみようか。
ああ、いとしのチーちゃん。
俺はお前を置いて、明日、雨のMINEで逝ってしまうかもしれないのだ。