2005年08月29日(月曜日)
1239.場内放送と楓と光
ちょいとサーキットに行ってきた。
会社から40分足らずの岡崎に近いサーキット。
全長たった1kmあまりで、
それも、距離をかせぐためにコースをグニャグニャと折り曲げてあり、
わずか1kmの中にヘアピンコーナーが3つもある。
タイヤに負担がかかるだけで、
4速はおろか、2速⇔3速のシフトアップとダウンがたった一箇所で、
コースの90%以上を2速ホールドで走る。
カートならまだしも、4輪のレースカーによるレースはとても出来ない。
走るほど、逆にストレスが溜まって来る様な、何ともせせこましいコースである。
前に2回ほど走ったことがあって、
ここはもう来るのを止めておこうと思っていたが、
また来る事になった。
娘の旦那さん、つまり婿さんに「サーキットを走ってみないか?」と誘ったら、
「おもしろそうですね。」と乗ってきたので、
大喜びで、サーキット行きの計画を立てたのだ。
初めは福井の「高須サーキット」に行くつもりであった。
ここは全長が1.5km以上あって、
少し長いストレートと、ちょっと面白いコーナーもあり、
三つもヘアピンがあるのはいただけないが、
2箇所の直線で4速まで入り、シフトアップとダウンは7~8回もある。
それでも、やはり1.5kmあまりしかないコースなので四輪レースには苦しいが、
「軽四耐久レース」という面白そうなレースがあるそうだ。
福井のデザイン事務所プロデュースの今井さんも、
一度走ったのが病みつきになったのか、
この「軽四耐久レース」に出場のための準備を進めていると言っていた。
本当はこの高須サーキットに行くつもりで計画をしていたのだが、
婿さんが、前日、長距離を走ったあとであったので、
往復400kmの福井はちょっと気の毒だと思って、
急遽、近くのサーキットに行く事にしたのだ。
ここなら朝出て行って、午後早いうちに帰ってこられる。
ここのところスケジュールが密であった私も、「やっぱり近いほうがいいな。」と
あれだけ嫌ったサーキットに、またのこのこ出て行ったのだ。
走ったメンバーは、
私と、畠中君、婿さん、そして酒部君。
婿さんもサーキット走行は初めてだが、酒部君も初めて。
ちょっと何気なく誘ったら、酒部君はちょっと考え込んで、
「いいですか?僕も行って」と言う。
会社の人は、社長である私から誘われたら、
イヤであっても、付き合いで「喜んで行きます。」と言いそうで、
なるべくこちらからは誘わなかったのだが、
酒部君の場合はどうであったか。あとで判明することとなる。
朝、本社に集まり分乗して出かける。
サーキットに着いたのは午前9時前、思ったより早く到着してしまった。
9時からの一本に間に合うと言うことなので、
大急ぎで準備をして私と畠中君がコースに出る。
初めての婿さんと酒部君は、
講習を受けてコースライセンスを取らないと走れないので、とりあえず見るだけ。
まず畠中君。
のっけから飛ばす。
53秒台で何周か走って、すぐに52秒台に入る。ベストは52.4秒
次に私だ。
私はいつも畠中君の1秒ちょっと落ち。
体重差のセイだと強がりを言っているが、80%(70%?)は腕のせいである。
案の定、今日も1秒落ちの54秒台でスタート。
53秒台に入るが、52秒台にはなかなか届かない。ベストが53.2秒。
10時からの2本目はパスするつもりであったが、
欲が出て、やっぱり乗る事にした。
レーサーに変身したH.オサムは、とうとう51秒台に突入。ベストが51.67秒
次に乗った私も、何とかH.オサムの1秒落ちのノルマを達成すべくコースに出るが、
53.08秒がベストであった。
本当は、11時からのセッションはパスしたいところだが、
11時から11時45分までの1本を乗っていれば、
二人の10時半から講習が、1時間見当の11時半に終わるはずだ。
それからすぐに2人を乗せれば15分は乗せる事が出来る。
この日は、
午前9時、10時、11時からの3本が終わって12時から1時間コースが休憩。
午後1時からのセッションはあるが、
そのあとがレンタルカートになっていて、四輪のスポーツ走行はもうない。
だから、11時からの1本に少しでも乗せたいと思ったのだ。
ところが、待てども暮らせども2人が講習から帰ってこない。
11時半を過ぎ、やっと帰ってきたのが12時過ぎ。
講習に1時間半もかかった事になる。
コースライセンス=スポーツ走行のみの講習で、一時間半も何を話しているのか。
ちょっとあきれてしまった。
しょうがないので、11時からのセッションも結果的に私と畠中君だけで乗った。
タイム的には進展なし。
昼になってやっと講習から出てきた二人とその家族たちも一緒に、
コントロールタワー2階の喫茶でご飯を食べる。
カレーが甘かったのががっかりしたが、それでも腹ペコにはうまい。
いよいよ1時からのセッション。
この45分は、初めての二人だけに乗ってもらう事にした。
私たちはもう3本も走っているので充分だ。
さぁ、二人はどんな走りを見せてくれるか。
「1分が切れたら上等だと思うなぁ」
「ウ~ン、そんなもんでしょかねぇ」
「でも案外、55秒ぐらいまで行ったりして。」
「いや、それはないでしょう。」
「どっちにしても、全力でアクセルを踏めるかどうかだな~」
私たちは勝手に評論家のようなことを言いながら、
二人を送り出した。
婿さんが私のヘルメットを被り、酒部君が畠中君のヘルメットを被る。
コースに出て、最初の頃は1分02秒とか1分04秒とか予想通りのタイム。
それでも、全力で走っているのがよく分かる。
タイヤも派手に悲鳴を上げていて、
コーナーも激しく攻めたてている様子だ。
最初に酒部君が59秒台に入る。
すぐに婿さんも59秒台。
「ホウ、やるじゃん」と私たちが喝采を上げる間にも、58秒台と、
二人ともタイムを刻んでいく。
10周ほど回ったところで、まず婿さんが帰ってくる。
車を取り替えて公平に乗ろう、という最初の打ち合わせどおりだ。
ところが、
酒部君がなかなかピットに入ってこない。
畠中君が、ピットに入ってくるように合図を送るが、
「ダメですよ。こっちを見ないもの。ハッハッハッ」
57秒台に入って、
すさまじい勢いですっ飛んでいく。
私が酒部君を誘った時、「行きたい」と言ったのは、
私に対する義理立てではなくて、
本気でサーキットに行きたいと思ってのことであったようだ。
ピットにちっとも帰って来ようともせず、
嬉々としてコース上をすっ飛んでいる姿から、それは明らかであった。
とうとう56秒台に入ったころ、
やっと、年齢に比した体力が尽きたのか、酒部はクタクタになって帰ってきた。
ベストは56.27秒。大したものである。
今度は、帰ってきた酒部の車にすぐに乗込んだ婿さんが出て行った。
コースに出た途端に激しく攻めている。
明らかに酒部君をライバルとして意識している。
やはり、人間をもっともモチベートするのは競争原理であるのか。
何と、婿さんが、56.02秒をたたき出した。
と、「ハイ。今度はこっちで出て行って。」と言われて、
水を一杯だけ飲んで、ヒィヒィ言いながらコースに追い出されていった酒部君が、
狂ったようにコースを攻め立て、
55.70秒を出した。
二人とも45分の間に、ほんの少しだけの一服を入れただけで、
車を取り替えながら、続けて3回コースを走った。
その結果のベストが、
酒部君が55.7秒、婿さんが56.02秒。
あっぱれである。
面白かった。
自分で走ったより人が走っているところを見て、もっと面白いと思ったのは、
多分、初めてであろう。
しかし、このコースは実にうるさい。
4輪のスポーツ走行を走っていたのは私たちの2台と他のもう2台だけ。
場内アナウンスで、
1本目を走り終わったとき、
「今日の走行を走り終わった車両は、ピットからすぐに出してください。」
(その時、ピットに入っていたのは私たちの車だけであった。)
「オープン車は、幌を装着して走ってください。」
(その時、オープン車は私たちの二台の内の一台だけであった。)
「スポーツ走行は、長袖を着て下さい。」
(その時、半袖であったのは私とH.オサムだけであった。)
「コース上では、窓を閉めて走ってください。」
(これは直接、丁寧に言われた。)
「タバコは、所定の一箇所だけで吸ってください。」
(パドックの裏の“外”でタバコを吸うなと言われたのは、
日本国中のサーキットで初めてである。灰皿を手に持って吸っていたのに。)
「子供さんは父兄が手をつないでいてください。」
(パドック裏ではしゃいでいたのは、こやつらであった。)
H.オサムにこれでもかというほど似ているH.オサムの息子たち、“楓”と“光”)
私たちは、どこかで、このミニサーキットを、ナメテいたのであろう。
それが、どこか態度に出ていたのだろうか、
執拗に場内アナウンスでそのナメタ態度を指摘されたのだろう。
では、不愉快な一日であったのかというと、
まったくそうではない。
たしかに私と畠中はナメテいたので、
その場内アナウンスがまったく苦痛ではなかったのである。
「また、言っとるわ。」ぐらいにしか感じなかったし、
かえって、そういうアナウンスが場内に響くたびに、可笑しくってしょうがなかった。
こういうナメタ態度は本当に良くないと思ってはいるのですが、
遊びのつもりがそうさせたのでしょう。(^・^)
でも今日は、少しではあるが元気の素が体にたまった不思議なほど楽しい一日であった。
それにしても、サーキットも婿さんが現役のデカであることを知ったら、
びっくりしただろうなぁ。
(だから名前も書けないし、写真も載せられないのです。)
お盆も過ぎて、空気が爽やかになってきました。
夕焼けがとってもきれいです。
PS.
最近、猫のチビ(トンボの友達だったあの猫)がすっかり夜行性になってしまい、
昼間はすっかりごろ寝ばかりしています。
茶髪のヤンキー娘。
いくら呼んでも、うるさそうにちょっと顔を上げるだけ。
でも、夜になると、すっかり野生に戻って猛獣のような表情を見せます。