谷 好通コラム

2005年03月26日(土曜日)

1143.世界の洗車から?

中国に行き始めたのは、タオルの買い付けが目的であった。
最初は商社を間に入れていたのだが、
間に一つの会社が入ると、その意図が邪魔になって
話がスムーズに行かない。
そして、李さんを介して運命的な“陶さん”と出会いがあってからは、
直接に工場と話をするようになった。

 

私たちは、ただ単に安い中国製のタオルが欲しかったわけではなく、
洗車という一つの目的にぴったりの特別なタオルが欲しかったので、
製品の“開発”という工場との密接なコミュニケーションを必要とする過程を要した。
だから「直接」は、私たちにとって必須であったのだった。

 

その結果出来あがったのが「快洗Taoる」。
満足できるスペックであったが、
出来上がるまでに、なんと一年もの時間を要してしまった。

 

その間に、何度も中国を訪れることになって、
中国での知り合いも増えていったわけだ。
これも“直接”であったから、人脈が作れたと今では思っている。

 

※一年半前のタオル工場で、懐かしい写真だ。

 

 

色々な人と話をする間に、
「ぜひ、KeePreを広めてみたい。中国で売ってみたい。」との願望が起きてきて、
去年の上海におけるトレードショーに出る事になってしまった。
それから本格的に中国での販売活動が始まったわけだ。

 

中国での洗車屋さん。

 

「消えた屋台洗車屋」
中国での洗車屋さん。
何年か前に中国を訪れた時は、
路上に勝手に水道を持ってきて、お客を捕まえ、路上で車を洗ってしまうという
“屋台”のような無許可の洗車屋さんがいっぱいいたが、
2年ぐらい前、私が中国に通い始めたころには、
そんな洗車屋さんはいなくなっていた。
上海でWTOの大会があった時に、この屋台洗車がみっともないということで、
政府が路上から追い出してしまったらしい。

 

 

「スタンドの中の洗車屋さん」

 

中国のガソリンスタンドは“国営”である。
「中国石化集団」と「中国石油」の2つのマークがほとんどで、
(それ以外のマークもあると聞いたが、私はこの2つのマーク以外見たことが無い。)
そのガソリンスタンドで販売しているガソリンなどの燃料は、
政府で決められた価格で売られており、
かなり儲かっているらしい。
だから、スタンドを経営している会社は燃料だけをひたすら売っている。
(少なくとも上海ではそうだ)

 

洗車は、スタンドと契約をした「洗車屋さん」がテナントとして入り、
スタンドとは関係なく車を洗っている。
スタンドの洗車は、「洗車屋」が別の経営でやっているということだ。
また、このスタンドに入り込むことが
一つの利権となっているらしく、
自分で取った洗車のテナント権を、人に貸して、
それをビジネスとしている会社もあるぐらいだ。

 

私たちの友達「頼さん」は、スタンドにテナントとして入り込んで洗車屋をやっている。
どうやってその権利を取ったのかは知らないが、
少なくとも、それを人に貸して楽して儲けるなんてことはやっていない。
しっかりと自分で洗車屋さんを経営している。

 

 

洗車そのものは快洗隊とほぼ同じである。
当然のごとく、ものすごく繁盛している。

 

普通、洗車は10元である。(日本円で約125円)
中国と日本の物価水準で換算すれば実質1,000円というところか。
頼さんの店では、洗車の技術が違うということで15元取っていた。
KeePreは200元だ。
それでも洗車での客が多過ぎ、
店が混雑してKeePreなどの高価格商品を売りにくくなっているので、
これからは、洗車を20元に値上げすると言っていた。

 

 

「長屋のような洗車屋横丁」

 

7階建てぐらいのアパートの1階部分に、テナントが入るように出来ていて、
その何コマかを借りて、洗車屋さんが並んでいる。
その様子は“南昌”に言った時に初めて見た。
南昌は上海から飛行機で約1時間内陸に入ったところにある町。
しかし、人口は400万人いると言っていた。
こんな田舎都市によく見られるパターンであると頼さんが言っていた。

 

それぞれの店によって、
オーディオが得意な店であったり、整備が得意な店であったり、
しかし、店の切り口は“洗車”である。

 

中国にとって車はステータスシンボルのもっとも最たるもので、
「俺は金持ちである。」の象徴。
いつもキレイにしていないと気が済まないので、洗車する機会が非常に多い。
だから、車に関係する商品を売っていたり、サービスをする店では、
必ずといっていいほど、洗車を店の前面に出している。

 

洗車の値段はやはり10元だ。
特に南昌のような田舎都市では人件費が極端に安いので
(600元/1カ月ぐらい。日本円で7,500円/月)
何かをその店で買えば洗車はすぐにタダになるし、
中には、洗車は5元(65円)というバカバカしいほどの値段でやっている店まである。

 

 

洗車で儲からなくても、他の商売で儲かればという感じ。
このような店では洗車は客寄せぐらいの価値観なのか。
少し悲しくなってくる。
その南昌に、洗車専門店・快洗隊として店を開いた頼さんの店。
やはり苦戦をしている。
これからどういう戦略をもってこの店を立ち上げていくのか、
私たちに何が出来るのか、非情に興味があるし、
他では絶対に出来ない経験である。

 

 

「ドライブショップの洗車屋さん」

 

この形態の洗車業は、これから非常に有望であると感じた。
ある程度の規模のドライブショップが
成り立つだけのマーケットを持った規模の街でなければならないが。
広州、深セン、上海、北京などで見た。

 

かなり大きなドライブショップの1階部分が洗車関連の場になっていて、
洗車は、人海戦術での流れ作業。

 

 

そのあとのWAX掛け、磨きなどは、1階の広い場所で、
盛大に作業されている。

 

 

約20名のスタッフを使って、
月間10万元(約125万円)の売上げであるそうだ。
物価指数を考えると、これは1,000万円の売上げの価値がある。
大変合理的な仕組みが色々とあって勉強になった。

 

明日から行く中国・広州の店はそんな店である。
そのすばらしい実績に、
中国全土に、洗車屋の手本として大きな影響力を持っているのだそうだ。
その店で広州での初の洗車スクールをやることになっていて、
たくさんの洗車屋さんが集まってくると聞いている。
ちょっとドキドキである。

 

「上海での快洗隊」

 

上海でのKeePre総代理店「車聖さん」が作った中国初の快洗隊。
上海の中心地に近い八万人競技場(あるいはオリンピックスタジアム)の、駐車場の中にある。
外の道路からは決して見えない場所で、
私たちの常識から考えれば、決して良い立地ではない。
というよりも、考えられない立地である。
最初、この場所に快洗隊を作ると言われた時には、
「絶対に無理ですよ」というしかなかった。
それを、中国には中国の事情があるから、絶対に大丈夫だと言われ、
しぶしぶ、その設計、スタッフの訓練、販促ツールの提供など協力して立ち上げた。
今現在、6万元強/月の売上げを上げているという。
ならば、それは立派な実績である。
日本円で75万円の換算であり、物価指数を考えると600万円/月に匹敵する。

 

しかし、その実績分析では、
洗車のみのお客様が非常に多く、KeePreが少ない状態。
クリスタルなどの高額商品もあるが、やっぱり洗車が圧倒的に多い。
原因は、接客受注がメニューボードでのものではなく、
顔なじみの客からの
「いつもの」とか「洗車!」との注文に留まっていることが原因であるように思われる。

 

しかし、しかし、
ここのスタッフの洗車技術は、かなり高いレベルであり、
日本に持ってきても十二分であることも事実なのだ。

 

この店での洗車は15元。
そんな低い単価でひたすら洗いまくって6万元を売り切ってしまっているようだ。
これはこれで立派な実績であり、十分に採算が取れている実績でもあるのだが、
約10名の快洗隊そのものの技術を持ったスタッフが、
ひたすら洗いまくっている姿は、
「なんか違うんだけどな~」と思いながらも、
「どうすりゃいいんだろうなぁ~」と思い悩んでしまうのだ。

 

 

台湾、韓国、フィリピン、アメリカ、中国、と洗車を考えてきた。

 

台湾では、ひどい“磨き”を見た。
そして、それを支える網の目のような蛍光灯のマジックがあった。

 

韓国では、
需要過剰の中で、異常に繁盛している洗車屋さんを見た。

 

フィリピンでは、
まるでお祭りのような水掛ゴッコのような洗車を見た。

 

中国では、
洗車を客寄せに使っている店、
しっかりと事業化している店、
南昌と上海の快洗隊と、色々な洗車屋を見てきたし、造って来た。

 

では、日本の洗車はどうなのだろうか、
世界の洗車を見た上で、その対比から日本の洗車を考える。

 

この続きはまた明日、飛行機の中で書く。

 

 

昨日は、岡崎の快洗隊候補地をほぼ獲得できた。
今日は、札幌で快洗隊建設にはっきりと目処が立った。

 

今年になってからまだ一軒も直営店を造れていない?快洗隊が、
やっとのことで2件の快洗隊の具体的な目処を立てることが出来たわけだ。
ちょっとホッとする。
あと何軒、今年中に造る事が出来るか。

 

昨日は、岡崎に行く時、
畠中君が“ネズミ捕り”に引っかかった。
28kmオーバー。

 

 

昨日は、そのあと夕方から大阪の日帰り出張。
行った甲斐のある出張であった。

 

今日は札幌で、吹雪に会った。
吹雪である。
ひぇ~~~である。

 

札幌の快洗隊用地の地主さん御夫婦と、
一緒に快洗隊をやっていくM`sファクトリーの西岡さんと畠中君。
すごい吹雪の中で記念写真。

 

 

明日から、また中国行きである。
明日中に台北を経由して香港に飛ぶ。
今回は広州から、ベトナムの西に位置する昆明にまで行く。
4泊5日。
ちょっとつらい。

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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