2005年03月25日(金曜日)
1142.世界の洗車を見て
外国には中国を中心にして数十回行っている。
そこで見た世界の洗車を考えてみる。
まず、「台湾」
台湾での洗車は、大雑把に分けて3種類になる。
1.機械洗車
主にガソリンスタンドでやっていて、その多くは連続洗車機を使用している。
その洗車は、ガソリンの景品のように使われていて、
ガソリンを入れた人は、クーポン券を貰って洗車がタダになったり、
半額になったりする。
ちょっと大きなスタンドには必ずといっていいほど備えてあり、
雨上がりには列を成すそうだ。
見学した日は“雨”
こんな日は訓練なのか、
若いスタッフが並べられて、接客のロールプレーニングをやっていた。
この店ではスタッフがよく教育されており、学ぶところも多かった。
2.手洗い洗車屋
たぶん個人で営業なのだろう。
街角に「汽車洗車」の看板があちらこちらに立っていて、
ちょっとした建物の一角で、スプレーガンと、泡と、スポンジで洗車をやり、
一般ユーザーと同じようにWAXをかけていた。
設備は、多くの場合、“屋台”レベルである。
中には「SARS洗車」という、
室内の殺菌をするサービス付きで250元(750円)という傑作な洗車もあった。
3.汽車美容
ホームセンターの地下の駐車場に入っていったら、
ツナギを着た若者が近づいてきた。
「洗車しましょうか?」とか、そんなことを言ったらしい。
値段は300(台湾)元、日本円で約1,000円だ。
洗車が始まる。
家庭用のプラスチックのカバーのスプレーガンで、
ヨッコラショ、ヨッコラショと部分的にスプレーする。
何ともしょぼい圧力で、「あんなんで、いいのかなぁ」と思ったが、
なんと、水を掛けただけで、
仕上げのコーナーに車を移動して大き目のタオルで拭き始めてしまったのだ。
車を洗っていない・・・。
水をかけて、そのままタオルで拭いてしまっているのだ。
「あれじゃあ、車が傷だらけになってしまうよ。」
今度は、店長という人がやってきて、やおらセールスを始めた。
「ボンネットに鉄粉が付いているから、これを取らなくてはいけない。
あとは、このポリッシャーで磨くとものすごくきれいになるから、ぜひやらせて欲しい。
それには、契約して会員に入ってもらうと安くなる。」
そう言って、
ボンネットの上を粘土でゴシゴシと擦り始めた。
ボンネットの一部を試しにやって見せるということだ。
今度は、粗目のコンパウンドをたっぷり付けて、シングルポリッシャーで磨き始める。
同じところを、また何度も何度も磨く。
心配になって、そっとボンネットを触ったら、触れないほど熱くなっていた。
そして、
「どうですか、こんなに艶が出ました。」と自慢げに見せている。
思わず絶句!
天井には、
直径1cmほどの極細の蛍光灯が、ネットのように張り巡らされている。
このネット状の蛍光灯は、
四方八方から、光をボヤっと出すので、塗装の傷とか艶の状態をまったく見せない。
とにかく、物凄く綺麗に見えるのだ。
表面にワックスのようなものを、とりあえず乗せてやれば、
物凄く深い艶が出たように見える恐ろしい効果がある。
翌日、もう一軒大きな洗車屋さんを見に行った。
超有名なデパートの巨大な立体駐車場で、
その一つのフロアをほぼすべて占める大型かつ有名な洗車屋さんである。
その店でも、昨日見た光景とほぼ同じことが繰り広げられていた。
まったく言葉も出ない。
そして、天井には、またあの蛍光灯がネットのように張り巡らされていた
ネット状に張り巡らせた蛍光灯の下では、
傷も見えず、艶のムラも見えず、仕上げの漏れも見えない。
とりあえず綺麗に見えてしまうのだ。
そんな環境では、かえって車を綺麗にする事が出来ないのである。
もちろん技術も上がりようがない。
台湾の車が、不思議に艶がないのは、
こういうことに原因があったのかもしれない。
次は「韓国」
ソウルは不思議な街であった。
一言で言えば、日本そっくりであって、
その雰囲気から、走っている車からして日本そっくりなのだ。
ただし、走っている車はほとんどで韓国製の国産車。
でも、韓国産の車は、その雰囲気とデザインが日本車にものすごく似ていて、
だから、街の道路が日本にそっくりであるという感覚になる。
所はソウルの中でももっともにぎやかな繁華街。
センスのいい建物の間に突如現れた「洗車屋さん」
その様子を見てビックリ。次から次への洗車の車がやって来て、店は超大忙し。
洗車は手洗い洗車のみである。
この洗車は20,000ウォン=日本円で約2,000円である。
快洗隊の値段とほとんど変わらない。
しかし、はっきりした値段は決まっておらず、店のスタッフとの交渉で決まるという。
洗車の手順はこうだ。
?まず、室内のマットの内“汚そうなマットだけ”出していく。
?高圧のスプレーガンで、ボディ全体をスプレーする。
?バケツに入れてあった洗剤が混じった水を、一杯ぶっ掛ける!
?大き目のスポンジでボディ全体をこすっていく。泡はかすかに出る程度。
?また、高圧のスプレーガンで、ボディ全体をスプレーする。
?大きなタオル(明らかに汚い)で、ボディを拭き上げていく。
?車を前に移動して、エアーガンでボディの水を切っていく。(ここだけ快洗隊みたい)
?同時に室内もエアーガンで、ほこり・ゴミを吹き飛ばす。
?最後に、仕上げ吹きをして、タイヤワックスを塗る。
これだけの作業を2~3人がかりで、15分ほどで仕上げる。
しかし、
A.スタッフは全員私服。
B.特に手には、厚手のゴム手袋をはめたままで、そのままハンドルまで握る。
C.車に傷が着くかどうか等はまったく意識せず、作業はすべて雑に見える。
D.車移動の運転は乱暴極まりなく、急発進・急ブレーキを繰り返す
E.お客様の待合室は無いに等しい。
F.接客はあくまでも「洗ってやる」であり、粗雑極まりない。
こんな洗車でも、
一日100~150台の洗車客がこの店を訪れるという。
この時、店にいたスタッフは7名、
売上げと経費の計算を勝手にやってみたが、
見た目の派手さよりはあまり儲かってはいないって感じか。
韓国はただいま急激にモーターリゼーションの成熟期に入りつつある。
車は、立派になった。
しかし、それをきれいに保ち、
傷をつけない手洗い洗車の供給が間に合っていない。
需要過多の過渡期である。
だから、CSからおよそかけ離れた洗車屋さんでもまかり通っている。
そこに、Yoonさんのように
商売の勝ち負けはお客様が決める。という商売の鉄則を知っている人が、
快洗隊の仕組みを韓国に取り入れようとしている。
一時的な需要過多に甘えてCSを見失っている者は、
CSをきちんと備えたものの出現になすすべを持たないだろう。
韓国はすでにCSを基本においたビジネスが定着しつつある。
そういう意味において、
韓国での快洗隊の仕組みの導入は成功を勝ち取ったも同然のように思えた。
次は「フィリピン」
街を走っている自家用車の車種は、特に変わっているとは思わなかった。
がしかし、やたらと「ジプニー」は多い。
ジプニーとは、フィリピン独特の乗り物で、
元は米軍からの払い下げされた軍用ジープを乗り合いバスのように改造して、
安い市民の足として発達したものだそうだ。
一回20~30円程度の運賃だと言う。
市民の足はこのジプニーと、
近いところならば“輪タク”。あるいは“馬車”
輪タクとは、自転車にサイドカーのような椅子のついたケージを付けて、
客を運ぶように出来ている。
この狭いところに2人座って、自転車の後席に2人無理やり座り、
運転する人を入れると5人もこの輪タクに乗っている風景を何度も見た。
馬車も、いっぱい走っていて、
決して観光としての馬車ではなく、普通に街をタクシーとして走っている。
輪タク、馬車、ジプニーと
その距離とスピード、値段によって使い分けられているようだ。
フィリピンマニラでの洗車屋さんは、数は多く無かったが、
街角の空き地にあって、みんな大いににぎわっていた。
ずいぶん高圧のスプレーガンで、車のボディーをスプレーしまくり、
でっかいスポンジで、バシャバシャバシャとこすりまくって、
また、派手な高圧ガンでスプレーしまくり、
隣で洗っている同僚に水が掛かっても気にしない。
掛けられた方も気にしない。気にしなくてもいいような格好をしているから気にしない。
あとは、ウェスのようなタオルというかボロキレで、拭きまくる。
何とも豪快な水掛けゴッコのような洗車屋さんを見た。
私が行ったのは、マニラのチャイナタウンだけであって、
雑多な街並みの中でのこの1シーンは、
静かな良い町もあるはずのマニラのある部分的な一面だけであるのだろう。
だから、フィリピンの洗車についてはよく分からない。
(洗車の写真が一枚もありません、)
アメリカの洗車については、
去年の末、谷常務からの報告があるが、
私も再来週にアメリカ・テキサスからロサンジェルスに行くことになっているので、
自分の目で見てから報告をし直したい。
さて、最後は中国の番である。
中国については、色々いっぱい書きたいことがあるので、
また明日、続きとして書きたいと思います。