谷 好通コラム

2004年06月02日(水曜日)

968話 話し合いと策略

私をだますのは簡単だ。
私のことを「好きだ(男女の間の好きという意味ではなく)」と言えば良い。
自分に好意を持っていると言われれば、それは嬉しいものだ。
疑う気になるものではない。

 

その逆に、自分に敵意を持っていると感じさせる人が
何を言っても、それが真実であったとしても、
私は、その話を信じる気にならないだろう。

 

 

誰かと話し合いをする時、
その話し合いを実の有る結果にしたいと思うのなら、
その相手を心底好きだと思える状態で話をすることだ。

 

相手を憎み、相手を何とかやっつけてやろうと思ったり
あるいは、自分の思い通りの結果に、相手を誘導しようなどと思っている状態で
話し合っても、
相手は決して自分を受け入れることはないだろう。
何を言っても、たとえ真実を言ったとしても、決して信じてはくれない。
そして、話し合いに合意が生まれることもない。

 

つまり
話し合いとは、お互いの利益とか、お互いの幸せのためにするものである。
片方が、自分の利益だけのため、
自分の幸せだけのためを願い、
それが実現するなら
相手に不利益があろうと、不幸になろうと知ったことではないという姿勢で
話をしても、
その話し合いが、お互いの為になるような結論になることはない。

 

話し合うことによって、
相手をいかに言いくるめて、自分に利益を誘導しようという姿勢は、
相手からの不信感を買うだけであって、
目先のちっぽけな利益誘導のために、信頼という大きなものを失うことになる。
つまらぬ策略は、
自らにとっての大きな損失を呼ぶだけである事を肝に銘じておくべきだ。

 

話し合いとは、お互いの利益であり、お互いの幸せを求める事が前提なのだ。

 

自分の利益のための主張。
自分の損に対する抗議だけを主張し続けても、
それは、話し合っていることにはならない。
それは、叫んでいるだけであって、
その声が大きかろうと、小さかろうと、ただ単に叫んでいるだけに過ぎない。
これはただの喧嘩といえる。

 

狡猾な話術によって、相手を騙し、
その場での些細な利益を得たとしても、
騙された人からは二度と相手にされなくなる。
これ以上の大きな損失はない。
自己主張なんかで得られる物はちっぽけな物、
お互いに利益のある事を探して、力を合わせた時に、本当に大きな力になるのだ。

 

話し合いに策略を入れてはいけない。
本気で正論を正攻法で相手に伝えることの方がはるかに力がある。

 

 

上海で面白い話を聞いた。
道路で交通事故があった場合。
当事者同士で“5分(10分?)以内”に話しをつけて、さっさと車を移動しないと、
多額の罰金が両者に課せられるのだという。

 

だから、交通事故があると、当事者が怒鳴り合っている。
何か、声が大きい方が勝ちって感じだ。

 

ひょっとして、私が中国で車を運転するような事があったとして
万が一、事故に会ったとしても、
私は、怒鳴り合いで負けて、100:1で向こうが悪い追突事故ですら
自分が加害者にされてしまいそうな気がする。
私は
絶対に中国では車は運転しない。

 

こんなことがまかり通っているうちは、
中国は、世界の中で真の発展は出来ないだろう。

 

中国はその本来的なところで問題が多い。
しかし、そんな中で、
上海においても、北京においても
幸運にも、正論で話し合える希少なる良きパートナーに出会えた。
これは幸運以外の何物でもない。
それだけで、私たちは中国で本気を出す意味を見出している。

 

 

中国から帰ってきて、一昨日は高山、昨日・今日は東京と神奈川。
三日間とも、とてもいい事が続いた。

 

高山では、とても面白い人に会った。
彼の言葉は一見粗暴な言い方だが、内容はまともな正論。
さすがに力のある経営をされているわけだ。

 

 

新しい東京営業所、兼・東京トレーニングセンターの物件を見つけた。
今までの約4~5倍の広さを持っていて、
刈谷のトレーニングセンターに匹敵する。

 

これからの関東営業部の本拠地となる。

 

 

今日の午前中から昼にかけて、雑誌社の取材を受ける。
?快洗隊の直営店、オートバックス快洗隊相模原店での取材だ。
やっぱり関東に店を持つと、
マスコミに取り上げられる事がぐんと多くなる。
(距離的に取材しやすいという物理的な要素)
来月発行のある有名カー雑誌のコーティング特集にKeePreが取り上げられる。
全国のKeePre施工店のために役に立つといいと願っている。
広報室のお手柄のひとつである。

 

午後からは、大切な話し合い。
両者とも率直に本音が話し合われ、ビジネスの一つの危機が回避された。
お互い変な策略など入れず、率直に話し合えた事が良かった。
本当に良かった。

 

午後5時過ぎ
東京から名古屋に向かう新幹線の中
期待していなかった富士山が見えた。
どうも、富士山は先の幸運の証だけではなく、
幸運があった後の証でもあるようだ。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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