2004年05月28日(金曜日)
962話 平和の軍隊その1
24日から中国に来ている。
1日目、2日目が北京で、2日目の午後に大連に飛んで、
26日の今、大連のホテルにいるのだが、
北京のホテルも、大連のホテルも
どうしてもインターネットとアクセス出来ないで困っている。
ひょっとしたらこの話も27日上海のホテルで上げることになるかもしれない。
北京の街は、上海の街とはびっくりするほど違っていて、
北京には未来都市のような奇妙な形のビルも無く、
果てしなく広がる旧市街も見えない。
街全体が整然としていて
まるで日本の街を走っているようだ。
上海のようにクラクションが鳴り続けているわけでもなく、
車の種類も豊富で、
上海ばかり訪問していた私にとって、
今回の北京訪問は中国のイメージを大きく変えることになった。
その北京で多店舗のガソリンスタンドを経営している会社を訪問した。
この北京の会社の社長の補佐で、“郭”さんという方が、
何年か前、日本の早稲田大学に留学していた事があって、
その当然、東京のガソリンスタンド“イドムコ”さんの一つの店で
アルバイトをしていたそうだ。
その店がKeePreをたくさんやっておられて、
郭さんは、そのKeePreが大好きであったという。
そして、中国に帰ったら、このKeePreをぜひ導入したいと思っていたのだそうだ。
そして、中国に帰ってから
インターネットでKeePreを探して、このSENSYA.COMをご覧になるようになった。
ある日、突然、郭さんからアイ・タックに電話がかかってきた。
そして
「今、北京で大きなガソリンスタンドを経営している会社で働いています。
日本にいるときKeePreを使っていて、大変強い印象を持っています。
出来たら北京に一度来てもらって、会社を見てもらいたいのですが。」
とおっしゃったのだが、
そこで、上海でのショーのことをお話したら、
「では、上海まで行きます。」とのこと。
そして、上海には郭さんと、
その会社の“賀社長”までわざわざお越しいただくことになってしまった。
12時間かけて鉄道で来られたという。
上海では、賀社長と、社長補佐である郭さんと一緒に食事をして、
そのお人柄に接し、
また、郭さんには上海でのKeePreの研修もご覧いただいて、
今回の北京行きにつながったわけだ。
まず、私と神戸の責任者鴨居君と二人で北京空港に飛ぶ。
空港には先に上海から入った頼さんと李が、郭さんと出迎えてくれた。
そして、本社に直行。
本社には賀社長をはじめ、副社長、部長さんら幹部の方が総出て出迎えてくれた。
早速会談である。
机の上には、中国の五星紅旗と日本の日の丸。
KeePreを巡っての中日首脳会談というところか、
きちんとした会社であることは分かっていたが、ここまでされるとビックリである。
賀社長は、この会社を始められるまで軍隊におられた。
それも師団長クラスの大物である。
私は軍隊のことをほとんど知らないが、
軍隊の組織
分隊、小隊、中隊、大隊、連隊、そして師団という大変大きな組織の
長であったということは、かなりの大物と言ってもいいのだろう。
会談が終わって、早速、店舗を見に行く。
4店舗の見学の予定だそうだ。
店舗見学は2台の黒塗りの高級車(アウディA6とビュイックリーガル)に分乗、
賀社長と私と頼さんがアウディA6、バリッとした運転手さん付き。
そして補佐である郭さんが運転するリーガルには、李さんと鴨井君が。
店舗見学は4軒とも同じパターンであった。
店舗に入ると、すぐに店長さんが出迎えられて、
(外で待っていてくれたらしい)早速、挨拶と握手。
店はみな五百坪以上(千坪以上?)でかなりの広さがあって、
徹底的に掃除が行き届いている。
そして各計量器には、直立不動の感じで若いスタッフが待機している。
しかも、迷彩服を着ているスタッフまでいる。
敷地の脇には、洗車機(3軒が連続洗車機であった)
その洗車機には、洗車待ちの車が列を成している。
拭き上げのスタッフもかなりの人数いて、やはり迷彩服を着ている人もいる。
ムッムッムッ、一体これは何なんだ。
そして案内されたのは「店舗棟(少なくとも日本のSSではそういうしかない)」
店内に入ると、まずはセールスルームという感じでいろいろな商品が置いてある。
ここまでは、どちらかというと普通(私たちの感覚で言うと)
この店舗棟はかなり大きくて、坪数で言うと百坪以上はありそうだ。
セールスルームの横にはコンピーターを操作する部屋と大きな会議室、
そして裏手には部屋が並んでいる。
まず案内されたのが、店の所長さんの部屋。
8畳ぐらいの部屋に、机とベッドなどが整然と片付けられており、
ゴミどころかチリひとつ無い。
床などは顔が写るぐらいピカピカに磨き上げられている。
どの店でも店長さんの部屋はピカピカで、
整理整頓の鏡のような部屋ばかりであった。
店長さんたちは、こういう部屋に一週間ずっと泊まりこんでいるのだそうだ。
24時間営業している店舗に
責任者として24時間泊り込みで管理するのが、会社の方針であるという。
だから一週間に一度だけ家に帰るといっていた。
そして、横に並ぶのが“宿舎”
宿舎は、2段ベットが3つ並べられており、
各ベッドは、これもキッチ~~ンと整理整頓され、
コップに刺してある歯ブラシの角度までキッチリ同じであった。
床はもちろんビカビカで、汚れひとつ無い。
そして、食堂があり、厨房がある。
一つの店では若いスタッフがちょうど食事を作っていた。
若いスタッフがこの宿舎に入ると、
ここの料理はうまくて、みんなまずたくさん食べるのだそうだ。
それで、すっかり腹に脂が付いて、これはイカンとコントロールするようになると、
うれしそうに賀社長が説明してくれた。
4軒の店舗全部で、この宿舎を見せられた。
ふと、気が付いたのだが、
これは軍隊で言うところの“観閲”だったのではないだろうか。
そういえば、この店達は、何から何まで“軍隊”である。
私達一行が訪問した店舗の先々では、
必ずその様子を撮影するスタッフ(撮影班とでもいおうか)がいて、
私が冗談で撮影班にカメラを向けて写真を撮ると困ったような顔をしていた。
訪問の最後は、みんなで記念撮影。
左から、
郭さん、この店の所長、賀社長、私、頼さん、鴨井君、李さん
後にある赤い横幕に注目いただきたい。
「日本国アイ・タック(漢字で)技研 谷好通社長一行光臨」
この写真では一部隠れているが、そう書いてある。
この横幕が4軒とも掲げてあったのだ。(ものすごく照れまくった(^_^;))
この会社は、
そしてこの店舗たちは、まさしく軍隊であった。
それも上辺だけのエセ軍隊ではない。
その生活から、価値観から、組織から、正真正銘の軍隊そのものである。
しかし、この軍隊は抹殺すべき敵を持っていない。
会社全体のスタッフの幸せと、ユーザーたちの幸せを
自分たち流に表現している平和の軍隊である。
私は、その在り方にしばし感動してしまった。
このことについては、次の話でジックリと。