2003年10月16日(木曜日)
819話 本日、切開手術
私の首筋の真ん中にはコブがあった
直径4cmぐらい、高さ5mぐらいの目立つものではなかったが
しかし、頭に近いところであって、気にはなっていた
半年ぐらい前から気が付いていたのだが
指で押してみても、固いだけでまったく痛くなかったので
放って置いた
以前の健康診断のときに医者に相談した事もあったが
「様子を見たらどうですか」と言われたきり
だから、自分でもほとんど忘れていたのだ
そのコブが
上海に行っている時に痛くなってきた
それに、かなり大きくなってきて
直径7cmぐらいに膨らんで、赤くなり、ジッとしてもその存在が気になるほど
かなり痛い
一体どうしたんだろうと気になるが
日本に帰ってから
医者に行けばいいと思っていた
首筋でだんだん大きくなっていくコブ・・・
昔、「マニトォウ」という映画を見たことがある
あまり流行らなかったオカルト映画だ
麗しき白人の女性の首の後ろにコブが出来て
それが日に日に成長していく
医者でレントゲン写真を撮ってみたら
そのコブの中には子供の影が映っていた
とんでもない所に出来ちまった子宮外妊娠?
首筋に子供が出来ても、まとも成長できるわけがない
手術して摘出することになったのだが
医者がメスを近づけると
そのメスが医者の手から飛び
医者を傷つける
そのうち、麻酔で寝ていたはずのその女性が、悪魔のような顔をして医者を襲う
結局、手術は出来ず
首筋のコブは成長を続けた
そのコブの中で成長していたのは
なんと!
大昔のインディアンの悪霊であったのだ
じゃじゃじゃ~ん
・・・・・・
この映画の結末は、アメリカの映画なので、当然お決まりのハッピーエンド
気持ち悪いだけが記憶に残っているB級オカルト映画であった
首筋のコブ?
俺は「マニトォウ」か?
上海では、そんなことを言いながらふざけて、気を紛らわせていたのだが
昨日、日本に帰ってきてからは
とにかく痛くなってきて、夕方のお客さんをお送りするのをイイことに
医者に直行することにした
ところが、お送りする道が混んでいて
時間ギリギリになり、滑り込みで医者に付いたのだが
その日、水曜日は午後が休診であり、病院は真っ暗であった
がっかりして、帰った
すでに午後6時半過ぎ、他の病院に行っても
着いた頃にはもう診察時間は終わっているだろう
その夜は、ひたすら我慢であった
出来る事といえば湿布剤を首筋に張り冷やすだけ
次の日
すべての事をホッタラカシで(といっても何も予定はなかったが)
朝一番、とりあえず医者に直行した
行った病院は整形外科医
朝の整形外科医はお年寄りの溜まり場
待合室に入ったとたんに、30人ぐらいの人たちが目に入る
「ぎぇ~、こりゃ待たされるなぁ~、まいったなぁ~」
受付の女性に
「だいぶかかりますか?」
と聞いてみた
「イエッ、そんなにかからないと思いますよ。」
ホントかよ~、と思っていたら
本当に5分もせずに診察室に呼ばれた
待合室に待っていた約30人のお年寄りたちは
ほぼすべて、理学療法と呼ばれるマッサージを受けに来ていた人達だったようだ
診察室に入って
早速、赤く腫れ上がっている首筋のコブを先生に見せた
先生
「あっ、切りましょう、それは。」
私
「えっ切るんですか?」
先生
「ハイ、切ります。そこへ服を脱いで下さい。汚れるといけませんので」
私
「・・・・・・・」
先生
「そこへ横になってください」
処置用のベッドに横になりながら
私、
「・・・、痛いんですか?」
先生
「麻酔を掛けて切りますから。」
私
「その麻酔の注射が、また痛いんでよね。」
先生
「・・・・・・・・・」
私
「・・・・・・・・」
目の前を、麻酔の大きな注射が横切った
いよいよだ
私
「イテテッテテテテテテっ」
先生
「・・・・・・・」
私
「イッチチチチチ」
先生
「・・・・・・・・、メスッ」
私
「どれぐらい切るんですか?」
先生
「4~5センチぐらいですよ」
私
「4~5センチですか・・」
麻酔が効いていたので、メスで切ったのは分からなかった
意外とラクだ
ゴショゴショと5分ぐらいいじっていたあと
私
「あいったたたたたたっ!」
先生
「底に残っている老廃物を掻き出しています。」
私
「老廃物ですか?」
先生
「このコブは、体の中で出来た老廃物が体の外に排泄されずに溜まったものです。
それが、何かの原因で化膿して腫れ上がったのです。」
私
「じゃ、コブの中のものは、ウンコみたいなものですか?」
先生
「ウンコではありません!老廃物です!」
私
「・・・・・・・・?」
私の生まれて初めての、たった15分の切開手術はこうして終わった
(3年前の歯の手術も切開手術というのかもしれないが)
わずか15分ほどのものであったが
私にとっては、死ぬほど痛かった時間であった
病院から外に出たとき、ものすごくまぶしかったのは何だったのだろう
頭の中が何かおかしくなったように感じた
会社に行っても
何かボヤ~ッとしている
麻酔を打ったところが頭に近いところだったので
脳みそに麻酔が混じったのであろうか
逆に、いじくりまわした傷口の麻酔は切れてきて、ずしんと痛い
頭がボォーッとして、傷がズシンと痛い
今日は午後から大切な訪問客が見えるので
それが終わったら早く帰ろう
そう思った
先生も
「これはストレスから来たものですよ。2.3日少しゆっくりした方がいいですね。」
と言っていた
たしかに、自分でもそう思った
考えてみれば、無茶であった
明日は、楽しみにしていた長崎の快洗隊・島原店のオープン
朝9時半のオープニングに間に合わせるため
今日のうちに熊本まで飛行機で行って
朝一番のフェリーで島原に入るつもりでいた
とてもこの状態では、行けないと思って
島原のボスコさんに電話をした
「実は、・・・・・・・・行けなくなってしまいました。
代わりに谷専務を行かせますので・・・・・」
そうしたら、ボスコさんの森社長が
「残念ですね。快洗隊のテントがものすごく良く出来あがったんですよ。
安城店のテントよりずっと迫力がありますよ。」
それでも
「大変、申しわけありませんが・・」としか言えなかった
そして、午後からのお客様の対応をして
真摯なお話をいただいて
ホッとしたころ
体の熱が下がってきて
傷口の痛みも消えてきて
ボォーッとしていた頭もすっきりしてきて
腫れも引いたのか、体中がシャキっとしてきて
体中に元気が戻ってきた
(昼食後飲んだ“頓服”が、効いて来たのかもしれない)
そうなると、森社長のあの言葉が思い出されてくる
「安城店のテントよりすごいですよ。」
見たい!
行きたい!
そう思い出したら、もう止まらない
キャンセルした飛行機とホテルを全部復活して
出て来てしまった
ただし
「最初は必ず毎日、傷口に詰めてあるガーゼを取り替えに来なさい。」
と、先生に言われていたので
夕方もう一度病院に行って
早過ぎるガーゼの交換をしてもらい
傷口を固めてもらって
明日一日、病院に行かなくても大丈夫なように
多分、大丈夫なようにして
出て来た
だから
このコラムを書き始めたのは、名古屋⇒熊本の飛行機の中
今、この終盤を書いているのは
熊本のホテルの中
大丈夫
大丈夫
多分、大丈夫 (^・^)