2003年10月14日(火曜日)
816話 上海トレーニング
上海は今、大変貌を迎えるための過渡期である
人口が一千万人をはるかに超え、もう何人住んでいるのか分からない
公式には1,700万人とされているが
実は2,300万人だとも言われてる
中国では一人っ子政策が敷かれ
第2子以上の子には大きな税金が課せられる
そのため、親は、税金逃れのために二人目以降の子供を戸籍に入れないのだそうだ
だから、中国には戸籍の無い子供がいっぱいいて
今の人口が一体何人なのか分からなくなってしまっているのだ
公式には中国全体の人口は13億人
しかし実際は15億人以上なのでは、とも言われている
だから上海は
2,300万人という説の方が信憑性が高い
人の数においては
上海は世界一
たくさんの意味で上海はいびつなところが多い
金持ちと低所得者との賃金格差はすさまじいものがあり
田舎から出てきた若者が
住む所と昼ごはんが付いて、最初は月給5百元(≒7,000円)と聞いた
技術のある縫製工場の女の子が
寮と食事つきで月給1500元(≒21,000円)
これは意外と高い所得であるが
しかし、朝7時から夜9時までの労働であり、休暇が月に1~2度
かなりきつい労働量だ
やはり田舎の農村から出てきている子達であるという
そんな若い労働力を50~80人ぐらい使って
生産工場などを経営している公司(会社)の総経理(社長)この人たちで、月給2万~5万元(=280,000円~700,000円)ぐらい
よくあるパターンだ
その賃金格差は50倍から100倍近くにまでなる
こういう人たちが
マイカーを買い始めていて
中国の車社会の将来を作っていく
日本にたとえて見れば
新人の若い子が月給20万円取っているその中小企業の社長が
月給を1000万円(=50倍)から2000万円(=100倍)取っている
なんて例は
なかなか無い
それでも街の工場の総経理は金持ちではあるが、大金持ちではない
上海はけたたましいバブルの真っ最中で
不動産で儲けている人たちとか(いずれは大損をすると思うのだが)
利権を握っている人たち
そんな人たちには
日本のお金持ちなどぶっ飛んでしまうほどの大金持ちがいるという
上海の街そのものが、いびつな面を大きく持っている
未来都市のような超近代的なビル
超高層のマンションが激しい勢いで建てられている中
老朽化した建物がその下界に広がっている
あの豪華な超高層マンションはバブルの相場で2000万円以上だというし
あんなところに住める人間が
あんなに数多くどこにいるのか不思議でならない
上海の洗車事情
洗車は10元(=140円)である
もちろん手洗い洗車
ありとあらゆる所に洗車屋がある
空港の駐車場の中にも2件の洗車屋を見た
「洗車10元であった」
街角、特に未開発の古い町並みには必ずと言っていいほど
長屋の軒先で車を洗う洗車屋が露天風に店を開いている
磨き屋さんも同様で
「汽車美容」と書いてある
いずれもかなりの数
「洗車は10元である」
屋台形式の洗車屋もよく見る
大きな道路の端に、勝手に屋台のような車を止めて
即席の洗車屋が店を開いている
公園の駐車場の中で勝手に洗車屋をやっているものもいた
「洗車の料金は10元」
もう一つ、洗車屋のポピュラーな形
ガソリンスタンドの一角を借りて
洗車屋を開いている例
上海の同志“頼さん”も、その一人である
中国のガソリンスタンドは、そのほとんど(すべて?)が国営であって
ガソリンスタンドを運営しているものとしては
燃料だけを売っていて
洗車などは、外注のテナントの形で業者が“家賃を払って”入っている
ほとんどのスタンドに洗車屋が入っているといってもいい
頼さんは、そんな形で現在5件の洗車屋を経営している
競争相手で、最近、すさまじい勢いで勢力を伸ばしている洗車屋の会社があると
頼さんは脅威に感じ、あせっていた
そんな洗車屋さんでの洗車は10元
「やっぱり10元である」
上海での洗車は“10元”と相場が決まってしまっているようだ
金持ちが乗っている車を
底辺の低所得層の人たちに、10元の小銭で車を洗わせている
そんなイメージだ
西安でもそうであった
台湾でも、香港でもそんな感じ
洗車
しかし私は、ついぞ自分の仕事を底辺の仕事などと思っても来なかった
洗車とは
車を愛する人に対して
その車を、その人以上の技術を持って
よりキレイにして差し上げることによって、幸せを提供するものである
そう考えてきた
つまり
洗車スタッフの技術が、プロとしての臨界点を超え
スタッフの姿勢がプロとしての姿勢を備えているものならば
そうであるならば
洗車が10元であることから抜け出し
誇りあるビジネスに昇華することになる
そう信じており
実践している
街中に10元の洗車が溢れ返る上海で
頼さんの経営する5軒のうち1軒を、上海・快洗隊とし
洗車=25元と打ち出した。
そして、汽宝(チーパオ)というコーティングが100元である
(汽宝(チーパオ)とは、KeePreの中国名。正式に登録を申請している)
25元とは、市中の相場の2.5倍
100元とは、若い労働者の給料の1/5にも当たる金額であって
上海の中では異例に高い値段である
総経理の頼さんいわく
「誰に聞いても、そんな高い洗車売れるわけが無いと、反対されたが
私は刈谷で快洗隊に入って、確信した。
洗車の品質さえ上げれば
上海でも、このやり方が絶対に通用する。と
そして、快洗隊のやり方でやった店が開店からたった2ヶ月で、
5件の店の中でトップになった。
しかも、まだドンドンお客さんが増えている。
私の考え方正しかった。」
今回の上海出張の一番大きな目的は
頼さんの会社の洗車スタッフたちの洗車技術を
快洗隊の代表である畠中に
実際にチェックさせ
海外事業部の責任者である荻野と共に
問題点を抽出すると共に、より高いレベルの技術にすべく
実際に再訓練すること
トレーニングの当日は雨であった
本当は、設備の揃った上海・快洗隊でやる予定であったが
朝からの雨で急遽、屋根が大きな店に設備を持っていって
そこでやることになった
そんなことをやっていたので
トレーニングのスタートは11時ぐらい、ずいぶん遅くなってしまった
しかし、そこからのトレーニングは
熱気に溢れ、すごいものであった
洗車スタッフは、ほとんどが田舎から出てきた若者
所得レベルは当然低い
しかし、技術を身に付けることで
自分の給料を上げることが出来ることを知っているので
トレーニングに対する集中力は半端ではないのだ
ハングリー精神丸出しで
食い入るように畠中・荻野の話を聞き
我先にと手を出してトレーニングに参加してくる
まず、打ち合わせ
今回はKeePreの大きなステッカーを持って行った
スタッフの作業をチェック後
改善点を指摘
なぜ改善すべきなのかをジックリと説明する
トレーニング
スタッフの熱気に意気を感じたのか
トレーニングの終盤
荻野部長が、突然KeePre(汽宝)のタイムトライアルをはじめる
彼にとっては立場的に普段はやっていないこと
ヒィヒィゼイゼイだったであろう
しかし、見事7分で終了して見せ、みんなからの拍手喝さいを受けていた
KeePreの中国語のリーフレット
同じく中国語のメニュー
頼さんの通訳で、洗車の考え方を述べる