谷 好通コラム

2003年10月11日(土曜日)

814話 愛のスペイン語

今日は、ヨーロッパの“オーストリア”(オーストラリアではない)から
「今小路さん」が我が社にやってきた
この人の話はいつも実に面白い

 

今日はヨーロッパにおける階級制度について教えてくれた

 

ヨーロッパでは長い歴史の中で
厳然たる「階級」が存在している

 

最上級の階級として
“貴族”がいまだに君臨している
そして経営者たちなどの中流層と、多くの労働者層
階級を超えた行き来はほとんど無い

 

貴族は
その広大な領地と利権、あるいはビジネスが
耐えることなく子孫に引き継がれ
確固たるものとして存在し続けているという
つまりこれは、“相続税”が無きに等しいくらい低く
膨大な財産の相続が、無傷で子孫へ行われていることを物語る

 

階級の存在が生活の中にしっかりと根付いていて

 

上級の階級の人たちは、中級の人たちを中級の人たちとして尊重し
低所得層の人たちに対しても同じであるという
逆に、低級の人たちは中級・上級の人たちに対して不当な差別を感じたり
その階級を恨んだりするわけでもない

 

それぞれが自然に、その階級としてふさわしい教育を受け
それぞれの階級と、職業は家業として引き継ぐのが当たり前との事として受け入れている
“誇りを持って”それぞれの階級を受け入れて、平和に暮らしているのだと

 

そんな“変化をしない”世界であるという

 

世界の中で最も伝統があり
素晴らしい遺産として文化遺跡と、昔ながらの街並みがそのままが残っており
彼らが世界の中で一番上級であると信じるヨーロッパに
一員として住むことに誇りを持って
平和な気持ちで階級を受け入れ、それで幸せであるのだという

 

今まで、私がヨーロッパに抱いていたイメージとあまりに違う
しかし、それはそれでいいのかな
平和であって、みんなが幸せであれば
それはそれでいいのかな
そんなふうに思った

 

大阪に生まれ育ち、事業に成功した上で
オーストリアの素晴らしい女性と結婚してヨーロッパに住むようになった今小路さん
彼は超一流のビジネスマンとして、世界を飛び回っている
その今小路さんが
自ら愛するヨーロッパをそのように評した

 

見方として公平なのかどうか
私はまったく分からない
しかし、それは一面的であるかもしれないが
ヨーロッパの中に力強く生きる彼の実感としての真実なのであろう

 

 

きのうは、ドイツからSONAXの「クリーガーさん」がやってきた

 

SONAXはフォーミュラ・ワンのマクラーレン・メルセデスをスポンサードしている
リアウィングにいくつかのスポンサーと一緒に「SONAX」のロゴを載せている
マクラーレン・メルセデスは
フォーミュラ・ワンの中でもトップチームの一つ
そのスポンサードフィーはすさまじい金額であるらしく
しっつこく聞いても、どうしてもその金額を教えてくれない。

 

Mr.クリーガーは
10月12日(日)鈴鹿での日本グランプリのために来日したのだ
私は残念ながら明日から上海
大好きなフォーミュラ・ワンだが、見に行く事が出来ない

 

SONAXはF1パドックパスを持っている
これはスポンサーしか手に入らない、正にコールデンカード
行けば、ひょっとしたら、いや多分、パドックの中まで入れてもらえる
「ミカ・ライコネン」「デイビット・クルザード」に会えるかもしれないのに
その日程を忘れていて、上海行きを決めてしまっていたのだ (*^^)
(その栄華は、東京の鶴見部長が受けることになっている。くやしい~~)

 

決勝前々日のきのう
日本代表の吉村さんを伴って来社してくれたのだ
表敬訪問の目的もあったであろうが
そこは自ら、
“フライングセールスマン(世界を飛び回る営業マン)”と称するMr.クリーガー
しっかりとSONAX商品を売り込んでくることは覚悟していた

 

しかし、こちらも懸案の事が山積みになっていて
特に、○ン○専用の非常に特殊な
完全ノンシリコン・ノーワックスのコンパウンドが、アクアキーパーの下処理ぴったりで
非常に有効なのだ
なんとか、それを大量に調達しようと食い下がった
(何とも言えないが、なかなかの感触ではあった)
その他にも色々頼みたいことがあって
議論は伯仲した

 

 

商品倉庫を案内するうちに、彼は“快洗Taoる”に興味を持った
そしてサンプルを何枚か欲しいという
ひょっとしたら、ドイツに“快洗Taoる”が舞い降りるか?
イヤイヤ、SONAXはヨーロッパを中心に世界中に進出している
世界中に快洗Taoるが幅を利かすようになるか?
早速、得意の“獲らぬ狸の皮算用”が頭をかすめる。
やはり私は、ほとんど馬鹿である。

 

 

午後3時に始まったミーティングの予定時間を大幅にオーバーして
時間はもう7時
「ご飯を食べに行こう」ということになる

 

そこで同行の吉村さんが
「実は今回、クリーガーの奥さんと弟さんが一緒に来ているんです。食事、一緒にいいですか?」

 

えっ?あのジャクリーヌさんが一緒に来ている?
クリーガーの奥さんジャクリーヌさんとは
最初にドイツのSONAXの工場を訪問したときにお会いしている
実に素晴らしい人で
日本で再会できるなんて夢のようだ

 

「もちろん、結構ですよ」
私は大歓迎であることを伝え
彼らが名古屋に泊まっているホテルに行くことにした

 

用意していた食事の場所は、JR千種駅に近いところにある居酒屋“文(ぶん)”
“文”は、少し昔の倉庫を改装した変わった建物
ちょっと見では普通の民家にしか見えない
以前に行ったことがあって
変わった雰囲気であって、なかなか美味しかったことを憶えていた
(それに“安い”)

 

千種に近い東新町のホテルに彼等を迎えに行って、“文”に向かう
“文”には、すでに会社の連中が到着していた
SONAXの人たちを入れて総勢12名
(うっかり一番肝心な「山内君」を呼ぶのを忘れていた。反省)

 

早速飲む!

 

 

いかにも普通の日本の民家のような雰囲気の中で食事会が始まる
私の目の前にはMr.クリーガー
その横に寄り添うようにMrs.ジャクリーヌ・クリーガーが座る

 

彼女はもともと“ペルー人”である
ペルーに生まれ育って、大人になってから世界中で活躍したいるうちに
なんと、日本で!Mr.クリーガーと巡り合った!

 

たちまち一目ぼれのクリーガーは
それから毎日、ジャクリーヌさんに電話攻勢を掛けたそうだ。毎日
日本に来れば、もちろんデート
その頃の彼等二人のロマンスの様子を、以前、吉村さんが目を細めて話してくれた

 

超・遠距離恋愛
やがて、ジャクリーヌさんはMr.クリーガーと結婚して
ドイツ・ノイブルグの町に嫁いでいった
今では、16歳になるかわいい息子さんがいる

 

彼女は、ドイツ語、英語、ポルトガル語、日本語!
そしてペルーの母国語であるスペイン語
全部で5ヶ国語を喋る事が出来る

 

5ヶ国語!
Mr.クリーガーも4ヶ国語話すことが出来る(日本語が話せない)

 

私は、1ヶ国語!
英語の勉強は遅々として進まず、いまだ1ヶ国語だけに甘んじている(恥)
なのにジャクリーヌさんは5ヶ国語
すごい!

 

すごく楽しい話で盛り上がって
楽しい食事会(飲み会?)になった

 

 

しばらくして気がついた
彼等二人、クリーガー夫妻が話している言葉
ドイツ語ではないのだ

 

ドイツの夫婦なのだから、当たり前のようにドイツで話しているのかと思ったら
どうも「スペイン語」で話しているようなのだ
聞いてみた
「お二人のその言葉、スペイン語ですか?」

 

ジャクリーヌ
「はい、そうですよ、スペイン語です。」

 


「どうしてドイツ語ではないのですか?」

 

ジャクリーヌ
「スペイン語は、私の母国ペルーの言葉なのです。
やはり、母国語が一番ラクなので
夫婦一緒のときは、クリーガーが、スペイン語で話をしてくれるんですよ。」

 


「すごい・・・・ やさしいんですね・・・ クリーガーさんは」

 

ジャクリーヌ
「はい、そうです。彼はものすごくやさしいんですよ。」

 

参った!
これぞ、本物のインターナショナル夫婦

 

愛する妻が一番楽に喋れるスペイン語を
自ら、夫婦の会話に使っているななんて、クリーガーさん
めちゃめちゃやさしいではないか
かっこいいではないか

 

 

世界は広い!
世の中にはすごい人がいるものだ
参った!

 

一緒に来日したクリーガーさんの弟さんは「大工さん」であるという
今、クリーガーさんの大きな家を造っていて
ジャクリーヌさんの希望で内装を日本風にするということで
日本の建物の勉強のために一緒に来日されたとの事

 

大工さんだけあって?ものすごい大きな手と
ぶっとい腕
腕相撲では、まだ誰にも負けた事がないという
写真では、わが社のM君と大して変わらない腕の太さに写ってしまっているが
これはカメラの角度の問題であって
実際は、Mの3倍ぐらいはぶっとい腕なのです。
すごい兄弟ですね。

 

 

午後からは
福井から、アクアキーパーの色々な物のデザインをしてくれる今井さんが
はるばるやって来てくれた
今度のアクアキーパー、機械も、パンフレットも
カッコイイですよ
すごくいいですよ。
新鮮なデザインに、ますます楽しみになってきました。

 

昨日も、今日も充実です。
明日は、朝5時過ぎに起きて
朝一番の飛行機で上海に行く。
もう寝なくては・・・

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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