2003年05月28日(水曜日)
719話 特便割引の談合
昨日、福岡に行くため
名古屋空港のANAのカウンターに行った
そこに、特便割引(以下、特割)の制度が変わると
チラシがおいてあった
「6月1日より特割の予約については、前日までにチケットを購入していただきます。」
簡単に言えばそういうこと
今の特割は、前日までに予約をすれば
かなりの割引を受けることが出来
便の当日まで、その予約でチケットを買うことが出来る
制約は、その予約の中での便名変更は出来ないということ
当然、当日以前にチケットを購入することも出来るが
チケットが発行されてしまうと、特割のキャンセルにはペナルティが付いて
全額は返ってこない
だから、みんな
チケットを当日まで買わず
変更したいときは、その予約をキャンセルして
前日までならば、また特割で別の予約を入れてしまう
当日ならば、通常料金で買えば何の問題もない
ビジネスマンは、みんなそうしていた
当然のこととして、わが社のスタッフもそうしてきた
飛行機に通常料金で乗るなんて、非常識、とんでもない話で
飛行機は、特割で乗るのが当たり前であった
しかし、これには大きな問題がある
予定がはっきりしていない場合
いくつかの便に、特割で予約をダブって入れるやつがいるのだ
あるいは、チケットさえ買っていなければ、ペナルティが全くないので
予約を入れた便に乗らなくなっても
キャンセルの知らせを入れず、“すっぽかし”で済ましている奴もいる
特割制度の元々の意味は
航空会社としては
早い段階で座席数を確保できるメリットと引き換えに
割引を提供してきたわけだ
ところが、ダブって特割り予約を入れたり
すっぽかしを、平気でする奴が増えてくると
前もっての座席確保の意味がだんだんなくなってきた
だから
“満席運行”が理想の航空会社は
そのすっぽかし・ダブル予約のロスを見込んで
実際の座席以上予約を入れる
これは両刃の刃であって
ひょっとして、すっぽかし・ダブル予約が予想より少なかった場合
席数が足りなくなって、予約を入れていても乗れない人が出てくる場合がある
オーバーブッキングである
これは、もめる
時々であるが
オーバーブッキングになってしまった場合
「○○便をご利用のお客様で、後の便に変えていただいた場合
10,000円分の航空商品券を差し上げます。」と
係員の人が、必死で呼びかけている光景を見る
そんなことで
業を煮やした航空会社が
特割の予約は前日までのチケット購入がなければ
自動的にキャンセルしてしまうと言うのだ
なぜ、そういうことになったかは分かる
理由はよく分かるが
これは、全く馬鹿な暴挙としか言いようがない
ただでさえ、航空旅客は伸び悩み
満席状態の飛行機は、それほど多くない
むしろ、「今日は空いているなぁ~」と思うほうがよっぽど多い
空席のある便と比べれば
オーバーブッキングが発生する確率は、無視していいほどのものだろう
「どなたか、後の便に変更していただける人はいませんか~」の光景は
私は、まだ3回しか見たことがない
多分一千回以上飛行機に乗っていて、自分の飛行機ではゼロ
他の便でそう騒いでいるのを3回だけ見た
これが、そんなオーバーブッキング防止のための施策だとしたら
そのために受ける消費者のデメリットは大きい
「1回の手間が2回になるのだ」
今までは、電話とかインターネットで取り割り予約を入れ
飛行機に乗るために空港に行き、そこで航空券を買った
これからは、特割を使おうと思ったら
今までどおり現金とかクレジットで支払うならば
余分に1回、空港に前日までに、航空券を買いに行かなくてはならない
あるいは、旅行代理店、JR窓口に行かなくてはならない
今までよりも余分に1回、“行かなくてならない”
行かなくてもいいのは、インターネットで予約し、決済する方法
しかし、それが出来ない人の方が圧倒的に多い
ビジネスマンは、会社のパソコンから自分のクレジットで決済するのは
自分の口座番号、クレジットナンバー、暗証番号を
一般回線のインターネットに乗せる気にはならない
パソコンにひんぱんにやってくる未承諾広告とか、ウィルスを経験していると
ITのセキュリティに信頼を置いている人は少数ではないか
抵抗があるだろうと思う
ホントに6月からどうしよう、と思ったのだ
そこで、隣のJALのカウンターに行ってみた
「おっ、ANAにあったチラシが置いてない」
さすがに、JASと経営統合し、真正面からANAと戦いをしていくJAL
「わかってるじゃん」とうれしくなって
カウンターの係りの女性に聞いてみた
「特便割引の制度、JALは変わらないんですか?」
「ハイ、6月から変わります。特便割引での予約をいただいた場合、前日までに・・・」
何のことはない
JALも、ANAに、右にならえで同じように変えてしまうという
「残念ですね~。変えなければビジネスマンが殺到したのに!
ANAに一泡吹かせる絶好のチャンスだったのに、勿体ないね~っ」
そう言った私の言葉の意味が分からなかったのか
「家、ANAさんの同じように変えるんですよ。一緒です。」と
一生懸命言われた
ANAは、900万枚という圧倒的なマイレージカードで
国内便運行を優位に展開した
マイレージは結構楽しみなもので、私のようにたくさん飛行機に乗るものにとっては
年間3~4万マイルのマイレージは
一年に一度、娘へのプレゼントとして、せっせと貯めているのだ
本気でマイレージを貯めようと思ったら
全国へのネットワークが、JAL.JASより充実しているANAに
3社が競合している路線でも
自然にANAに乗るようになってしまう
利用者心理として、これは大きいのだ
国際線よりはるかに儲かる国内線において
圧倒的に優位に展開するANAに対して、JAL.JASは経営統合までして
対抗しようとしているのだ
私は、優先的にANAに乗っていたが
この特割の不便な制度変更に
これからはネットワークが充実した新生JALに
本気で鞍替えしようと思ったのだ
なのに、仲良く一緒に制度を変えてしまうとは
JALは、千万一隅のチァンスを逃してしまったようだ
官僚の体質がそうさせてしまったのか
「あんたところは、ANAと戦わなくっちゃいけないんだろ
なに馬鹿なところで、せこい談合やってんだよ」
思わず、ブツブツと口ごもってしまった
どうしてもオーバーブッキングを防ぎたいのなら
そしてそれが“すっぽかし”が原因なら
すっぽかしをやった奴から
マイレージを1000ポイント減算するというような制度でも作ればいい
これは効きますよ
ANAは、その圧倒的なシェアを持っているマイレージに
貯まったマイルを
電子マネーに換える事が出来る「aby」機能を持たせる
ANAだけが
またANAの勝ちか?
判官びいきの日本人は、ひそかに新生JALを応援しているのに
こんなチャンスに
なに馬鹿な、せこい談合やってんだろ
ほんとに
ア~ア、ちょっと不便になっちゃうな
と、ここまで書いて
私はいつも、特割以上の割引率であり、予約も、変更も自由の
「身障割引」を使っていて
特割の制度変更には、全く関係ないことに気が付いた
お呼びでないのに
ブツブツ言ってすいませんでした
もうすぐ、このJAL時刻板にJAS便も入って
ANAと同じくらいの便数になる
これは、昨日福岡空港に着陸するときの写真
午後4時だというのに
夕日のように空が赤くなり、不思議に輝いていた