谷 好通コラム

2003年05月04日(日曜日)

703話 苦悩するグァム

グァムに来て2日目
ゴールデンウィーク真っ最中というのに
グァムはひっそりとしている

 

ここ1年半、グァムはどん底である
一昨年の9月11日、ニューヨークでの連続テロによって
海外旅行がいっぺんに冷えこんだ

 

特にグァムには
「アンダーソン空軍基地」という極東の要になる巨大な空軍基地がある
この基地は、グァム島北部のほとんどの面積を占めるほどの巨大なもの

 

かの第2次大戦中はこのグァムから
日本空襲のためB-29が飛び立ち
広島、長崎の原爆投下のB-29も、このグァムからのものだ
朝鮮戦争での爆撃も
ベトナム戦争のB-52爆撃機もここから出撃し
今も、超低空進入爆撃機B-1
ステルス爆撃機B-2など
アメリカ空軍の最新鋭爆撃機が常駐する
アメリカの軍事極東戦略の中でも、沖縄と並んで最も重要な拠点である

 

海軍基地も2箇所にあり
規模はそれほどでもないにしても、原子力潜水艦などが
頻繁に出入りする重要な基地である

 

だから、テロの対象になり易いのではないかと
ニューヨーク連続テロの後
グァムへの観光客は激減したそうだ

 

それによって何件かのホテルが倒産するなど
深刻な状態ではあったが
それでも、あの連続テロから1年経った去年の末のころには
徐々に客足も戻ってきて
さあ、これからという時に
第2の災難

 

巨大台風がグァムを襲った
去年の12月
観測史上最大といわれるその台風は
瞬間最大風速100m以上にも及んだという

 

あらゆる施設が大きな被害を受け
いまなおその傷跡はグァムのあちらこちらに見られる

 

連続テロの影響で、観光収入が大きく減っていたところへの
巨大台風の襲来で
破壊された修復に資材と資源が足らない
破壊されたままで放置されている建物もあるほど

 

いつも行く射撃場「ウェスタン・フロンティア・ビレッジ(W.F.V)」は無事であった
しかし、そのW.F.Vと競争関係にあった近くの射撃場「ワイルドウェスト」は
壊滅的な打撃を受け
廃業に追い込まれていた

 

 

タロフォフォの屋外射撃場も
事務所が無残に傾き、テントと屋根が全部吹っ飛んで
近寄ることもできない状態

 

 

鉄筋コンクリートで出来た建物は、ちゃんと建ってはいるが
多くはガラスが割れたままで
いまだに、ベニヤ板で窓が塞いである
あの有名で島内最大級のショッピングセンター「マイクロネシアモール」まで
この始末

 

 

街路樹のやしの木のてっぺんの葉っぱが、台風の風でちぎれて
半年経っても、まだちょろんとしか生えていなかった

 

 

私は昨年の年末
一度グァムに休暇に行く予定を立てたのだが
グァムのホテルなどの施設が、受け入れ側として十分ではなく
今来られても困る・・
というような状態で、その予定はキャンセルせざるを得なかった
それほど被害が大きかった

 

そして、何とか
観光客を少しずつ受け入れることが出来るようになったころ
第3の災難
イラク戦争だ

 

またもやテロの恐れがあるということで
客足はまったく伸びない

 

そして、今回は続けざまに
第4の災難
“SARS”(日本では“サーズ”と呼ぶが、グァムでは“サルス”と呼んでいた)

 

香港、中国はもちろんのこと
海外旅行そのものの観光客が全世界レベルで激減した
グァムは、SARSにはまったく関係ない
日本にいるのと、グァムにいるのでは、SARSの危険性は同一であって
両方とも、無汚染地域

 

しかし、心情的に海外旅行そのものが敬遠されて
ここグァムでも
ゴールデンウィークだというのに
ホテルもガラガラ
街にも人はまばらであった

 

2日前、名古屋を出てくるときの国際便の空港ビル

 

 

コンチネンタル航空のグァム便の飛行機は
一番小さいジェット旅客機B-737であった
(エンジンの空気取り入れ口がオムス型になっているのが特徴)

 

 

今度はその便そのものが、毎日便から隔日便になるそうだ
かつての名古屋⇔グァム便は
ノースウェスト航空のDC-10(約340人乗り)と
コンチネンタルミクロネシア航空のB-757(約200人乗り)の
2航空会社が、毎日往復するドル箱路線であった
それが今後は
コンチネンタルのB-737(約150人乗り)が
一日おきの就航となる

 

それでもガラガラ
今回の2日の深夜出発、5日の午後便帰着の日程は
仕事にまったく影響を与えないもので
数ヶ月前から満席であり、プレミアが付くほどだったのが
今回は1週間前に予約できて
しかも、乗ってみたら
ガラガラであった

 

これはあまりにも異常である
名古屋空港から飛行機内、グァム空港でも
ずっとマスクをしたままの人たちが何組かいた

 

 

この人たちは、マジで医療用のマスクをしているのだろうか
私には信じられない
このようなパニック的な行動が
私には信じられない
これは、やっぱり異常である

 

1.ニューヨーク連続テロ
2.巨大台風
3.イラク戦争
4.SARS

 

4度の重なる不運で
観光客が激減した、しかし観光のみが唯一の産業であるグァム

 

人々は、それでも明るく耐えている
そんな風に私には思えたのです

 

私の大好きな
「ウェスタン・フロンティア・ビレッジ」の
山本さんをはじめ、スタッフの皆さんも
ワークシェアの体勢を敷いて
それでも明るくがんばっていました。

 

 

この人は泣き言など一切言わない
筋金入りの、明るいプラス発想の人なのです。

 

グァムは今、どん底の苦しみと戦っているが
まったく変わらないのが
南の島の極上の空と自然です。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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