谷 好通コラム

2003年04月28日(月曜日)

697話 ピュアな“強さ”

10年以上前になるが
その頃から開かれていた刈谷のワンデースクールに
富山からある人がやってきた

 

「新聞で見て、これだ!と思ってきました」
その人は
セルシオに乗って、ちょっと派手な背広も着ていて
一見うさんくさい感じがしたのだが

 

「実は、株で大損をして、今まで築いたものをすべて失ってしまった。
今度という今度は懲りて、
もう一度ゼロから始めたいと思いました。
そんな時、キーパーのワンデースクールの記事を見て
直感的に、これこそ自分の求めていたものだと思ったのです。」
そんな事を熱心に語り
スクールでの研修も、それは一生懸命であった

 

スクールが終わって富山に帰り
熱心にキーパーの事を自分の得意先に話し
活発に活動をして
私自身も何度も富山に通って
スクールを重ね
またたくまに
富山は、愛知に次いでキーパーの普及率ナンバー1の地域になった

 

私は富山に通うのが楽しみであった
往復750kmを日帰りでこなしたことも何度もあった
なりより、洗車とかキーパーの事を彼と熱く語ることが楽しみであった

 

そんな熱い日々の甲斐もあって
彼の会社も何とか立ち直り
ホッとした頃

 

商売が順調になるにつれて
顧客へのサポートが、いい加減になってきていることに気が付きはじめた

 

「顧客に成功してもらうことが、私たちの利益につながる」
そんな精神が
キーパーの根源的なポリシーであったはずが
キーパーの顧客への納入が
ひとつの利権であるような事ばかりを、しきりに言い出し始めたのである

 

「北陸では自分の会社以外には、一切キーパーを売っては困る。
ほかに代理店を作っても、全部、自分の会社を通すべきだ。」
すでに
自分自身が持っていた顧客には
あらかたキーパー商品を納め
売り上げは完全に頭打ちになっていた頃であった

 

営業方法も
当初の熱心に洗車を語り、CSを説くスタイルから
夜の街で酒を飲ませながら、あるいは接待ゴルフをやりながらのセールスへと
バブリーなスタイルに戻っていた

 

そんな頃
キーパーユーザーから
「新しい情報が何も入ってこない」
「質問にまともに答えてくれない」
「機械など他の商品も買わなければ、キーパーを出さないと言っている」
「何度も値上げをして、ファイナル1が8,000円/本になっている」
「導入講習が30分で終わった」
と、聞こえてくる話は、かなり末期症状的なものばかり

 

本人とじっくりと話をしても
ばかでかいスケールの夢のような話をするばかりで
全くラチがあかない

 

10年前に、初めて刈谷のワンデースクールに
傷心でやってきた彼とは
全く別人になっていて
その考え方は、“CS”のカケラも無くなっていた

 

その頃には、安い類似商品にも手を出していて
キーパーの売り上げも急降下
微々たる取引になっていた
やむなく、私は取引縮小に大きく方向転換をすることにし
地域担当に出入りさせず、私の直轄とした
そして2年後
最終的に取引を切り上げ
お付き合いがなくなって、もう2年以上になる

 

 

先々月、彼の会社が、不渡りを出して倒産した

 

取引をやめて、すでにかなりの月日が経っているので
そのいきさつは全く判らないが

 

10年前の彼から
最近の彼まで
その内なる変化は一体なんであったのだろうか

 

最初は
大きな失敗を経て
「顧客の成功こそが、自分の利益の元」
そんな原点的な考えを持って再出発したものが
“喉元過ぎれば何とやら”

 

ちょっと楽になってきたら
もっと楽して儲ける
そんな、自分だけの損得勘定に溺れていった
そんな事だったのかもしれない
このことについては、何も解からないが
そんな事だったのかもしれない

 

自分だけの損得勘定
「人がどうなろうと、自分が、あるいは自分の身内だけが幸せになれば
それでいいのだ」
誰もが陥りやすい罠である
しかし、そんな価値観を持ったものが
広く、長く世間で通用するわけがない

 

その時、その時の損得勘定で生きることなど
自分の人生を寂しくするもの以外、何物でもない

 

 

今日は
その富山で
なんともすばらしい一日を持った

 

昨日の夜遅く富山に入って
午前中に大好きなSS経営者Mさんを訪問して
短い時間の話ではあったが
相変わらず熱く
また、元気の素をもらった気がする

 

昼前には
引越ししたばかりの娘夫婦のアパートを訪ねた
娘は2年前に結婚して幸せに暮らしている

 

その娘の夫は“刑事”である(ホント)
彼は決して言葉が多い方ではないが
その言葉一つ一つ
決して、飾ろうとせず
決して、相手によって使い分けるようなこともせず
その場の損得勘定などには全く興味なく
だからこそ
人間としての本質的な“強さ”を感じる
本質的な強さこそが、本当のやさしさ
つまり、人の幸せを願う気持ちに通じるもの

 

人に“強さ”を感じさせられることは、滅多にあることではなく
娘の婿だからと
たぶん何百の人が見てくれている私のページで
世辞を書くことなどはしない

 

素直に、娘の幸せを
その強さの中に見いだすことが出来た事を
心の底からうれしいと思った
それだけである

 

娘夫婦
婿さんは“デカ”なので、前からは写真が撮れないのだ?
(本当のようなウソの話)

 

 

今日、娘夫婦が案内してくれた
でっかいお寺

 

 

娘夫婦と会ってから
近くの田んぼに栽培されていたチューリップが
まばゆいほどきれいであった

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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