2003年04月26日(土曜日)
696話 破滅への一直線
SARSが一部の地域にパニックを起こしている
特に香港、中国は深刻だ
わが社の開発担当者に、洗車専用タオルの開発の詰めで
上海に行くように打診したのだが
まるで
散歩中のわんこが
自分の行きたい方向と違う道に主人がひっぱって行こうとすると
足を踏ん張って、首輪が喉に食い込もうとも
ズルズルと引きずられても
頑強に拒否するように
「絶対!ヤダ!」と
なみだ目?で首を横に振る
「死んだらヤダもん」
その担当者が
当社の社員旅行の幹事でもあるのだが
(自然発生的にそうなっている)
毎年のグァム旅行(これが安いのだ)を中止して
とっとと、国内温泉旅行でまとめてしまった
よっぽど
SARSに恐怖心を持っているのか
しばらくは、何があっても海外には行きそうにない
タオルの開発についての詰めには
中国人の李さんに行ってもらった
中国人だから大丈夫というわけではないのだが
母国が苦境に立たされている今
自分が行かなくてはと思ったのか、気持ちよく行ってくれた
ホンとに申し訳ない、という気持ちと
感謝の気持ちでいっぱいだ
その李さんが言っていた
「300人ぐらい乗れる飛行機に、私を入れて17人しか乗っていなかったよ」
事は尋常な深刻さではない
イラク戦争のあおりもあって
また何社かの航空会社が倒産するのであろう
強がりではなく
私はそういうこと、ほとんど頓着しない
今度のゴールデンウィークには海外に行くことにした
といっても、たった3時間半のグァムであるが
つい最近の思いつきで、行こうと思っただけ
普通ならば
半年前に予約しても
なかなか取ることが難しいゴールデンウィーク真っ只中のチケットが
1週間前にでも手に入ったのだ
今でも大丈夫だそうだ
いや、きっと完売は無理であろう
もちろん国内旅行より安い料金でだ
SARSは、グァムは全く関係ないはず
むしろイラク関連のテロが怖いのか・・・
両方なのかもしれない
中国では今現在、実際に発病している人は5000人ぐらいで
200人以上の人がSARSで亡くなったそうだ
しかし、中国の人口は12億人以上
戸籍のない人も入れれば14億人とも、16億人とも言われている
14億分の4000人
30万人に一人発病して
700万人に一人が死んだ、実際はそんな確率だ
人口1200万人の東京で2人足らずの人が死んだだけだ
そういう確率だけで言えば、大したことではない
SARSそのものが、全世界の破滅につながるものではないだろう
恐ろしいのは
抗生物質の乱用である
抗生物質は、体の中の細菌とかウィルスを殺し
人体にはダメージを与えない特殊な物質で
ペニシリンの発見により、赤痢などで死亡する人が激減したことなどから始まり
医療の劇的な進歩に寄与した
抗生物質なしでは、現代の医療は成り立たないまでになっている
しかし、抗生物質とは非常に特殊な物質であり
無限にその種類を開発できるものではない
人という生物にはあまり害がなく
ウィルスには致命的な物質など、そうそうあるものではないのだ
それに対して
ウィルスなどは、その世代交代が人などに比べて恐ろしく速く
ものすごいスピードで突然変異を繰り返し
つまり進化を遂げ
その特殊な物質に対する適合を果たした種が出来てきてしまうことだ
院内感染で
抗生物質に恐ろしく強い菌がはびこり
大きな被害を出しているという問題は記憶に新しく
いまだに根本的に解決する様子はない
SARSが恐ろしいのも
その症状が劇的なものであることと同時に
抗生物質による治療が、今のところ全く通用しないところにある
人がどんなに抗生物質を開発しても
つまり、人には害を与えず、退治したいウィルスには致命的な物質を開発しても
それに対抗する菌、ウィルスなどが
それに適合する進化を、それほど長い時間をかけずに果たしてしまう
SARSにも、おそらく特効薬が開発されるのであろう
しかし、その特効薬に適合するウィルスも
時間の問題で生まれてきてしまう
攻めれば攻めるほど
その攻めに適合する敵が、自らの進化によって生まれてきてしまうのだ
抗生物質とは、まさしく両刃の刃
効果が劇的である抗生物質が開発されればされるほど
さらに強力であり
どんな物質にも耐えうるウィルスを作り上げていくことになる
医療の場で
不必要な場合にまで抗生物質が処方され
日常茶飯事に使用されていることは
考えてみると、こんな恐ろしいことはない
ましてや
家畜のエサに
当たり前のように大量の抗生物質を配合していることなど
狂気の沙汰である
以上は科学雑誌などの記事を読んだ受け売りであるが
まったく、なるほどなぁ~、と思わざるを得ない
人類が滅亡するのは
核兵器でもなく
地球の温暖化による環境の激変でもなく
ましてや、巨大隕石の衝突でもなく
その前に
人類は「風邪」によって滅亡する
どんな抗生物質にも適合した、人類史上最強のウィルスを
人類は自ら創り出してしまい
そのウィルスによる「風邪」によって滅亡する
記事はそう結んでいた
SARSは、そのプロローグでしかない、とも
人類の作る抗生物質と、ウィルスとの戦いは
破局への一直線の戦いなのかもしれない
※
今、富山のホテルでこれを書いている
昨日は福井に出張した
福井に行ってから、そのまま富山に来たわけではない
昨日、福井に行ってものすごく大切な用件を済ませた後
日帰りで名古屋に戻って
昨日の夜と、今日の午前中
スーパー耐久にかかわる大切なお願いで回って
夕方、名古屋から富山に走ってきた
自分で考えても
このスケジュールは無茶であった
しかし
昨日の昼、ご馳走になった
今迄で一番おいしいと思った「蕎麦屋“つるつる”」と
今日の午後10時過ぎの富山での晩飯
「富山エクセルホテル東急(“旅窓”で安い!)」の東側の道を入って
一本目の路地を右に入ってじきの右側
イタリア料理「フィオレンティーナ」
そのイタリア料理屋さん
ソースがばかウマで
絶品であった
(もちろん安い!)
こんな幸せを
絶対に治らない「風邪」なんかで失ってたまるか
私は、ここ何年か風邪を引いたことがない
馬鹿か、丈夫か、どっちかである
最悪の不治の風邪で、人類が滅亡することがあっても
最後まで生きて
おいしいものを食べるのだ
・・・・・
絶対に