2003年03月31日(月曜日)
678話 それでもやるか?
福岡への飛行機の中でこれを書き始めた
今日は、ウィークデイであるが
仕事ではなく、MINEサーキットにレースのための練習に行く
先々週、一度行っているのだが
668話で書いたように、走り始めのわずか2周半でマシントラブルとなって
一日を棒に振ってしまった
4月6日のジュニア耐久レースまで、もうあまりに日が無く
ほとんど練習なしで、
しかも前日が全体会議なのでレース本番当日の朝、サーキット入りの予定
いきなりのぶっつけ本番で、やおら予選を走るほどの度胸は無い
しかも
土日は、サーキットの方が他のレースなどで埋まっていて
練習できない
苦悶の結果
土日に無理やり仕事を持ってきて
月曜日に時間をこじ開けた
なぜか、飛行機の隣の席には相棒の“ヘな2”吉田君が座っている
お互い、レースを始めた頃に比べて
ホントに時間が取れなくなってきていて
一回の練習のために、かなりの苦労を要するようになってきた
この不景気の時代に
仕事が多くなって、時間が取れなくなってきていること自体が
ありがたいと思わなければならない
強行軍であり
朝7時20分の、名古屋空港を一番に出る飛行機に乗った
朝5時半起き
私には悪い癖がある
次の日に楽しいことがあって
しかも明日は早起きしなくてはという夜、眠れなくなってしまうのだ
まるで、小学校の頃に、遠足の前の夜
眠れなかったことと同じだ
楽しいことがある前の日は、一種の興奮状態になるのであろうか
布団の中にもぐり、じっと目を閉じていても
サーキットを走っている自分が
頭の中に出て来て
一つ一つのコーナーをクリアしながら、走り始めるのだ
1周、2周と走るうちに
イメージの中でだんだん興奮してきて
ばっちりと目が覚めてしまう
こうなるともうだめで
「眠らなくては」と思えば思うほど目が冴えてくる
目が冴えたついでに、色々仕事のことも考え始めて
つい、パソコンを開いて
ちょっとだけと、何かを書き始めてしまう
それで夜1時・2時になってくると
今度は腹が減ってきて、余計寝れなくなって
泥沼に陥っていく
・・・
・・・・・・・
・・・
と、ここからは、今日一日が終わって
なぜか福岡のホテルの中
結局、昨夜は2時過ぎまで起きていて
朝5時半に起きて
朝一番の飛行機に乗って福岡に着き、そのままレンタカー
ボォーッとした頭で、MINEにたどり着いた
今日がレースまでの最後の練習のチャンス
MINEに到着後、徐々にテンションが上がっていく
昨日3時間ぐらいしか寝ていなかったことなど、どっかに行ってしまった
まず1本目
グリット!の吉田からアタック
彼は、昨年12月のレース以来始めてのレーシング走行だ
約4ヶ月ぶり
気合を入れて出て行った
1周目
2周目
しかし、あまりタイムが上がってこない
3周目
4周目
私は、2コーナーからS字コーナーまで見えるフェンスに行った
そこで、コーナリングの調子を見る
彼が苦手の3コーナーでは、まずまずアクセルが踏めている
なかなか調子よさそうな感じに見えた
5周目
S字コーナーの入り口で、ちょっとリズムが狂ったか
ヒールアンドトゥの音がおかしかった
6周目
そろそろタイムが知りたくなってきて
ピットに戻る
ピットウォールに着いて
サインボードを構えた
「このボードでいいんでしょ」、と小林メカに話しかけたら
「いや~吉田さん戻ってこんのですよ」と言う
「えっっ」
悪い予感が頭をよぎる
小林メカいわく
「さっき、1コーナーにかかるところで、マフラーから白い煙がボワっと出ました」
私、「えっっっっ、白い煙???」
最悪である
マフラーからの白い煙とは、オイルが燃えた煙しかない
オイルが燃えた、と言うことは
エンジンがブローしたという証拠以外何者でも無い
エンジンブロー=一巻の終わり
小林メカが、フェンスのほうに走っていく
じきに帰ってきた
「3コーナーで止まってました」と無表情に言う
小林メカは、いつも冷静なのだ
今度は私が見に行ってみた
確かに、25番レビンは3コーナーにじっと止まっていた
吉田君もその脇でじっと立っていた
私にも身に覚えがある
止まってしまった車と一緒に走行枠時間が終わるのを待つ
あの時間は
永遠とも思えるほど長く感じるのだ
やがて、走行時間が終わってマーシャルカーが迎えに来てくれる
そして、牽引
ピットに着いたとき
どんな顔をしていいのやら
案の定、エンジンがブローアップしていた(ぶっ壊れていた)
吉田いわく
「何にもしてないのに、壊れちゃいました」
ボソッと小さな声で小林メカ
「9000回転、回っていましたよっ」
(25番には、エンジン回転を記録する機械が付いているのだ)
どこかで、本人が無意識のうちにオーバーレブしたようだ
悪気があったわけではない
誰にでもミスはある(なんと優しい言葉)
結局、これで本日の走行はジ・エンド
私は、一回も走れなかった
1周も走れなかった
レーシングスーツに着替えることすらなかった
しょげる吉田に優しい言葉をかけながら
私の心は、奈落の底に落ちていった
前々回来た時は、ナラシで1本走っただけで、雨になってしまった
前回来た時は、2周半走ったところで、ギヤが壊れた
今回は、1周も走らないうちに、エンジンが壊れた
はるばる名古屋からMINEまで
3回も来て
走ったのは、1本(ナラシ)と2周半だけ
ツラ~~~~~~イ!!
長い、途切れ途切れの言葉と沈黙の時間が過ぎて
しょげていた吉田も
もうこの笑顔(こいつは太い)
時間が余った
みんなで今度のレースをどうするのか、話し合う
「どうせなら、出ましょうよ」
吉田の一言で、出ることに決定
載せかえるエンジンも都合がついた
ここまで、やって
ことごとく不運に見舞われているが
ここでやめたら、不運に負けたことになる
「そこまでやるか?」
「いやっ、あきらめない!」
こうとしか言えないのだ
結局、走ることが出来ず
スゴスゴと福岡空港に向かう
福岡空港でチェックインをしようとしたとき
電話が掛かってきた
熊本の○○さんからだ
新しい店の土地とレイアウトを見て欲しい、とのこと
私
「いや~ちょうど福岡にいるんですよ私、良かったら
今夜このまま福岡に泊まって、明日の朝見ましょうか?」
ということで、急遽、福岡に泊まることにしてしまった
災い転じて福となす
ラッキーであった
どうせ泊まるのならばという事で
福岡営業所のスタッフ「平山君」と、その奥さんと赤ちゃんを呼び出して
みんなで食事をすることにした
平山夫婦とは、結婚式に出席して以来
二人の赤ちゃん「英(はな)ちゃん」は
とってもいい子で、ふくっらまん丸であった
驚いたのは奥さん、結婚時で見たときよりまして、きれいでかわいかったこと
そして、平山君を引き立てるその言葉一つ一つが
とても素敵であった
そして、その亭主・平山君も、とても幸せそうであった
今日のサーキットでのトラブルが
こんなラッキーを呼んでくれた
走れなかったことは、とっっても悔しかったが
とてもすばらしい晩御飯で一日を終わることが出来た
ラッッキーである
最後に、今日は色々ありすぎて
前話で約束の、続きを書くことが出来なかった
明日こそがんばりましょう