谷 好通コラム

2003年03月25日(火曜日)

673話 雲を突き抜けて

今日は、札幌行きだ
その飛行機の中でこれを書き始めた

 

昨日は福岡だったので、本来ならば
福岡から札幌の直行便に乗り、昨日のうちに札幌に入ってしまえば
今日の午前中、半日余分に仕事が出来たのだが
福岡⇔札幌の直行便は、出来れば、私は使わないことにしている
以前、何度か使ったときに、決まって体調が崩れ、風邪をひいてしまったから

 

特に、暖かいところから急に寒いところへ行ったから
という訳だけではないようなのだ
福岡は、名古屋と、気温的にはほとんど変わらない
だから名古屋⇔札幌と、温度的変化はそれほど変わらないはずなのだが
多分に気分的なものがあるのだろう
住んでいる場所から見ると
西南に1000km以上離れたところから
自分の住む家の上を飛び越して反対側の北東へ
今度は1500km以上行ってしまう、そのことが精神的にこたえるのだろう

 

本人は自覚していないが
やっぱり「家に帰りたい」という本能的な気持ちが
根っこにあるのかもしれない
だから、“自分の家を飛び越して”という部分が
気がつかない所で、ダメージになっているのかもしれない

 

今日の名古屋は雨
昨日の夕方から降り始めたそうだ(福岡にいたので判らない)
雨と晴れが交互に、短いスパーンで繰り返されている
それも必ず週末がらみだ
本格的な春を迎えるための準備とはいえ
洗車をする側も
洗車をしてもらう側も
いささか、げんなりしてしまう

 

そんな雨の日でも
街は暗く濡れて、暗い雲が重く垂れ下がっているが
しかし、その雲の上には
いつも輝くばかりの青空が
いつも変わらず有ることを忘れてはならない

 

私は雨の日に飛び立つ飛行機が大好きだ

 

雨の街を飛び立って
ぐんぐん上昇し
すぐに暗い雨雲の中に突入
時には気流が悪く
ドンドンドンと揺れながら、雲の中、飛行機は力を振り絞って昇って行く

 

雲の中は
最初は暗いが
上昇するにつれて、少~しずつ明るくなって
徐々に、雲を突き抜ける期待に胸が膨らんでくる
やがて、雲の上端の切れ目に達すると
たいていの場合、そこは気流がいっそう乱れていて
ひときわ激しく揺れる

 

しかし、機体が完全に雲を突き抜けた瞬間
機体の揺れがぴたっと止まり
目の高さの雲海と
その上に広がる紺色に輝く青空

 

私はこの瞬間が大好きだ

 

暗く思い暗雲の中を
ひたすら昇って行くと、必ず、雲を突き抜ける瞬間があり
視界が一挙に広がって
すばらしい青空が、そこに待っている

 

まるで人生のようではないか!

 

今の世の中のように
まわり見渡すかぎり
暗く感じさせられる時があったにしても
手をゆるめず
足を止めず
前に進み、昇っていけば
必ず、徐々に明るさが増してきて
突然まわりが透き通り、突き抜けるような快晴が待っている

 

雨の街を発った飛行機に乗ると
そんな風に、いつも、雲の上の青空に勇気づけられ
励まされるのである

 

朝、雨の名古屋を発つ

 

 

暗い雲の中をグングン昇っていく、機体は揺れる

 

 

しばらくすると、雲が明るくなってきて、突き抜け、青空が見えてくる

 

 

上空10000mからの青空は紺色に輝いている

 

 

飛行1時間20分後、到着した札幌は、5日前と同じ雪景色であった

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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