谷 好通コラム

2003年03月09日(日曜日)

659話 気が重くなる話

今日の朝テレビでやっていた討論会で
いささか気が重くなってしまった

 

イラクでもうすぐ戦争が始まりそうなのを受けて
日本の若者たちが
「戦争」について、どのような意識を持っているのか
そんなテーマであった

 

☆質問
「戦争が始まったら、自分も戦うか?」
ガングロの女子高生
「戦争って今でもやってるの?私たち関係ないから、どっちでもいい」
現役の暴走族
「絶対、戦争なんかに行かない。俺に関係ない奴が始めたんだから
俺は関係ない。逃げる。どこまでも逃げる。」
なんで?
「戦ったって損なだけだし、どこまでも逃げる」
エリートのような学生
「僕は戦いますよ。国を守るのは当然だ」
街角でのインタビュー
「そんなん行く分けないじゃん、行きたい奴が行けばいいじゃん」
「彼氏が行くって行ったら?、ちがうの探す」
「考えられない。日本が戦争するわけないでしょ。」

 

☆質問
「戦争放棄の憲法第9条についてどう考えるか」
ガングロの女子高生
「知るわけないじゃん、そんなの。だいいち読めないよ。そんな漢字。」
学生
「だって今はすでに自衛隊があるでしょ。私は関係ないですよ」
タレント
「私、授業ほとんど受けなかったから、それって知りませでした。」

 

しらける若者と、権力者になることを意識するエリート学生
そして、知識人、いらだつ年配者、
議論が空回りする

 

内戦があったウクライナからの学生
「戦争って、自分や、自分の家族や友達が本当に死ぬことなんです。
戦争が始まってしまったら、関係ない人なんて誰もいないんですよ。」

 

議論に参加していた韓国のモデルが
「あなたたち、何故そんなに戦争ことを知らないの、学校で習わなかったの?」

 

観客のドイツ人の学生らしき女性
「私たちドイツの国は、第2次大戦でひどいことをしました。
だけど、私たちの国では、そのことを学校で、きちんと勉強しました。
だから、戦争になるとどんなことになるのか、知識だけですけど、よく知っています。」

 

エリートらしき学生
「ドイツは確かにホロコーストなんて悪い事したけど、日本はそうじゃない。」

 

知識人
「日本も皇民政策といって、韓国とか、台湾・中国とかたくさんの国で
たとえばその国の文化を抹殺するような、犯罪的なことをいっぱいやってきた」

 

韓国女性
「私のおばさんは、従軍慰安婦だった。今でもその傷は癒えていない。」

 

エリート学生
「証拠は何も無いじゃないですか。裁判だって物証がなければ有罪にならない」

 

そこへ、現役の傭兵で、仕事として戦争の兵隊をやっている男が
「冗談じゃない!悪い事をやったら、証拠を残す訳ないじゃないねえか。」

 

韓国の女性は、歯を食いしばって涙を流しはじめた

 

ホロコーストは「ユダヤ人の死体、遺骨」という証拠を残した
しかし従軍慰安婦については
外国人に無理やり、あるいは騙されて
誰も救ってくれない絶望的な状況の中で、合法的に強姦され
それが繰り返し、延々と続く。
そんな、生き地獄の証拠は、彼女たちの心の傷という
形の無いものでしか残らなかった

 

その意味では、たしかに物証はない

 

しかし、物証がないこといいことに
何万人もの悲痛な、勇気ある彼女たちの訴えがあるのに
「あったかどうかは解らない」と“シラを切る”ことが、どんなに恥知らずな事か

 

北朝鮮による拉致事件は、全く卑劣なことであって
なんらの正当化も当らない

 

しかし、かつての日本人が、強制連行によって
何万人、何十万人、何百万人という韓国人、中国人を
日本に連行したり、あるいは戦地に連行して
ただ同然で過酷な労働させたり、戦わせたりしたことも事実だ
拉致も連行も本質的には全く変わらない
こそっとやるのが拉致
公然とやるのか強制連行

 

私は直接見た訳ではない
しかし
私が子供のころ住んでいた名古屋市南区のあの地域は
1/3が韓国人であった
当たり前のように同級生にも韓国人がいっぱいいた
べつに、それが不思議でもなんでもなかった
そして
同級生の親とか、おじいちゃんたちから
日本に連れてこられた時の話を、いっぱい聞いたし
それが全部、巧みに作られたウソとは、とても思えない
小学生のハナタレ小僧であった私に、そんなウソをつく理由なんか全くない
だから
従軍慰安婦の話がウソかどうか・・・
ウソであるわけがない、としか思えない
そうとしか思えない

 

今、マスコミは北朝鮮による拉致問題を
一方的な加害者、被害者の立場だけでまくし立てている

 

人を非難するときは、自分がやっていること、やったことを
十分に自省した上でなければならない

 

自分たち、私たちの国が
いろいろ複雑な事情があったにせよ
ある部分においては、やったことが、どんなにひどいことであったのか
それを十分に認識した上で
してはならないことであったことを、認めた上でしか
相手に対して、それはしてはならないことなのだ、と主張はできない

 

自分の非を認めた上での、主張でなければ
ただの一方的な非難・攻撃であって
正に、理不尽な戦争そのものだ

 

だから
私たちの国が、かつて何をやってきたのか
子供たちに教えていかなくてはならないと思うのだ
何よりも必須の教育項目である、そう思う

 

「恥ずかしいこともした」ということも、教えていかなくてはならないと思う
それが、平和を作り出す唯一の方法だとも思う

 

「戦争は、自分が善であり、相手が悪であると
“お互いが思う”ことによって成り立つ」

 

自分たちの歴史の恥である部分を
「子孫に教えない」という方法で、消し去ろうとする行為は
つまり、戦争のことには触れない教育を続けることは
自らの非は教えないことであり
実は、たとえば権力者が自らの利益のために戦争に向かおうとした時の
その意図に
最もたやすい状況を作るということでもある

 

私たちの年代から若い子達が
戦争のことについて全く意識を持たずにいるということが
戦争に最も近くなる危険なことなのだと思う

 

また
自分たちの国が何をしてきたのか、知らないでは
実は、グローバル化真っ只中のこの時代に
取り残されてしまう大きな要因であるということも大事なことだ

 

「戦争について知らない、興味ない、関心が無い」
多くの人がそうであるこんな状況には、大きなプロパガンダの意図の臭いがする
戦争をしたい人たちだけの意図ではない
ある意味では、それはもう無理だ

 

私が感じるのは「人々のブロイラー化」・・
その話はまた、いつか

 

※午前中のそのテレビ討論ですっかり気が重くなってしまった私は
気晴らしに、新しい知立店の前の「アピタ」に買い物に行った
私は、買い物は苦手で
屋上から写真を撮っていたら
「快洗隊知立店」がばっちり目立っていた
うれしかった

 

 

そして遠くには
御嶽山であろうか、乗鞍岳であろうか、はたまた何と言う山であろうか
春一番の強い風が、スモッグを吹き飛ばし
白く雪を被ったでっかい山がはるかに見えた

 

ページのトップへ ページのトップへ

  • 最近の記事

  • プロフィール

    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

  • カレンダー

    2024年12月
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    293031  
  • リンク集

  • 過去の記事

  • RSS1.0

    [Login]

    (C) KeePer Giken. All rights reserved.