谷 好通コラム

2003年02月14日(金曜日)

642話 誰が返すのか?

小郡から新幹線に乗り、新尾道まで行って
そこから高速バスに乗り換えて、四国の今治に向かう

 

「しまなみ海道」という瀬戸内海のいくつもの島をつなぐ巨大な橋を
いくつも渡って行くのだ

 

(というつもりであったが、バスに乗り遅れてしまい。結局レンタカーで行った)

 

今、四国と本州をつなぐルートが3本あって
神戸⇔徳島
岡山⇔高松
尾道⇔今治(松山)
かつてのように連絡船を使わなくても
車に乗ったまま四国に行くことができる
たしかに便利になった

 

しかし、このルートはいずれも巨額の税金が使われており
費用対効果の意味で無駄遣いの権化のように言われている
そのためもあって、この橋を渡る料金は
非常識に思えるほど高く
利用者にも、いたって不評である

 

では、何のために作ったのか
「作ることによる工事に経済効果がある」という説がある
諫早の干潟を破壊した干拓事業
環境破壊ということにおいて世界的に有名なこの工事も
汐止め堤防を作るその工事自体の経済効果が
干拓事業そのものの意義の一つとして言われている

 

何かを作ることが
つまりお金を使うことが、すなわち経済効果であるという論理は
経営者としては、どうも理解できない

 

今、日本が国家として抱えている負債は
なんと700兆円であるという
700兆円というと、国民一人当たり約600万円
赤ん坊から年寄りまで全部、一人当たり600万円の借金を抱えている
一世帯が4人と考えると
一家族2400万円になる

 

そんな借金をいつ間にかした覚えがありますか?
国とはすなわち国民のこと
国の借金といえば“ひとごと”のように聞こえるが
正真正銘、間違いなく
私たち一人一人の借金

 

国単位のお金の事を聞いてもピンと来ないが
この金額を、大雑把に一億(人)で割れば、実感がわいてくる

 

たとえば3兆円の国債追加発行とあれば
私は、3万円の追加の借金をするのだと考える

 

国民=自分が受ける国からのサービスに対して
自分が納めた税金が足らないので
借金を3万円増えると考えるのだ

 

銀行に1兆円の公的資金を注入すると聞けば
私は、銀行に対して無担保で1万円、金を貸すと考えればいい
家族が4人ならば4万円を、なのだ

 

一つのサーカー場に2000億円かかったと聞けば
そのサッカー場を作るのに
私は、2000円払った

 

全部、自分が借り、払い、返すと考える
そうすると、以外に単純なことであり
また、恐ろしいことであることも感じてくる

 

私たちは、自分が働いて稼いだお金から
所得税、タバコ税、酒税、高速料金、揮発油税
それらを含めた料金に重ねて、さらに消費税
会社を通じて法人税
などなど

 

アミの目のように張り巡らされ、多重に被せられた税金という形で
み・ん・な・で・お・金・を・出・し・合・い

 

道路を作り、橋を架け、便利になり
学校を作り、学校の先生の給料を払って、子供の教育を受け
図書館を作り、博物館を作り、記念館・公会堂を作って、みんなで楽しみ
堤防を作って災害から自分たちを護り
役所を作り、役場の職員さんの給料払って、便利なサービスを受け

 

警察署を作って、パトカーを買って、警察官の人の給料を払って
自分と家族の安全を護ってもらい

 

消防署を建て、消防車を買って、消防署員の人に給料を払って
家事から自分や自分の家族を護ってもらい

 

病院での医療費が、私たちが払っている保険で足りなければ、補填という形で払い

 

戦車とか鉄砲を買い、軍艦を買い
兵隊さんの住宅費、食費、給料を払って、私たちを外国から護ってもらい

 

貧しい人たちを生活保護という形で養ってあげ
・・・・・・・・・・・・・

 

などなど、数え切れないほどのサービスを受ける

 

簡単に言えば

 

?みんなで稼いだお金から、税金という形で、お金を出し合って
?一度、国庫というところへプールして
?便利で文化的な生活と、安全というサービスを、みんなで受ける

 

A.そのサービス配分予定を役人が作り
B.私たちが選び出した議員が吟味して決定する

 

民主主義の基本形
みんなという言葉を使うと、自分とはかけ離れた話のように聞こえるから
自分という言葉に置き換えると

 

自分が稼いだお金から、国庫というところへ一度お金を払って
自分の便利で文化的な生活と、自分の安全というサービスを受ける
そのサービスの配分予定を役人が作って
自分が選んだ代表が吟味して、決定する

 

極端にシンプルにしてしまえば、こんな事か

 

しかし、自分自身が生活に欠かさざるべきサービスを受けているとはいえ
気が遠くなるほどの
馬鹿げた巨額の借金をしてまで
そこまでのサービスを受けたい、とは思わない

 

この巨額の借金
誰がすると決めて、誰が返すのか

 

自分の子供でしょっ、返すのは!
そう考えたら、今のうちに精一杯返しておかなくっちゃって思いません?

 

世界的に見ても、記録的な巨大な橋を
なんと、いっぺんに3ルートも掛けてしまった事実を

 

実際に、借金のカタマリである「しまなみ海道」を渡って
巨大橋を次から次へと渡って

 

ヒシヒシと感じてしまったのです。

 

 

それでも瀬戸内海は、美しかった

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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