2002年11月20日(水曜日)
577話 体に快感が残る
ヤバイのである
私の体が、あの快感を忘れられなくなっている
禁断の果実を食べてしまったようだ
まさか、乗らせてもらえるとは・・・・
夢にも思っていなかった
ふいに
「乗ってもいいよっ」
と、言われて
ドキッとした
返事もできず
ジッと、そのボディーを睨みつけてしまった
と、同時に手が出て
足を思いっきり上げて
必死に乗る
体を折り曲げて
呼吸も出来ず、顔を真っ赤にして
やっとの思いで、もぐり込んだ
入ってみれば
狭そうに見えた中は
意外なほど体にピッタリで
ゾクゾクしてしまう
それでも、さすがにわき腹の辺に少し抵抗を感じる
硬そうに見えたシートも
意外にピタッとくる
目の前に迫るステアリング
そっと手を出して、握ってみる
前から使い慣れているもののようにピッタリの大きさだ
ステアリングから左に15cmほど
ボディから斜めに生えたシーケンシャルのノブがある
憧れのシーケンシャルである
私は、クラッチフットである左足が少し不自由なので
レーシングドライブ中は
クラッチを踏むことに多くの神経を使っている
シーケンシャルならば、走り出してしまえば
後はエンジンの回転を
合わせていくだけで
(これが実は、かなり難しいのかも知れないが)
クラッチを踏まなくていい
シーケンシァルを動かして、手ごたえを確かめたいところであるが
レース直前でもあり
それは許されることではない
しかし
ノブは、ステアリングからちょうどいいぐらいの位置にあって
さぁ、カチッカチッと入れてご覧と
私を誘っているようだ
メーターは
すべて液晶ディスプレイに出るようだ
すべてのスイッチがOFFになっているので
ただのねずみ色
一体どんな風に
どんな色で、表示されるのだろう
まったく想像すら出来ない
アクセルと、ブレーキペダルは
意外にも、滑り止めすら切ってない
ただのツルツルの分厚いアルミの板のようであった
かなり頑丈そうである
それらは、ものすごく狭い空間に押し込められていた
履いていた運動靴では
あちらこちらに引っかかって、とてもまともに操作できない
やはり、引っかかりのない上質のレーシングシューズが
必要であろう
さて、問題のクラッチ
シーケンシャルといえども
スタートの時だけはクラッチを踏む必要があるので
ちゃんと、クラッチペダルも着いているのだ
「べらぼうに重い」と聞いていた
ちょっと押して見てもビクともしない
そこで
腰を入れて
「どっりぁ~~っ」と掛け声をかけんばかりに
筋トレの足で押すやつのように
全力で踏んで見た
動いた!
油圧の重いテコを押しような感じで
ヌオ~っと、動いた
これでこの化け物カー
GT選手権用のMR-Sを操縦する障害はない
乗ってみたい
動かしてみたい
操縦してみたい
車重1t足らずで390馬力のモンスターカーで
130R高速コーナーを250kmで駆け抜け
4Gをまともに顔面に受け
ヘルメットの中で、顔をつぶしながら
快感に痺れてみたい
?17のコックピットに座り
無言の内に空想に走った私は、危うく気を失ってしまうところであった
今もう・づ・く、あの快感
私は一体どこへ行ってしまうのであろう
※モノコックとロールバーの狭い隙間をくぐり、必死でコックピットにもぐりこむ
(この写真は、先に平井に使ってしまったが、ひるまず使う)
※凶器と、狂気と、狂喜を感じさせる驚喜のコックピット
※・・・・・・快感