2002年11月14日(木曜日)
570話 われ思うがまま
3日ぶりに
平井君の話の続きである
彼は紆余曲折しながらも、ようやく東京営業所に赴任した
彼の住む東大和市から、東京営業所の錦糸町まで
毎日2時間以上の通勤時間だったそうだ
「だったそうだ」は、過去形である
彼は、この通勤時間の長いのはたまらんとばかりに
自分の家の近く
あるいは通勤途中に
新規の顧客を“たんまり”と、作ってしまったのだ
当然、直行が多くなる
その方が、営業所に出てきてから出かけるより
はるかに効率が良く
仕事がはかどり、実績も出るような形にしてしまった
獲得してきた新規顧客も、一流の顧客がズラッと揃っている
さすがである
東京にはすでに2人のスタッフがいて
3人目の新人の彼には
今までとは全く違ったスタンスの領域の開発を、期待し、指示していた
だから、訪問先も今までの業界とはかなり違っている
彼の新規飛び込みのパワーはすごいものがある
一時期、どんどん新しい顧客が増えていった
しかし、ここで問題が
私たちは、これまでガソリンスタンドの方々を
もっぱら顧客としてきたので
ガソリンスタンドで使うと具合の良い商品ばかりになっていたようだ
私たちが用意している商品が
SSとは全く違う業界のビジネスにはなかなか合わず
思ったように商品は売れない
しかし
彼の、顧客からの信頼は厚く
頻繁に同行販売を組んでくれて、積極的に行動してくれるのだが
思ったように売り上げが、上がっていかない
今、彼はちょっとスランプ状態
私たちも、彼が開発した新しい販売店さんに合った商品を開発し
彼の努力に、成果を伴わせたいと
一生懸命やっているが
なかなか難しいものだ
彼、平井は実に不思議な男である
また、実に魅力的な男でもある
彼の話している言葉は
彼が思っていることそのもの
気持ちがストレートに言葉になって出てくる
嘘を言わず、ベンチャラを言わず
思っていることをストレートに喋る
だから
何を言おうとしているのか、かえって解かりにくいこともある
しかし、正直に喋っていることだけは間違いない
行動においても、そうだ
自分でこうしたい、こうすべきだと思ったことを
それが、しんどいことであろうと
たとえ損になることであろうと
平然としてやってしまう
ほとんどの人は
年に重ねるに従って
色々な経験の中で、ひどい目にあったりして
“懲りて”
自分が思っていることを
ストレートに話さなくなったり
やるべき行動を
起こす前に、起こさないという形で
挫折してみたり
自分を萎縮していく
その意味において
彼は、自分の考え方、思ったことを
そのまま行動したり、言葉にしたりすることが出来る
“強さ”を持っていると言ってもいい
そして、その強さが
自分の持ち続けている“夢”を実現する原動力にも通じる
そのことを
彼は、彼独特の表現で“ツッパリ”と、言う
そして
私のことまで自分と一緒にして“社長はツッパリ”だ、と言う
自分の思うがままを、臆せず発言し、行動する
そういう意味で“ツッパリ”と言われるのは
ありがたい話だと思うが
単に
「うちの社長はツッパリだ」
と言ってしまって
彼が言おうとしている意味で受け止めてくれる人が
どれだけいるかと思うと、心配になって
私は、彼に
私「俺は、ツッパリなんかじゃない」と
言わざるを得ないのだ
しかし私が、いくら、そう一生懸命言っても
平井「いや~~~っ、社長はやっぱりツッパリですよ」と
嬉しそうに言われると
まっいいか
とも思う
※
自分がそうすべきだと思ったら
損得勘定抜きで、実行するその姿勢は、私は大好きである
「世の中、小ずるく生きた方が得だ」
そんな生き方が蔓延っているこの世の中
彼の考え方、生き方は
知らず知らずのうちに、多くのファンを作り
その証拠に
新しい顧客が、彼の周りにはいっぱい出来上がっている
その証拠に
彼のツッパッタ生き方によって、平坦な生活でないことも、あるかもしれないが
彼の奥さんも、娘も
彼のことを、大好きであることは
よ~く解かる
前の話で
2年前の交通事故のことを書いた
この話を書くかどうか、私は随分迷ったのだが
怪我をしたのは自分自身だけであったし
十分に反省もしているし
あのことで
彼の中で、いい意味で何かが起こったのかもしれない
こういうことがあった上で
彼の生き方、信じている生き方を
どう表現できるのかを、一生懸命考えたかったので
あえて、あのことを書いた
昨日今日と2回コラムを休んだのは
何度も書いたり、消したり
珍しく、一つの文章を書くのに時間がかかってしまった、から