2002年09月29日(日曜日)
534話 結婚式で父の涙
昨日の結婚式の花婿のお父さんは
わが社、東日本営業部・部長の中(なか)さんである
柔和な表情と
誠実さで、多くの人から信頼を得ている
独特の言い回しは、大阪弁と東北弁の“ごっちゃ”である
その中さんの息子さんと、そのお嫁さん
高校生の時からのお付き合いだと言っていた
8年越しの恋愛の上でのゴール
その結婚式に一緒に出席した石川君が
「自分たちもそうです」と言っていた
そして「それがどうかしたんですか?」とも
思春期の不安定な精神の中で
精一杯、相手を愛し続けたことに
驚きと尊敬の念を感じると、共に
その相手を一生の伴侶にすることを
大勢の前で宣言する
その誇らしさが、まぶしく感じた
「結婚式」と「戴冠式」「披露宴」
それは、合計4時間にわたった
その最後のセレモニー
お互いの両親への「花束贈呈」
私にも近い記憶として、覚えがある
今年の2月
私は自分の娘の結婚式があって
「花束贈呈」
この場面だけは、「本当にいやだなぁー」と思っていた
娘が両親宛の手紙を読んで
ジワ~と来たところに
司会の名ぜりふが、とどめを刺す
花嫁のお父さんは、涙でグチョグチョ
って筋書きだ
そのあと
どうせ「鬼の目にも涙」なんて、決まりきった冷やかしが飛ぶのだ
冗談じゃない!
そう簡単に、筋書き通りに行かされて、たまるか
「俺は絶対に泣かんぞ」
そう宣言して
結婚式も、披露宴も、泣かないことに、かなりの神経を費やしていた
そして、もちろん
当然のこととして、私は泣かなかった
しかし
後から考えてみると、実にバカバカしい
どうでも良かったことに思えている
あれから
私は結婚式のたびに
花束贈呈
この場面を見るのがつらくなってしまっている
と同時に、両親がどんな表情をするのか
気になって仕方なくなっている
今回の結婚式
花嫁の父親が私のところに、お酌をしに来てくれた時に聞いて見た
「私も、今年の2月に娘を嫁に出しました。
あなたも、けっこう淋しいものがあるんじゃないですか?」
お父さんの答え
「イエイエ、もう8年間もお互いの家に行き来している仲ですから
淋しいも何も無いですよ」
と、アッケラカンとおっしゃった
私は
「そんなものですかね~」と答えたが
内心は
『やっぱり、無理してるのかな』と、思っていた
さあ、いよいよ、あの儀式
「花束贈呈」(実は父親には、花束ではなく、1輪の花だけなのだが)
さすがに、元スチュワーデスさん
実に感動的な手紙を、涙ぐみながらも
はっきりとした発音で読んでいく
場内は、し~~~ん
あちらこちらから、鼻をすする音がする
素晴らしい場面であった
しかし、あれっ?
両方の母親は、さすがに涙が溢れていたが
父親の方は、意外とシャキ!
花嫁の父親もシャキ!
もちろん、感極まっている様子は見て取れたが
涙、涙の様子は全く無い
なかなか皆泣かないものだなぁ
最後の最後
両家を代表して「中さん」が、皆さんにご挨拶
中さんの挨拶は
さすがに、いつもセミナーなどを沢山こなしているだけあって
ナチュラルで気持ちいい
とっ
突然、中さんの声が詰まった
2人が長い間かかって、愛情を育んできたくだりに来た時
感極まって
中さん
声を詰まらせて
「泣いた」
「あら、花ムコさんのほうの父親が泣いちゃったよ。こりゃ反対だ」
と言いながら、石川君を見ると
彼も感極まったような顔をしている
中さんは、人間として素直なのだろう
人として、一番大切なことかもしれない
私は、自分の娘の結婚式の時
意地を張っていた自分を、少し恥ずかしく感じたのでした
そして
素直に感動したのでした
※披露宴さなかの中さん夫婦。たのしそう
※挨拶の時の中さん夫婦と、お嫁さんのご両親と、花嫁、花婿
※見送りの時の中さん夫婦。すっかり立ち直って、いつもの笑顔