谷 好通コラム

2002年03月20日(水曜日)

374話 ネガティブ?

前話で、助け合うことの力のことを書いた
そして、その力がだんだん退化してきていることも
「火の着いたタバコを平気でポイっと捨てる輩」のことに例えて、書いた

 

今日は競争原理の話

 

人は助け合い力を合わせることによって、大きな力を得、淘汰に勝って来た
とも書いた

 

では、争うことは無かったのか
とんでもない
人の歴史は、戦争の歴史でもある
生き物としての淘汰に勝ったのは、
人間同士、つまり同じ種同士が争う中で
その勝者だけが生き残り、支配し、強いものが生き残ってきたことによって
種そのものが
より強いものなっていく
これも、淘汰のあり方のひとつ
「競争の原理」である

 

しかし、争いは文明が進み
兵器が発達することによって、「戦争」となった
大量の死者を生み出す戦争となった
これは「競争の原理」が暴走した形
種の保存に役に立ってきた「競争の原理」が、
国家という権力機構の発達と同時に、暴走し、歯止めが聞かなくなって
種の保存になんら関係ない「戦争」に発達してしまった

 

しかし、もっと文明が発達して、現代
兵器そのものが種の絶滅に直接つながるような力を持ったとき
つまり、核兵器が発達したとき
種の保存という生き物の存在そのものにかかわる絶対的な原理が働き
大きな戦争は抑止され
人類の歴史そのものを左右するような戦争は終わったが
地域限定の戦争は、面々として続いている
戦争によって人類が滅亡するかどうか、この先全く分からないが
とりあえず、人類全体を平均して言えば、平和になった

 

そして、現代の歴史、それも直近の歴史の中に「共産主義国の崩壊」がある
この崩壊は、まず経済の崩壊から始まり、政治の崩壊につながった
その原因は単純だと、私は思っている
共産主義の下では、「よい商品=消費者が欲しい商品」が出来なかった
たったそれだけのこと、と思っている

 

平和で平等な世界を夢見て作られた共産主義は
強固な権力機構の基に
国民全員が、国民全体のために働き、すべての人が繁栄することを求めた
その代償が「名誉」であり「勲章」であった
これはひとつの理想の姿であった
が、しかし
残念ながら、そこに前向きの競争原理は発生しなかった
それよりむしろ、官僚の権力集中により
そして、官僚、権力者もただの凡人なので
その思想は
ただの権力闘争の道具に成り下がってしまい
結果として、国民の一人一人が働く動機を作るには
崇高な思想による名誉より、むしろ恐怖を用いたほうが簡単であり
権力者は何のためらいもなく、それを選択した

 

スターリンであったように、ポルポトであったように

 

人々は働くこと、仕事をすることに、ポジティブな動機を失ってしまい
商品開発の競争の原理は無くなってしまった
市場には、魅力的な商品、そそるような商品は存在せず
無いと困る商品、必要な商品だけが残った
消費者は、消費意欲を見失い
経済は沈滞し、経済は崩壊に向かって萎縮していった

 

そんな時
資本主義諸国、というより、むしろ自由主義諸国は「機会の平等」を掲げ
競争することを善とし
より魅力的な商品を開発することによって
あるいは、合理化によってコストを抑え
消費者がもっともっと消費したくなるような商品作りに、競争のしのぎを削った
そして、消費者であるのと同時に
生産者あるいはサービスを提供するものでもあるすべての人々は
より魅力的な消費を、より多くしたいと考え
所得を増やすことに一生懸命になる
所得を増やすこと
つまり生産者、サービス提供者としての能力を、自らの努力によって
人より上げ、競争力のある存在になろうと努力する
この拡大的な循環によって
経済は活性化され
結果として、自由主義の経済は
共産主義国の、理想が空洞化した形だけの名誉にしがみつくによって
萎縮の循環の経済を
桁違いの力とスケールで圧倒し、崩壊に導き
経済的な意味では、植民地化と言えるまでの存在に蹴落としてきた

 

競争の原理により、淘汰に勝ち
種の保存・繁栄を勝ち取ってきた人類は
競争は、種の根源の動機である
競争あるところに繁栄がある
競争なきところに繁栄なし、といっても過言ではない

 

人が、地球の歴史上かつて無いほどの、種の繁栄を勝ち得たのは
「助け合うことの力」と「競争の原理」
この両方を、両立して持ち得たからだと
私は思っている

 

一見、相反したこの2つ要素がどう両立するのだろうか
そのキーワードが「愛すること、と、被害者でないこと」
この言葉の意味については、また今度

 

今日、これを福岡のホテルで書いている
MINEサーキットに、レースを見に来た
今年から37番シビックに乗って挑戦する「山本君」を応援するため
彼は、この37番を、身銭を切ってレンタル、レースに挑戦する
結果は7台出走中、4位
初レースにしてはまあまあか
彼のことはまたいずれ

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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