2002年02月16日(土曜日)
358話 子供の結婚式
今日は、私の娘の結婚式
幕張のショーを1日だけ抜けて、富山に来た
(今日は、自らに禁じているプライベートな話をあえて書く)
私は、この結婚式のことを考えるのがイヤであった
理由など無い
だから、式についての相談には何も乗りたくなかったし
娘が色々言ってきても、無視していた
自分の娘が結婚するということについて
とにかく考えたくなかった
別に抵抗しようとは思わなかったが
考えたくなかった
理屈は抜きである
だから
今日の結婚式が何時から始まるのか
どういう風にやるのか
今日の今日まで知らなかった
知りたくなかったので、聞かないし、無視してきた
みんなと酒を飲んだ時には
娘の結婚式で、何をパフォーマンスしようか、などと
くだらない事ばかり言って、クダを巻いていた
結婚式が挙げられたのは「富山」
富山の教会で
キチンとした教会であった
そこで、私は娘の腕をとって、バージンロードを歩き
花婿に「渡す」儀式をする
礼拝堂に大勢の列席者が入った後
礼拝堂のドアの外には、私と娘が二人取り残される
娘と二人だけの時間
しかも、私の腕には娘の手が掛けられている
娘が私のものである、その最後の時間である
十数秒
次の瞬間、ドアが開く
たくさんの視線がこちらに注がれる
もちろん、その視線の99%は、娘に注がれたもの
それでもいい
娘は私の腕にとまっている
しかし
その向こうには、純白の衣装に身を固めた花婿が、いる
ゆっくりと、そちらに向かって進まなければならない
ゆっくりと
その一歩一歩を強い意味を込めて歩く
でも、あっという間に花婿の前に近づいてしまう
あと、3m
「時間よ止まれ!」
一生の中で一番強くそう念じた、真剣にそう念じた
目の前に花婿が来た時
私はまだ前に進もうとした・・
・・娘が止める
そこで終わりなのだ
決められたように、娘の手を花婿に渡す
そこで
私の娘は、花婿の手にゆだねられた
そのすべてを
私は
彼にゆだねた
ゆだねる瞬間まで、素直でなかった私の心が、一瞬に溶けた
悲しくはなかった
喪失感もなかった
すべてを受け入れる事が、この時、出来た
あとは淡々と
儀式が進む
式が終わり
私が今まで見たこともない
娘の幸福の表情がそこにあった
十分であった
充分に私も幸せであった
愛するものの幸せは、私にとっても申し分のない幸せであった
そのあとの披露宴も、すばらしかった
すべてが手作りであり
思いやりがこもった披露宴であった
自分たちで作った、そんな意思を強く感じる宴であった
自分たちの価値観を実現しようする姿勢は、見事なほどであった
みんなが楽しんだ
そして、最後の両親に対する花束贈呈は
私は、泣かなかった!
絶対に泣かないぞ、という気持ちもあったが
何も頑張らなくても、泣きそうにもならなかった
すべては
バージンロードで、娘を彼にゆだねたところで終わっていて
そのあとは、この上なく楽しかった
涙が出る理由は無かった
幸せだったのである
愛するものの幸せは、私にとってもこの上ない幸せである
でも、これを書いていて、止まらなくなっている涙は
自分の理解を通り越していて、困惑している