谷 好通コラム

2002年01月18日(金曜日)

334話 エキサイティング

ドイツに行ったとき、本気で決心した事がある
「絶対、英語ぐらいは話せるようになろう」と

 

ドイツである時、向こうの人たちと食事をした
そこには
ドイツ人、スペイン人、イギリス人、そして日本人
それぞれの国の言葉を持っているが
そのディナーの場では、英語とドイツが共通語であった
ドイツ語を喋れない人でも、英語を喋る事が出来れば十分であった
みんなニコニコと冗談を飛ばしながら、話が盛り上がる
約10人も食事で、両方の言葉も分からず
私ともう一人だけ
ただニヤニヤしているしかなかった

 

自分が情けなくて・・・・
おいしい食事であった筈なのに
何を食べたか、まるっきり憶えていない
惨めであった

 

日本人は全世界のわずか40分の1ほど
私は40人の内、たった一人としか話しをすることが出来ない
井の中の蛙とは、まさにこの事

 

このときほど自分が小さいと感じたことはなかった

 

一緒に行った荻野君は、英語も喋る事が出来るはずであったが
いざとなったら、スムーズに言葉が出てこなくて
ほとんど通じていない
彼もショックであったようだ

 

「日本に帰ったら NOVA 行きましょう」
と言い出した
彼は、下手に言い訳を言わないところがいい
ダメだと思ったら、グチャグチャ言わずに、さっさと方向転換
「英会話教室に行きましょう」と、来た訳だ

 

結局、教室に行くのではなく
教師に会社に来てもらい、会社で集団家庭教師をしてもらうことにした
集団なのは、勿論こちらの方
教師は一人だけ、最初に話に出たNOVAからの派遣教師である

 

今日がその第一日目であった

 

私は、それが今日であったことを、昨日まですっかり忘れていた
教室の第一日までに、勉強して
学校で習った英語を少しは思い出しておこうと思ったのだが
準備なしで今日を迎えてしまった

 

今日は朝からとても大切な仕事があった
新しい機械の最終打ち合せで、思いっきり緊張
結果は、とても満足のいくもので、爽快な気持ちで事務所に帰ってきた
そして
帰って来たら来たで、また次から次へと仕事をやってきて
結局、気がついたら、先生がやってきてしまった

 

先生は、カナダ人の若い男性
年も、本職も何も聞かなかった、というよりそんな余裕が無かった
名前も教えてもらったのだが忘れてしまった
たしか、ILAとかで、アィラだったかなぁ?

 

日本語は全く喋らない
いきなり英語だけ
彼の喋る言葉を、全身の神経を耳だけに集めて“聞く”
何を言っているのか、さっぱり分からない
ゆっくりと、繰り返し喋ってもらって、やっと理解できる

 

普段の1日分の神経を、5分に集中して“聞く”
そして、自分も喋る
全く初歩的な英語で
中学校の一学期の最初の一週間目ぐらいのもの
そけでも、ホントの英語はなかなか聞き取れない

 

それでも耳が慣れてくると、何とか聞き取れるようにはなってくるのだが
いかんせん、単語をほとんど忘れてしまっているので
意味が分からない

 

しかし、しかし
一生懸命聞いて、あてずっぽうな言葉で喋っていると
なんとなく分かってくる

 

楽しくて、楽しくて

 

文法なんて関係なく
言葉のつながりが自然に分かるような気がする

 

ものすごく一所懸命になれるのは、実に気持ちがいい

 

わずか1時間半
あっという間であった
しかし、終わってみるとぐったりと疲れていた

 

最高にエキサイティングな時間であった

 

一生懸命続けて、何ヶ月か、何年かすると
ドイツでの、あのディナーで私も会話の輪に入っているのかもしれない
そう思うと、ワクワクワク!である

 

世界の3分の一ぐらいの人と、話が出来て
友達になるチャンスが出来るかもしれない
そう思うと、叫びたいような気分である

 

たった一回の教室で、何をバカな事を言っているのか
と、思われるかもしれないが
始まるまでは恐怖であった教室が
こんなに“楽しい”と、思えたのは、格別な収穫で
来週の金曜日が待ち遠しい、またやり“たい”
と、思っている気持ちが、自分の中に出来たら
シメタものだと思うのだ

 

人間、“たい”と思えたら、それはもう、実現したのも同然なのだ
学校のころ、あんなに嫌いだった英語
それが、どうしてこんなに楽しいと思えるように、なってしまったのだろう
ホントに不思議だ

 

先生

 

 

第一回目の生徒

 

 

今回の教室、希望者を募ったら17名も集まってしまった
うれしい
しかし、一人の先生に17名はいくらなんでも多すぎる
申し訳ないが、今回は第一陣として、7名に絞らせてもらった
この人も、教室参加を希望してきた人の一人
経理の安藤さん
年齢は、○○歳
年齢なんて関係ない、本当に全く関係ない
“たい”があったら、面白いように憶わる
安藤さんも、決して私より若くはないし
パソコンなんか、ほとんど触ったこともない人と思っていたら
知らぬ間に、EXELを使うようになってしまった、結構本気でやれるようになっている

 

勉強の活力の素は「負けるもんか」だそうである
グチャグチャとやらない理由を自分でこしらえて、結局やらない人が多い中
やる人は、やるのである
「年齢なんか関係ない」のお手本

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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