2001年12月04日(火曜日)
294話 少年の心持つ人
今日もまたレースの話で恐縮だが
今回のレースは、
へな?(私)、へな?(GRIT!吉田)、師?(H.オサム)の
いつものメンバーではなかった
H.オサムが、師匠?ことテツ清水と、上村氏と共に
シリーズチャンピオン独走中の「シビック37番」に乗ることになったのだ
わが25番、ポンコツ・キーパーレビン号には
いつもの2人に加えて
「大串 信」(オオクシ マコトと読む)氏が乗り込む事になった
彼はモータースポーツライターで
「レーシング・オン」など、かなり一流どころのモータースポーツ誌に
記事を書いている
その道では結構有名な人らしい
らしい?と言うのは、私はその人のことを知らなかったのだ・・・
実は、私は
自分がサーキットを走る事は、最高に好きなのだが
モータースポーツを“見る側としてのファン”ではないのだ
有名で人気のあるレースドライバーの名前もほとんど知らない
そしてモータ-スポーツの雑誌なども全く読まない
だから「レーシング・オン」も知らなかったし
「大串 信」という人のことも
全く知らなかった
テツ清水氏の紹介で
今度のレースで一緒に走るかい?と、言われ
「面白そうだな」と思って、二つ返事でOKしたのだが
「おっかない人じゃないといいなぁ~」くらいとしか、考えていなかった
でも
“文章を書く事を職業にしている人”なんて初めての経験であり
興味津々
好奇心満々
先週の金曜日MINEサーキットで、初対面した
はじめて会って、とりあえず名刺交換
実に、礼儀正しく、腰も低い
カッコをつける様子も全くない
好印象!
好意と、感謝の気持ちが、素のままこちらに伝わってくる
「怖い人じゃなくて、あ~よかった」が
私の感想であった
いずれにしても、今回のレースは私も思うところがあったので
気持ちは、すでにレースモード
金曜日の午後の第一走行は、大串さん
まあまあのタイム
次に私の番
気負い過ぎもあったが、ボチボチのタイム
このペースで、本番レースの周回を重ねる事が出来れば
そんなに恥ずかしくはない
運が良ければいいところにいける
最後にもう一本、大串さん
順調に走り出し、周回ごとにタイムを上げてくる
そして・・・・
何周目かに、1分46秒2!
初めての車で、わずか数本走っただけで
へな?、へな?が一年半もかかってこぎつけたベストタイムを
軽くクリアしてしまった
私・・・がっくり
「俺たちの一年半は、いったい何だったんだ」・・・
そして、その日のベストを出した大串さんは
しばらくして
車に泥をいっぱい着けて帰ってきた
コースを飛び出したらしい
車を降りるなり、「ごっめんなさーい」と、本当に申し訳なさそうに頭を下げた
タイムをあっさりクリアされてしまったのは、悔しいが
この人は、ホントに良い人だと思った
翌日、土曜日は吉田君と畠中君もやってきて
みんなが揃って1本ずつ
順調に、耐久レースの周回タイムでの習熟練習をした
無事に
と、言いたいところだが
大串さんだけは、またボディーに泥をいっぱい着けて帰ってきた
そして
「ごっめんなさーい」
そんな事でみんな和気あいあい、レース前日が何事もなく終わった
本番当日
朝、まだ真っ暗の内にホテルを出て、早朝のサーキットに向かう
車検、装備品点検から始まり
予選走行
私は、この予選が大の苦手だ
数周の間にタイヤを温め、クリアラップを狙って、ベストタイムをたたき出す
「そんな器用な事出来るかよ」とブツブツ言いつつ
毎度のごとく
ボロボロのタイムで予選を終える
2番目は吉田君
ボチボチのタイム
3番目に大串さん
のっけから飛ばし始める
3周目に46秒0
その様子を見た師匠?テツ清水は
ペースダウンの指示を出すよう、サインマンに伝える
そのサインを出したときに計ったタイムが45秒5!
速い!
「ひぇ~~~っ」と思って見送ったら
そのまま第1コーナーに、すさまじい砂煙を出して“コースアウト!”
苦虫を潰したような顔をするテツ清水を横目に
みんな大笑いをして、私も手をたたいて面白がった
大串さんは、「紳士」であり
「博学」であり
「文才のあるインテリ」であり
「自分を飾らない、すてきな人間」
でもあり、かつ
少年の心を持った
立派な「ワンパク坊主」
でもあったのだ
当然
ピットに帰ってきて第一声
「ごっめんなさーい」
明日は朝5時に起きなければならない、今はもう深夜1時
ちょっとやばいので
この後のレース本番での彼・大串信のたのしい話は、また明日