谷 好通コラム

2001年08月02日(木曜日)

第182話 続・パチンコ屋

私は今では、パチンコをやらない
しかし学生時代は大好きだった

 

一人暮しで、彼女もいなく
本読むぐらいしか、やることもほとんど無く
パチンコ屋にはよく行った
そしてもちろん、ほとんど負けていた
給料の3分の1ぐらいはつぎ込んでいただろう

 

ある時
給料日まで後1週間ぐらいの時
手元に700円ほどしか残っていなかった
あと1週間、どう暮らしていこうか、1日100円の割合である
その時はまず、1週間分の食糧を買い込むことにした

 

インスタントラーメンなら一つ30円ぐらい(30年前!)
23個は買える、1週間持つ
しかし、インスタントラーメンはその頃の私にとって主食のようなもの
1週間インスタントラーメン“だけ”と言う生活は
「いくらなんでもチョッと暗いなぁ~、」と思って
いろいろ迷って
結局
“キャベツ”を山のように買った
確か、キャベツの大豊作で嘘のようにキャベツが安かった
確か、30個ほど買ったように覚えている(4回に分けて運んだ)
「オフクロも野菜を食べなきゃイカンよ」
と、言っていたし
どう考えても1週間では食べきれないほどのキャベツの山を見て
スゴイお得な買い物をしたような気もして
賢い選択だった、と満足であった

 

その日から、油炒めにしてソースをたっぷりかけて食べたり
茹でたり
そのまま塩をかけて食べたり
キャベツが私の主食になった

 

私はキャベツが好きだったので、嬉々としてキャベツ生活を始めたのだ
“2日で飽きた”
“3日で食べるのが苦痛になった”
“4日で見るのもイヤになった”
“5日でキャベツ食うぐらいなら、飢え死にした方がマシだと思った”
そして
5日目の夜、25個ほど残っていたキャベツを夜陰にまぎれて
“捨てた!”

 

以来、私はキャベツが大嫌いになってしまった
今では
「キャベツなんて、イモ虫が食うもんだ」
などと、訳の分からない事を言って、キャベツを食べようとしない
※今日食べたエビフライ&カツ定食

 

 

※キャベツにはほとんど手を付けず。お百姓さんに怒られそう

 

 

話がそれてしまった、イカンイカン

 

再び
給料日まで後1週間ぐらいの時
手元に700円ほどしか残っていなかった
あと1週間、どう暮らしていこうか、1日100円の割合である

 

前回はキャベツを買い込んでしまって失敗、懲りていた

 

そこで考えたのが
“一発勝負”
パチンコに賭けて見よう!
遊んで
その上、勝てば普通の生活が出来る
ひょっとしたら、少し贅沢が出来るかもしれない
これは、賭けてみるべきだ
こんな“うまい手”は無い、と

 

浅はかな私は、嬉々としてパチンコ屋に出かけてのであった
充分に釘を吟味して
心を落ち着けて
打ち始めた
最初の100円は60秒
(30数年前、玉は1個2円であった、だから100円で玉50個)
次の100円は80秒
やばい!
100円ずつなんてケチな打ち方しているからダメなんだ

 

次は200円いっぺんに買って打ち始めた
今度はさすがに入り始めて一進一退
30分ほど攻防があって
結局それでも負け

 

最後の勝負
残り300円(玉150個)で勝負!雌雄を決することにした
大きく深呼吸をして
勝負に向かう
(その頃私は結構熱くなっていた)
全く入らない!
あせった!
玉があと50個ぐらいになって
台を換えることにした

 

最後の、最後の勝負
あっという間の60秒で“終わった”
ぼーぜんと、台を見上げる私

 

ふと、自分が
“ブロイラー”のように思えた

 

ズラット並んだケージから首だけを出して
餌を食べるのに夢中になっている“ブロイラー”
のように思えた
「俺はここで何やってんだろ」

 

それから1週間、私は、友達の所を歩いて渡り歩く“乞食”になった
このうえなく惨めだった

 

遊んで
ラクして
“稼ごう”なんてバカみたいだった
自分が惨めだった

 

パチンコは、遊ぶ分には娯楽としていいのかもしれない
ゲームとしては良いのかもしれない
私もやっていて楽しかった
決してイケナイとは思わない
が、“稼ごう”とは、決して思わない方が良いようだ

 

ラクして稼ぐ事は考えない方がイイ
稼ぎは、仕事した分、キッチリと見返りとして入ってくるもの
役に立った分だけ、入ってくるもの

 

また、同じような意味で
同じ稼ぎなら
ラクした方が“得”と、考えると
いつまで経っても、同じ稼ぎのまま
何の進歩も無い
むしろ、退化していく

 

どうせなら、ラクした方が“得”とは、一番マイナスな考え方
ラクしたって何の“得”になるのだろうか

 

私は一発勝負のパチンコで
そんな事を、イヤというほど思い知らされたのでした

 

※ 愛知のパチンコ屋の本場、バカデッカイのが快洗隊の前にある

 

 

くわばらくわばら

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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