2001年06月22日(金曜日)
第146話 ぼい回されて
へなちょこレーサー日記で、先日のレースの様子が
じつにリアルに載っている
しかし、あれはへな?からの視点で書かれているので
自分のコラムを借りて
へな?の視点から、少しだけ書きたい
レースでのスタートは、2人とも初めての経験であった
レッドシグナルからグリーンシグナルに変る寸前は
「心臓がバクバクなりますよ」と
畠中君が言っていたが
バクバクなる前に
あっけなくスタートしてしまったという感じであった
スタートは、とにかくホイールスピンをさせないことが肝心
と、分かっていても
思いっきり、空転しまくってのスタート
左後方にいたへな?がスルスルと視界に入ってきて
少し前に出たような気がしたが
スカイラインが割って入ってきて
第1コーナーに届く頃には、へな?はピタリと私の後ろにつけていた
あとはひたすら、ひたすら
うしろから、へな?に、追われ続けた
ず~っと
追われ続けた
前の車たちは序盤の4.5周までは視界にあったが
あとは
ひたすら後ろのへな?の車しかいなかった
ガンガン、プレッシャーを掛けてきた
「絶対に抜いてやる。なにがあっても抜いてやる。」
と、剥き出しの闘志を
背後にず~っと感じながら
必死で“逃げた”
プレッシャーを受けながら走っていると、冷静さが全く無くなる
走りが強引になるだけで
実際にはちっとも速くない
特に、2つのヘアピンコーナーでは
ブレーキングポイントを遅らせて、インに飛び込んでくるのではないかと
後ろの車の位置を気にしながらのコーナリングで
まともなアウト・イン・アウトになっていない
ひたすら、ゴリゴリゴリッと
無理やりに回っている感じ
後ろから迫ってくるへな?は、レコードラインを取りながらも
微妙に左右に車を振りながら
インに飛び込むそぶりを見せてくる
私の神経と目線の半分が後ろに向いている
タイムもベストからは1秒から2秒は遅い
その内に、へな?がハーフスピンして
少しの間、離れて行った
30~40m離れていてくれるとウンと楽になる
と、気が抜けると
今度はこちらがミス
あっという間に、また真後ろにくっついてきている
「今度こそ、絶対抜く!」
「どけっどけ~ッ!」と、声が聞こえてくるようだ
「ひぇ~」という感じ
今度はこちらが、ついハーフスピン
コース上を蛇行してしまった
へな?にとっては
パスする最大のチャンスだったが、蛇行が功を奏してか抜けなかったようだ
それで、つい「ゴメンゴメン」と、手で合図してしまった
「アッいらん事しちゃったー」と、思った時にはすでに遅し
余計に、カッカッとしたへな?が襲い掛かってくる
はた目には
2台そろって、仲良くぐるぐるコースを回っていると見えたかもしれないが
とんでもない!
100%アドレナリン放出状態で
遠慮とか
思いやりとか、そんなものは全く無い
「くっそーっ」とか
「こんのやろ~ッ」とか
ヘルメットの中で怒鳴りながら
まさに“戦って”いたのである
最後の1周、16周目
いままでよりも明らかに強いプレッシャーを掛けてくる
ここまで“ぼい回して”“いたぶって”
最後に抜くってーのかー
冗談じゃない!
そんな情けないこと絶対イヤダ
とっ
最後の最後、最終コーナーで
小さなミスをしてしまった
へな?は、もうくっつかんばかり
ストレートの入り口では完全にスリップストリームに入られた
「あかん!」
ゴールまであと400m
はるか先のゴールポストではチェッカーフラッグが振られている
皆が手を振っている
スッと、へな?がスリップストリームから出た
スーッと前に出てくる
頭の中が真っ白
約30分ずっと必死で逃げて、逃げまくって
最後の一瞬で“負けるのか?”
結局、首の皮1枚、半車身だけ残ってゴール!
9台出走
内5台が、スカイラインGT-Rなどターボ車
残る4台が私達N-1レビンAE-111
その4台の内の3位争い
言い方変えれば
3位表彰台か、ビリ
レベルが低くも
熱い熱い壮烈なバトルであったのだった
※私を30分ぼい回したへな?のレビン
※表彰後、負け惜しみでエバルへな?
※挙句の果てに、シャンパンのおすそ分けを飲んでしまうへな?
(彼は一滴も酒が飲めない、その後、頭が痛いとぼやいていた)