2001年05月30日(水曜日)
第127話 完璧な商品
0.01%の狂いもなく完璧に品質が保証されており
生産が間に合わず欠品になることも絶対になく
消費者にとっても、これ以上便利なものは何もない
そして生活に絶対に必要なもの
ほぼ何物とも交換出来
腐り、変質することも壊れることもない
完璧な商品
「金銭」「カネ」
金、カネこそ最高の商品!
利益率は一年で数十パーセント
何を売るより、金を貸すことほど儲かるものはない
「消費者金融」「サラ金」
最も頭のいい商売か
歓楽街、駅前ビルの上の一番目立つところには
日本国中、必ずサラ金の看板がずらっと並んでいる
彼らはすさまじいまでの金を持っている
他の商売では考えられないぐらいの宣伝広告費を使っても
まだ利益を出している
今、テレビを見ていると
一番放映料金が高い時間に、一番頻繁に流されているのが
「消費者金融」「サラ金」のCM
(バブルの頃はどのテレビ局もサラ金のCMは受け付けなかったが、バブル崩壊後、広告収入が減ってきたら、一斉に自主規制を解いてしまった)
そのどれもが「やさしさ」「気軽さ」「好感」「便利」を言っている
便利で気軽なサラ金を利用するのは
今では当たり前の事であり、スマートなことのように言っている
そして「あなたの為に借り過ぎに注意を」、と言っている
そして「的確な審査をして借り過ぎをさせない」とも言っている
つまり「私の所が貸す金は、ちゃんと返せるから安心して借りなさい」と言うことか
※
この低金利時代、銀行からの借り入れ金利は
企業向けで、1%台!が当たり前、下手すると1%を切る事すらある
個人向けでもせいぜい2~3%
返すことを前提にした借金は、それが当たり前の金利
経済として正常な金利
それなのに、数十パーセントの金利が付いているカネを借りる時とは
もうすでに、返せるであろう金を借りてしまった後のことであり
その時点でとっくに「借り過ぎ」状態
当たり前の事
数十パーセントの金利が付いているカネを
しかも借り過ぎの状態で
返せるわけがない
どこかで破綻がやってくる
数十パーセントの金利は、返せない分を織り込んだ金利
たとえば
20万円の収入の人が、サラ金で簡単に金を借りられるからといって
30万の生活を5年送ったとする
5年後
と、毎月10万借り入れが増えていく、たった5年で600万
それだけでなく、当然すでに金利が付いているので
最初の1年目に借りた120万に
金利30%複利で5年後には金利だけで約240万
2年目に借りた金の金利が約160万
3年目に借りたカネの金利が約100万
4年目のが56万
金利だけで、550万以上
元利合計で、5年後には1150万円以上の借金
しかし、この計算の仕方がものすごく甘い事は
銀行などのプロが見れば一目瞭然
実際は一ヵ月ずつ10万借金を続ける条件ならばもう200万ほど多いのだ
ならば、約1350万円
しかし、サラ金でカネを借り続けるばかどもはこういうだろう
「毎月少しずつでも返すのでそんなにはならない」
とんでもない!
まったく逆なのだ
自分は30万の生活は続けるのだから
少しずつのその返済は、また借金で払うことになるのだから
むしろ絶望的に借金は増え
たぶん、元利合計は2000万を越すだろう
5年間、自分の収入よりたった毎月10万円分余分な生活をすると
つまり5年間で600万円分の贅沢をするだけで
金利だけで、ひどい場合1400万円にもなってしまう
手取りで考えた年収240万円の人が年間360万円の生活を
サラ金で資金をまかないながら続けると
5年間の合計年収(20万円×12ヶ月×5年=1200万)より
おおきな金利、つまりサラ金の利益を背負い込むのだ
実はこうなる以前にこの人は破綻している
借金が1000万を越した時点で、金利が手取り年収を越しているので、絶対に支払えない
多分3年後ぐらいには、ボロボロになって破綻している
チョッとしつこいが
もう一つの計算
そこまで最悪の状態に行く前に、たいていは正常な生活に行き詰まる
会社に督促の電話が入り始めるのだ
サラ金からの督促の電話はすぐわかる
「個人名」でかかってきて、「いつ帰って来るか」とか「友人ですが」と言う
「何の用事か」と聞くと、絶対に用件を言わない
会社で問い詰められたりして、発覚し、泥沼から足を洗うように説得される
元利合計300万ぐらいがそんな頃
借り初めて1年半後ぐらいか
一大決心をして
返そうと思うが中々そうは行かない
300万の借金を年利30%のまま返そうと思うと
まずひと月75,000円の金利が前提となって来る
月10万円返しても、元金は最初25、000円しか減らない
それでも少しでも元金が減っていけば、金利額も減り
元利返済に拍車がかかるが
元利均等払いで4年8ヶ月はかかる
月20万の収入で、月20万の生活に満足が出来ずに
1年半、月30万の生活をしてしまった人間が
収入20万-返済10万=10万の生活
つまり、望んだ30万の生活の、3分の1の生活を、4年8ヶ月も出来る訳がないのだ
もっと軽い場合で
その恐ろしさに半年後に気がついたとしても、2年は地獄が待っていると考えた方がいい
「ほのぼ○○○○」「黄色い○板○○○○」とか、とか、とか
テレビで明るいメロディーに乗ってCMをやっているのは
私には恐ろしいものに思えて仕方がない
今、この現代
地獄はすぐ手の届くところにある
悪魔は、実にチャーミングに微笑んでいる
そしてその罠に簡単にはまってしまうのは
お人好の実にいい奴
人を疑うことを知らない、愛すべき奴が多いのだ
奥歯に力が入ってしまうことが多い