2001年03月26日(月曜日)
第65話 緊急通報あり
昨日の夜
警備会社の「SECOM」から突然電話があった
「アイ・タック技研の社長さんですか?
今、消防署から連絡がありまして」
すわっ!火事か!!!
心臓が、明らかに3センチ“上に”移動した
「火事と言う訳ではありません!」
心臓が2センチ下に降りた
「漏水としているとの通報です。すぐに会社の方に行ってもらえませんか?」
「SECOMの警備員も、現在会社の方に急行中です!」
ホッとしながらも、とりあえず会社に行く事にした。
漏水ならば、大した被害はないだろうと思い、しかし、チョッとドキドキしながら
当然、消防の車が来ているだろう
近所の人もきっと集まっているに違いない
なんてお詫びを言おうか?
深刻な顔をしながらも、“デジカメ”をしっかり手に持っていた
コラムのネタ、もらい!
このところ何を見ても聞いても「ネタ」に思えてしまう・・・・情けない
会社に着いた
消防車も、消防署員も、近所の人も何もいない
いつものままの、静かな夜の会社
あれっ?
と思いつつ、まず事務所の中へ
なんともない!
では、倉庫か?
水銀灯は明るくなるまで時間がかかる
明るくなるのを待ちきれず、目を凝らすが、水が出ている様子は全くない
あっれっ~?
あっそうか、向かいのトレーニングセンターか
案の定
トレーニングセンターの中からの排水溝に、水が流れ続けていた
中に入ってみて、原因はすぐわかった
M総理がテスト中の
“画期的な新製品!”に接続してあった「耐圧水ホース」が抜けていたのである
いわゆる水道の出しっぱなし状態になっていただけ
○※▼◇×・・(^○^)・・・・!?
ホッとした
土曜日の夕方
難航している“画期的な新製品!”のテストを延々と一人でやっていた
M総理が一人で延々とやっていた
私が帰るとき、テストの現場に顔を出し
様子を聞いて、意見を交わしたのだが、一部食い違った意見となった
お互いに“ムッ”とした雰囲気になった
こういう時には、後を引かないように
きちんとしたコンセンサスを持てるまで、しっかりと話し合うのだが
この日はどうしても急がねばならない事があった
だから、いささか気になっていた
だからと言う訳ではないかもしれないが
いつもは実に几帳面で、必ず後片付けを怠らないM総理が
わりと途中の状態で帰ったようだ
運が悪かった
新しい商品を開発するときは、気が遠くなるほどの手間と根気が要る
“新しいもの”なのだから
今までの常識だけの発想では、すぐに行き詰まってしまう
一つの要素がうまくいったと思っても
他の要素が思わぬ事態になり、ダメになってしまう
あちらが立てば、こちらが立たず、という感じ
実に根気だけでなく、自在な発想を持たないと新しいものは出来ない
何度も何度も失敗する
何度もあきらめたくなる。消耗の蓄積
山ほどの“消耗”から、やっとひとつの製品が出来る
M総理は、昨年から製品開発にかかわるようになった
実に根気がいいし、熱心だ
頭が下がる
もっともっと経験をつんで、自在な発想までが身に付くと
いい開発責任者に育つだろう
今回はその一つのエピソード
原因が分かったころ
駆けつけてきたSECOMの警備員さん
ものすごく“人のよさそうな”
感じのいい、明るい若者であった。かわいい顔をしていた
私が強盗だったら
どんな顔になるのだろうか
彼もプロ、きっとキリッとした顔になるのだろう?
大した事なかったと知って
「よかった、よかった」を10回も言った。いい人だった
不覚にも彼の顔をデジカメで撮るのを忘れてしまった
その代わり
玄関のドアに張ってあるSECOMのステッカーでも