谷 好通コラム

2001年02月14日(水曜日)

第23話 なぞのボタン

寒い地方の方には何を今更と、おしかりを受けるかもしれない
だがあまり寒くない地方にすんでいる私達にはカルチャーショックなのだ

 

今日乗ったのは東北本線、仙台→岩沼の普通電車
仙台ワンデースクールが開かれる当社の仙台営業所に行くために乗った
私達の仙台営業所は、仙台市にあるわけではない
実は仙台の隣の市である岩沼市にあるのだが
面倒だから仙台営業所と言ってしまっている
だから前日仙台に泊まった日には、必ずこの電車に乗って仙台営業所に行く

 

この辺の電車の、扉の横に必ずついている“ボタン”
はじめのうちは、それがナンなのかわからなかった

 

最初にこのボタンの事を知ったのは、仙台から石巻に行く“仙石線”に乗った時
その時はたまたま途中の“松島駅”から乗ったのだが、この駅は観光シーズン以外ほとんど乗車客がいない
だから一人で駅のホームで電車がやってくるのを待っていた

 

やがて電車が来てホームに止まった。

 

私は電車の前で、ドアがあくのを待ったのだが
そのドアが開かない

 

「あれぇーどうしたんだろ!」
とウロウロしていたら、車掌さんがジッとこちらを見ている
その視線に、思わず愛想笑いをしてしまった自分を情けなく思いながら
しかしどうしようもない
そのうち車掌さんが怒鳴っている、「ボタン!ボタンを押して!」
「ボタン?ボタンがどうしたんだ?」
と、ふとドアの横にボタンがあることに気がついた
「これを押せといっているのか?」と思いながら半信半疑でボタンを押したらドアが開いた
こちらの電車は、自分でボタンを押してドアを空けるのだ
(降りるときも車内にあるボタンを押して、自分でドアを空けて降りる!)

 

 

あの時はこの写真のように「ボタンを押せばドアが開きます」なんて書いてなかった!

 

これは実に理にかなった話で
寒い時期に、駅に止まる度に全部のドアを一斉に空けたのでは、車内の温度が下がってしまう。つまり寒いのである
だから、乗客は自分が乗るためのドアを“自分で空けて乗る”のである
その見事な合理性に
「な~るほど」と私は深く感動したものだった

 

あれから私は、この手の電車に乗るときは、ごく当たり前のように
このボタンを押して“自分でドアを空けて乗る”のである
“通”になったような気がして気分がいい

 

このボタンを見るたびに「俺もオールジャパンになったもんだ」と、
一人でしょーもない事を感心している

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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