2001年01月26日(金曜日)
第4話 雨の音が大好き
私は、洗車業にたずさわっているくせに「雨の音」が大好きです。
本来ならば、雨が降れば洗車が売れないのだから嫌いなはずなのに、雨の音を聞いていると心が落ち着いて穏やかな気分になれます。
わたしはかつて、約30年前にガソリンスタンドに就職して、それ以来ずっとガリンスタンドに関わった仕事をやってきました。
30年前と言うと、自家用車はまだ“ぜいたく品”であって、ガソリンも今よりもずっと儲かりました。だから、ガソリンを満タンに入れてくれれば“洗車はただ”が普通でした。だから、雨降り後の晴れの日などは朝から晩まで洗車、洗車でずっと車を洗い続けたものです。
晴れの日と雨の日では、仕事の量がまるっきり違っていて、しかも“ただ洗車”ですので、実績が上がるわけでもなく、晴れの日はただツライだけの日であった記憶があります。
朝、目がさめた時に、雨戸の向こうから「シト、シト」と雨の音が聞こえると「あ~今日は楽だー」と、ものすごく嬉しかったものです。
若い頃そんな生活をしていましたので、「雨の音」が大好きになってホッとするのが条件反射のようになったのです。
はるか昔、無料洗車時代の妙な落し物とでも言えるのかもしれません。
今年は年が明けてこのところずっと“雪と雨”ばかりで、各地から「洗車が無い」と嘆きの声が聞こえてきます。当然洗車ケミカルを扱っている私の会社の売上も芳しくなく困ったものだと思ってはいるのですが、それでも雨の音を聞いていると“幸せ”なのは、やっぱり変わりません。
洗車が無くて困っているガソリンスタンドのみなさん、会社のみんな、雨は、みなさんと同じように恨めしいけど、
わたしは、雨の音がやっばり大好きです。