谷 好通コラム

2022年02月10日(木曜日)

02.10.一度も成功したことがない4アクセルを本番で強行する意味。

北京冬季オリンピック男子フィギュアスケート・フリーで、

オリンピック金メダル2連覇中であり、

北京大会でも金メダルの大本命であった羽生結弦がメダルすら取れなかった。

ショートプログラムでのまさかの不運な失敗があって、

実質的に、この時点で金メダルは遥かに遠くなっていたが、

二日後のフリー演技で、羽生結弦は、

誰も飛んだことのない4回転アクセル(4回転半ジャンプ)に果敢に挑戦した。

 

歴史上、世界で誰も成功していない4アクセルのジャンプは、

羽生結弦自身まだ練習ですら一度も成功をしていない。

そんな困難な技を、もうちょっとで出来るところまで来ていて、

それをオリンピック本番のフリーであえて飛ぶことによって

オリンピック本番ならではの各段の集中力の力で、

その”もうちょっと”を埋めようとしたのか。

それとも、

選手生命も終わりに近づきつつあるここに至って、

すべてが終わる前に、最後の目標にもなっていた4アクセルを

最後であろうこの本番でどうしても飛んでおきたかったのだろうか。

 

いずれにしても、この無謀とも言えるような果敢な挑戦に、

多分、世界中の人が共感と感動を持って見たのではないだろうか。

それがどんなに無謀であろうと、無茶であろうと、

「やりたい」と強く思って、

「やろう」と強く自分で決めた事は、

時には損得を越えて、成功の確率がどんなに低かろうと、

「挑戦する」ことに誰も反対する人はいないし、むしろ応援したくなる。

そして、たとえそれに敗れたとしても、それを非難する人はいない。

 

そんな無茶な挑戦をして、

見事に敗れてメダルなしになった羽生結弦は、闘いが終わった後、

いつになく晴れ晴れとした表情で笑っていたことが、印象に深かった。

 

世界中の人気者「羽生結弦」は、負けても、がぜんカッコ良かった。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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