2023年02月01日(水曜日)
02.01.「・・・・・お先に・・」「・・・ 。。。・・・」
私は4才の昔からポリオで、
ずっとビッコで生きてきました。
だから、両足が普通であった頃のことは全く記憶にありません。
物心ついた時から、ずっとビッコだったのです。
だから、私にとってこの状態しか知らないので、これが私そのものなのです。
私とってビッコが普通なのであり、ビッコでない自分を知らないので、
人から「ビッコ」と言われても、
これっぽっちも傷つかないし、
侮蔑されているとも思わないし、差別されているとも全く思わない。
私は小学校から高校までの運動会での”かけっこ”では、
何人が一緒に走っても、必ずドベ(ビリ?)だった。
しかし数キロ走るような高校校内マラソンでは、ドベから2番目だった。
マラソンでの一番のドベは、高校生の頃の小川君(仮名)だったのです。
彼は心臓か何かが悪かったからなのか、どうか、分からないけれど、
小川君は、
マラソンの最初はそこそこ速いのですが、
途中から、顔色が青くなって、
失速して遅くなり、後ろに下がってきて、
とうとう最初からドベを走っていた私に追いつかれたのです。
私は追い越す時、
小川君に
「・・・・お先に・・ファイトッ!」と声をかけて、抜きました。
そうしたら、
小川君は私の方を睨みつけて、
「・・・・・・・・ 。。。・・・」と、声にもならぬ声で何かに言いました。
えっ?何を言ったのかな。と思って、
ビッコで走りながら、もう一度小川君の方を見たら、
「うるさい、ほっとけ。」と言って睨むのです。
私は、「悪いことを言ったなぁ」と後悔しながら、
小川君の言っている意味はよく解かりました。
私もビッコのことで同情されることが大嫌いで、
誰か優しい人が私に「足が痛いね、大変ね、頑張ってね」なんと言われると、
「ほっとけ、」と思ったのです。
さらに小川君は、
たぶん、
「ビッコのお前にまで、同情なんかされたくないわ。」と言う意味で、
「うるさい、ほっとけ。」と、言ったのだと思いました。
もう50年以上も前のことですが、
苦しそうにマラソンを走っている小川君の表情を憶えています。
私は自分がそうだから、
「ビッコは自分のものなんだから、同情なんか要らない。」
が、根にあります。
ビッコにとって、ビッコは何のハンディとも思っていないので、
同情されることまでも嫌いなのです。
今日は、そんなこと思い出したのでした。
話は違いますがで、
夜、レース界のレジェント関谷正則氏が訪ねてこられました。
今年のIPSの話です。
関谷さんは73歳になられたそうです。
ご夫婦揃ってとてもお元気でした。うらやましいですね。