谷 好通コラム

2018年04月27日(金曜日)

4.27.夢のような一瞬の二時間

決勝のその日の始まりは速かった。
朝9時には昨日勝ち残った11名と、残れなかった34名の選手たち、
それに応援の人々が何倍かはいて、パッと見た目で200名、
ひょっとしたらスタッフを含め約300名が、
中央トレセンとその前の駐車場に貼られたテントに集まって、
昨日の準決勝の話、これからの決勝。下馬評に話の花が咲く。

 

じきに集合がかかって、簡単な開会式と、
気合の入った選手一人一人の挨拶、というより勝利宣言。
形だけではあるが競技の説明と採点の説明があって、直ぐに決勝戦だ。

 

決勝戦は選手一人にプリウス1台。
中央トレセンの中に11台のプリウスを並べて一斉に競技を行う。
採点は選手二人に対して採点者が三人ついてその平均で採点する。
文字通り「1台一人真剣集中」を地でいく形だ。

 

まず爆白。時間の測定はないのでみんな確実にこなす。
ほぼ全員減点なし。

 

 

落ち着いて爆白での前処理作業が終わったら、
ここから勝負だ。
ダイヤモンドキーパーケミカルを使ってガラスコーティング。
レジン2を使ってレジンコーティングを続けて施工する。

 

「よーいスタート」の号令に、一斉に作業が始まるが、
速いっ! みんな、猛烈に速いっ!

 

鬼のようなスピードで、
ダイヤモンドキーパーを塗って拭き切っていく。
一人でプリウス1台分を連続で、塗って拭き切っていくのは、
それを一切の休みなしでやり切っていくのは相当ハードなはずだ。
もちろん誰も休もうともしない。
レジェントの宮城・浅野選手、北海道の佐藤選手がスピードの面で一歩リード。
しかし浅野選手は背もデカく大きいが、動きも大きく、
レジンコートの段階では、きっとバテてくるに違いないと、勝手に読む。

 

それに対抗するのが女性陣、
女性選手は準決勝46選手のうち9名。
昨年は同じく46選手のうち6名だったので1.5倍になっている。
決勝戦では11名中3名。これは昨年と同じだ。
特に昨年のコンテストでいい所まで行って優勝を逃した和歌山・山本選手は、
県チャンピオン戦での得点が46名の県チャンピオン中で一番高く、
準決勝でも三番目の得点だ。速い。
この人は速いだけでなく、動きが確実で見ていて安心だ。
同じく岡山の岡崎選手も、茨城の中嶋選手も飛ばしている。

 

ダイヤモンドキーパーのガラスコートからレジン被膜への移行する際に、
エアーガンで水を追い出す工程があるが、
これは音が大きいのでみんながよく解かる。
最初にエアーガンを使ったのは私から遠くの選手だったが、
一人がエアガンを使ったら、数秒の間も置くことなく次々とエアガンが響き、
ふと気が付いたら全員がエアガンを使っている。
これは感動的であった。
こんなに僅差の闘いは見たことがない。
もう15分以上の時間が経っているのに、11名にたった数秒しか差がない。
たてつづけに鳴ったエアガンの音に、鳥肌が立った。

 

レジン2によるレジンコートの段階になって、ようやく、差が付き始め。
仕上げ確認の段階では、
仕上がり確認での減点を重視してしつこく確認をするか、
トップ時間を狙って、早目に確認を見切るか、
ここは迷うところであるが、みんな減点を避けるために
ここまで急いてきたことを判れてしまうほど慎重に確認をしている。

 

それでも最初に「終わりました。」を宣言したのは、
北海道の佐藤選手であった。
彼は昨年のチャンピオン「安藤祐子選手」の同じ社内のライバルだ。
優勝以外は要らないと言い切る。

 

本命のレジェント宮城・浅野選手は二番手の終了であった。
あんなに大きな動きをしていたのに、まったくバテなかったらしい。
恐ろしいほどの力だ。

 

全選手の品質確認が一台に付き三名の採点者の執拗な視線で行われた後、
全競技が終了し、全選手と応援団からの大きな拍手で包まれる。

 

そこから約25分、僅差が予想されるので、
採点の合計集計にいつもの二倍近くの時間を充てて
名古屋営業所の事務所の全机を使って慎重に計算をする。
途中でただの野次馬と化している私が「誰が勝った?」と聞いても、
「待ってください。」と冷たい。

 

外では、選手と応援団全員が並べた椅子に座って待っている。
いよいよ発表だ。

 

決勝の結果発表は、
採点表の返還なしで、ダイレクトに6位入賞者から読み上げられる。
6位は福岡の中川選手

 

 

5位は茨城の中島選手。

 

写真が撮ってありませんでした。ごめんなさい。

 

4位は、岡山の岡崎選手。

 

 

3位で北海道の佐藤選手が読み上げられ、大きな体が悔しがる。

 

 

2位に読み上げられたのは和歌山/奈良合区の和歌山・山本選手。

 

優勝を本気で狙っていた彼女は、2位で読み上げられたその時点で、
もう涙が止まらない。彼女の涙にもらい泣きした人が何十人もいた。
私もその一人だ。

 

 

優勝はレジェンド宮城・浅野選手。
二位に1ポイント以上の差をつけて、圧勝であった。

 

 

誰かがおっしゃった。
「みんなが涙を流せる競技会なんて滅多にあるものではない。すごい競技会だ」
みんなの本気度が並大抵ではない
本気の競技会であった。

 

最後に浅野選手の言葉が印象的であった。
「全力で車をキレイにして、その先にあるお客様の笑顔を目指して頑張りました。」
この競技会の本質を突いた、さすが5代目チャンピオンの言葉であった。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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