2018年02月17日(土曜日)
2.17.「言った」≠「伝わった」
物事を相手に伝えることは難しい。
伝えるべき物事を、自分なりの解釈で「言えば」いいのかと言えば、
「言った」ことと「伝わった」こととは全く違うことであり、
相手に伝わっていないのに、「私はちゃんと言った。」と自己主張し、
「はっきり言った。」「明確に言った。」と言えば言うほど、
相手に伝わっていないという事実があるのだから、
その人の「言った」≠「伝えた」と言わざるを得ない。
本人が伝えたつもりで「言った」のに「伝わっていない」とするならば、
「聞いたのに伝わらなかったこと」に問題があるか、
「言ったのに伝えられなかったこと」に問題があるか、
お互いは、相手が悪いと思うだろう。
しかし、こういった場合は、
お互いに悪い部分があって、結果として伝わらなかったのだろう。
相性が悪かったというべきか。
こういった場合は、相性が悪いのだから、
「あれ」「あそこ」「それ」「その時」など、
抽象的な単語を使わず、
具体的な固有名詞と、具体的な場所、日時を、
動かしようのない形で、伝えることなのだろう。
しかし、
いくら具体的であろうと、
伝える側に、伝える意志があるかどうかの方がむしろ問題で、
「ちゃんと言った。」「はっきり言った。」とよく主張する人は、
自分が相手に言ったことが肝心であって、
それなのに伝わっていないことには、あまり問題を感じない。
本当はそのことが最も大きな問題であるのに、
伝わって、はじめて仕事になる。
コミュニケーションの基本は伝わること。言うことではない。
どう表現すれば伝わるか、
デザイナーは、こんなのを何十種類も造る。より伝わることを求めて。