最初の頃、特にKeePer LABOの前身である快洗隊の頃は

積極的にフランチャイズ店を募集して、早く広く全国展開をしようとした。

20年くらい前だが、一時はFC店が直営店と同規模の20店近くあった。

しかし、うまく行かなかったので早々にやめて、

新店は直営店だけにした時代が、つい最近まで続いて長かった。

 

その頃のFC店運営の会社は、

ガソリンスタンドを経営している会社がほとんどで、

従業員もガソリンスタンドのスタッフが、

そのままKeePer LABO(快洗隊)で働いた。

だから、何もかもがガソリンスタンドの延長であり、

オープンや販促イベントでは「値引き」と「景品」が幅を利かした。

 

日頃の営業も、物販の一つの代表であるガソリンスタンドそのもので、

積極的な商品紹介と、積極的に販売促進活動「オススメ」をした。

そして、最強の販売促進として「値引き」と「景品」の活用である。

 

しかし、これはうまく行かなかった。

短期的にうまく行ったとしても、

「値引き」「景品」が来店動機で来られたお客様は、ほぼリピートせず、

だから普段のお客様が増えていく事は無く、

「値引き」つまり、単価を下げて=利益を減らして売っても、

「景品」つまり経費を増やして=利益を減らして売っても、

その時だけ、数が売れるだけで、

しかも、その時だけはお客様がたくさん来るので、

作業もおろそかになりがちになり

良い品質のサービスを提供できない傾向がある。

そんな低い品質のサービスでも「値引き」「景品」があるから売れた。

しかし、

低い品質のサービスを経験してしまったお客様には、

平常の価格と景品無しで買う価値があるとは思わず、

また「値引き」「景品」があっても、あまり買う気にはならない。

だから、経営は当然成り立たない。

 

これが我々のようなサービス業ではなく

ガソリンスタンドなどの物販ならば、

支払う金の代償として受ける価値は、その商品という物の中に全てがある。

だから、「値引き」とか「景品」が着いている時でも、

受け取る商品の価値は全く変わらず、

逆に、「値引き」とか「景品」が着いていない時でも

十分にその商品・物の中にあるので、安心して買う事が出来る。

だから、

物販の場合は、

「値引き」とか「景品」を着けたイベント販促企画は

その時の増版につながると同時に、それ以後の販売にも増版効果が続いてある。

イベント販促企画期間中は、

「値引き」とか「景品」で利益が減るが、

イベントが終わってからも増客効果が続き、販促効果が残り

ここで利益が増えるので、イベント販促企画の意味が出てくる。

 

つまり、「値引き」とか「景品」を使った販売促進活動は、

物の中に価値がある物販においては有効であっても、

その場所で価値を作り出す「サービス業」は、

その販促効果は限定的であり、それどころか

値引きは、むしろそのサービスの品質に対する不信を呼び逆効果の時すらある。

 

KeePer LABOは、車がキレイになる価値を提供する、完全なサービス業。

近い業態で言えば「美容院」だろう。同じ髪をいじるのでも

伸びた髪の毛を短い状態に戻す事が目的の「床屋」はむしろ物販に近い。

 

美容院は

美容院に来られたお客様をより美しくする場所であり、完全なサービス業だ。

お客様はその美容院のスタッフの「腕(技術)」と、

自分の望みをよく聞いてくれて、それを実現してくれる店を選ぶ。

床屋はQBハウスのようにスピードと値段の安さで選ぶが。

美容院は、値段の安さはむしろ「大丈夫かな？」と、マイナスに効く。

 

同じように

車の汚れを落として

汚れの無いゼロの状態に戻す「洗車機」は、物販に近く、

近い所にあって、速くて、もちろん安い方がいいが、

KeePer LABOは

お客様の愛車を今より美しくする場所だから、完全なサービス業だ。

KeePer LABOは、美容院と同様に美しくする技術(腕)が高い店を選び、

自分の望みをよく聞いてくれて、それを実現してくれる店を選ぶ。

床屋はQBハウスのように技術の確かさも必要だが。

スピードと値段の安さが大きな魅力となって選ばれる。

しかし逆に、美容院は値段の安さはむしろ「大丈夫かな？」とマイナスに効く。

 

美容院やKeePer LABOの料金は、安いと逆に不安になるのです。

 

大切なのは、

・技術レベルが高い事はもちろんだが、

・値段も不合理でない事は必要だが、

・自分の望みをよく聞いてくれて、それを実現してくれる店を選びます。

KeePer LABOはサービス業だから、

安さを強調されるとむしろ不安になります。

 

KeePer LABOが美容院であると考えると分かりやすくなります。

しかし、ガソリンスタンドは物販の体表選手のような面があり、

特に取り扱ってるメイン商品が、

厳密に規格で、品質=商品ととしての価値が保障されている燃料であり、

何処で買ってもその価値にブレが無いので、

その値段は一円でも安い方が客側の利益になる。

 

そういうサービス業とは正反対のような商品を取り扱っていると、

サービス業的に考えれば当たり前の事でも、

中々出来ない事があります。

その筆頭が、物販ならば”安さ”はほぼプラス要因ですが、

サービス業においては、安さはほぼ意味がなく、むしろ害である事もあります。

一番肝心なのは、

自らが徹底して客目線にならなければ、何も見えてこない事です。

店舗にしても、

とにかく目立った方がいい訳ではなく、

自分の日々の生活に中にあって、

日常的に受け入れられような自然な存在であることも大切です。

これはむしろガソリンスタンドでも同じかもしれません。

ガソリンスタンドもリピートを大切にするビジネスです。

リピートを大切にする店舗とは、より目立てば良いという物ではありません。

日常的に入りやすい店舗でなければいけないでしょう。

 

しかし、作業場は作業のし易さと取り回しの良さ優先で決めるより、

お客様からどう見えるのかが大切な要素であることは、

このビジネスがサービス業であるから当然です。

ガソリンスタンド的に考えると違う所かもしれません。

 

そして、一番肝心なのは、

こちらが売りたい物を、こちらの都合で売っても、勧めてもイケナイ事。

あくまでも”お客様が欲しいもの”を一緒に探して、

お客様がそれを欲しいと思ったサービスが見つかればそれが正解です。

決して、強く売り込んだりしない事。

一緒に車を見ながら話をすると、たいてい話が弾みます。

 

値段は、お客様が、

ご自分の都合で考えるので、

こちらが勝手に、こちらが安いから・・と進めるような余計なお節介をしない。

こちら側が、お節介でお勧めするより、

お客様がご自分で決めた方が、かなり値段が高い物に決まる傾向が強い。

 

こっちの勝手なお節介で、

お客様が考えているより安いサービスを

勧められた時のお客様のガッカリした気持ちを考えると、

絶対にやってはいけない事である事は、容易に想像がつく筈です。

 

 

KeePer LABOをやり始めた時、

FC店が、このような物販とサービス業の違いを、

「うちの会社はうちのやり方があるから・・・」と、

受け入れられなかった場合が多く

どうしても、FC店の販売実績を直営店並みに上げられず、

或いは、

FC店のオープン当初は、売り込んでそこそこ高い実績を上げても、

売り込まれたお客様はリピートしないことが多いようで、

ある程度の期間を過ぎると、

ジリ貧になっているケースが多かったのです。

それで、

これではいけないとして、

FC店を、長い間、受け入れない事になっていたのです。

 

 

しかし、KeePer LABOも店舗数が増えて来て、

世間的にもその存在が受け入れられ、認められるようになってきて、

需要がますます上がってきた時、

直営店だけでの増店にはスピードに限界があり、

また、FC店の募集復活の期待も感じるようになってきました。

 

そこで、

この物販とサービス業との違いを、

キッチリと植え込む為にも、

FC店に勤務するメンバーを最低3か月間、

研修としてKeePer LABO直営店に入ってもらう事と、

(これはすごく有効で、すごくうまく行っています)

本部側として、

直営店の中で優秀な実績を上げている店長を複数人抜擢し、

(これは、相当、店舗運営にはキツイことでした)

スーパーバイジングの勉強の為に、

地区担当とシニア店長という形で複数店を管理する勉強を一年前から始め、

正しい分析と判断が出来、FC店にもしっかりと物が言えて、

サービス業としてのKeePer LABOを、

FC店においても、しっかりと実現出来るようにステップを踏んできました。

 

物事を進めて行くには、何事も同時進行がつきものです。

今だけでなく未来に向けた事も同時進行でやって行かなければ、

今と同じ未来がやってくるだけです。