谷 好通コラム

2017年07月30日(日曜日)

4953-1.頑丈な亭主とおかみさん。定食屋「安田」

私は、昔を懐かしむことをあまりしない方でした。
常に先のことを考えているから・・なんてことはありませんが、
少なくとも、自分が若かったころを思い出して懐かしむタイプではありません。
昔の友達と久しぶりに会っても、昔話に花が咲くことは無く、
じきに話題が途絶えてしまう方です。

 

それが最近、昔のいろいろな場面を思い出すようになって、
その場面に気持ちが入って、ふと、「懐かしいなぁ」なんて思うのです。

 

特に北海道ではたくさんの場所に行きました。
25年くらい前でしょうか、
KeePerファイナル1を持って全国に売って歩き始めた頃、
最初に行ったのが北海道です。
当時の共石商事さんの方に北海道(なぜ北海道?)の人を紹介してもらって、
道具と材料を持ち、実演して回りました。
何カ所かを回るのですが、その数はまだ少なく
しかも連続して予定が立つ訳ではなく、たくさんの「間(ま)」が出来てしまい、
一日や二日、三日の間の為に、
いちいち名古屋に帰って来ては飛行機代があまりにも勿体なく、
仕方がないので、レンタカーで北海道のあちこちに行って
暇をつぶすことにしたのです。今考えると贅沢な暇つぶしです。
そんなことが何度もあって、
私は北海道の”あらゆる”と言っていいほど多くの観光地に行きました。

 

32年前に独立してから休むことを全くせず、働き詰めの私でしたが、
だか、北海道の観光地だけは本当に隅から隅まで行きました。

 

その一つ、支笏湖は春夏秋冬あらゆる光景を知っています。
千歳から支笏湖に向かう道路が素晴らしく、特に真冬がいいです。
湖畔の樽前山から噴煙が出ている所を見ました。
温泉が湖の中に湧き出て決して凍らない支笏語のボートは一度乗っただです。
でも湖畔のビジターセンターには何度か行って、青の洞門は何回か行き、
たまには札幌から石山を通って、山を越して支笏湖を見ると良いです。
しかし一番思い出すのは、
千歳市内から支笏湖への道路に出る手前に「安田」というご飯やさんがあって、
頑丈そうなメガネをかけた亭主と、
多分年上であろう世話女房の二人で安田を切り回していました。
そのおくさんの生けた「お花」がいつも飾ってあります。
店は小上がりも含めて20人位入れます。
そこの「天ぷら定食」が、
バカみたいに量が多くて、
しかも出来立てなので無茶苦茶美味しく、
トンカツもミンチカツもおいしくて何を食べるか、行くたびに迷いました。
私が支笏湖に何度も行ったのは、たぶん、安田に行きたくて、
支笏湖はそのついでだったのでしょう。
しかし、何年か後にその店はなくなっていました。
あれだけ山盛りにオカズを付けた定食を作っていたら、
採算は合わなかったのでしょう。
思い出すと亭主と奥さんの表情まで思い出します。

 

あの天ぷら定食をまた食べたい。
あの人たちにまた会いたい。
そう思うと、涙が出てきます。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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