谷 好通コラム

2017年05月24日(水曜日)

5.24.カラーコピーした入場券を自慢していた人

昔、私がまだ自分でレースに出る前、
私はある人に案内されて、
ある田舎のサーキットに、
耐久レースを見に来ていていました。
それは公式なレースだったので、
入場するための入場券が必要です。
そして
サーキットでレースを見ている間、
その入場券をビニールケースに入れ、
紐で首からぶら下げていなければならないので、
当然、私も入場券を買ってそうしていました。
しかし、
私を案内してくれた人は、
自分がぶら下げている入場券は本物ではなく、
カラーコピーで造った偽物で「ばれたことはない」と自慢しました。
その若者は、
その田舎のサーキットが地元であり、
自分の同級生も働いているとも言って、
ここが自分のホームグラウンドであり、自分の青春がここにあるとも言う。
その言葉と、カラーコピーした偽物の入場券を自慢する言葉が、
妙にすれ違っていて、違和感を強く持ったことを憶えています。

 

結局、私は後になってその人からこっぴどく裏切られるのですが、
今思えば、あの時にその人の根本的な不誠実さに気づけば良かったと思います。
後になってから思えば、その兆候は随所にあって、
周りにも気づいていた人は多かったようなのですが、
自分がその人に持っていた好意に盲目になっていたのでしょうか。

 

そんなことは、今までの人生で何度もありました。
そのたびに、なぜあの時気が付かなかったのだろうかと後悔するのですが、
「好意」は、その不誠実さを、「何かの間違いだろう」と、
自分で勝手に言い訳してしまうのです。

 

でも、あの時ふと持った胸につかえるような違和感は、
後になって「やっぱりそうだったんだ」と、いつも思い当たるのです。

 

しかし私は今、とことん信頼できる人を何人も知っています。
そういう人はいくつかの特徴がありますが、
間違いないのは、絶対に約束を破らず、
どんなに小さい事でも決してこちらの思いを裏切らないことです。
そんな人を何人も知っています。
そんな人は、
自分の損得を計算して話すことはないので、
私たちのことを真剣に思って話してくれるので
むしろ私を刺激して腹が立ったり疲れることもありますが、
そんな人こそ本物なのだと、ずいぶん前から気が付いていました。

 

しかし、65才にもなってそんなことを言う私は鈍感でした。
人に対する前提としての好意は、
かえって人を鈍感にするものなのかもしれません。

 

私は今、とことん信頼できる人を何人も、何十人も、何百人も知っています。
だから、そんな人たちが、
どんなに自分の不本意でされてしまった約束でも、
決して破っていけないことを、
みんなが教えてくれます。ありがたいことです。

 

私は今、とことん信頼できる人を何人も、何十人も、何百人も知っています。
だから、誰にでも最初から好意をもっても怖くありません。

 

カラーコピーの入場券を自分の青春で使う奴は偽物であることは憶えたので。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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