2001年04月07日(土曜日)
第77話 デイゲーム
実は昨日、大変だった
親父が大変だった
75歳の親父は色々具合がよくなくって入院していた
今度の月曜日に手術をする予定で準備をしていたのだが
昨日の朝、会いに行った時
何かいつもと違っていて、ものすごく気持ちに引っ掛かりが有った
どういう訳か
何をしても、親父が意識の中に入ってきて落ち着かなかった
イライラして
どっちでもイイことで
プッツンし、会社の階段の壁を蹴飛ばした
前回、壁を不用意に蹴飛ばして“左足を骨折”したので(はじめの一歩第3話)
プッツンしながらも“冷静に右足で”蹴ったら
いとも簡単に穴が開いた。ポコンと
(当社の建物、こんなに安普請であったのか?新発見)
・・
・・・・・・・
不意に電話が入って
すぐ病院に来いと言う。突然親父が大量の血を吐いたとのこと
緊急手術
突然降って沸いた生と死の狭間
深夜に、1年分の出来事のあと
・・・手術が成功して 親父が生還して来た
・・
今の麻酔技術はすごい!
術後、わずか30分なのに
こちらの言う事が全部聞こえていると、看護婦さんが言う
「よく、がんばったねっ。大成功だったよ」
「好通だよ。清隆もいるよ」
と、一生懸命話し掛ける
“聞こえている”と聞いているから一生懸命話し掛けるが
もちろん反応はない
麻酔が効いているから仕方ないと思いつつ
「またうまい物が食べれるぞ」
と言ったら
心拍センサーのパルス音が
ピッピー、ピッピー、ピッピー、ピピピピ、ピッピー、ピッピー
と反応した
“息子2人の名前”を呼びかけたより
“また、うまい物が食える”の呼びかけに、ピピピピで、反応した
胃の大半を取るという大手術のわずか30分後にである
さすが私の親父であると、ムチャクチャ感動したのであった
確かに聞こえている、と確信した
間違いなく、親父は生きていると実感したのだった
朝、私が様子を見に行った時には
もう、話が少し出来る状態だった
そして今日の夕方、弟が見に行った時、
なんと
親父は、ICU(集中治療室)で
ラジオで“野球中継を聞いていた”と言う
信じられない!
弟が聞いた
「中日は勝っとるんか?」(親父はバリバリのドラゴンズファン)
親父いわく
「中日は、デイゲームで勝った」
デイゲームで勝った?
なんと、なんと
親父は“昼からラジオで野球を聞いていた”のである
昨夜、10時に大手術をしてから
翌日のデイゲームをラジオで聞いた、と言うのである
今日、大事な会議を済ましてから
もう一仕事すまし、残っていた会社の仲間を誘って
飲みに出た
第42話の“寿司善”に
メンバーは、九州の暴れん棒とM総理、東京の田舎者、ウーロン茶
そして私の5人
しこたま、うんま~い寿司を食って
(奴らウマイもの食うときは早いので、私も必死で食った)
ビール飲んで
そのあとズワイガニが出た
こんなに美味い蟹ははじめてだった
かつて越前海岸で食べたとびきりの蟹(一杯2万円!)より
絶対に美味かった
身も味噌も絶品
その上、さすが寿司善
5人で食って、飲んで、蟹食って、越前の蟹一杯と同じぐらいのお勘定。安い!
昨日は思いもよらなかった
幸せ
それが束の間のものであっても、少なくとも今日は幸せであった
最高に幸せであった
デイゲーム万歳!
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