2001年04月11日(水曜日)

第81話 パワーの差

実はこの話、4月10日の東京からの帰りの新幹線の中で書いている
明日、どうしても原稿を書けない状況になる可能性があるので、今日がんばって2つの話を書くことにした

 

4月1日にあった清水さん出場のシビックレースの話が
「へなちょこレース日記」に出た
このレースの結果は非常に残念なものであったが

 

もう一つ、その前日3月31日にMINE2000と言うレースがあった
このレースには、我が畠中修ちゃんが
キーパーレビン号に乗って出場したのだが
そのレース
色々考えさせられた

 

3月31日午前中は、大変強い雨
その雨の中、このレースの予選が行われた
予選の結果は総合2位
素晴らしい結果ではあったのだが、これには事情がある

 

このレース、異種クラスの混走なので、色々な車が出場している
500馬力近くあるスカイラインGT-R(車重1300kg以上)から
車重が800kg軽量でも
190馬力程度しかないの我がN1レビンまで
高校生から小学生までがいっしょに運動会をやるようなもの

 

この午前中の予選、大雨だった
雨が降ったサーキットのコースは実に良くすべる
そして
このレースに出るレースカーは“Sタイヤ”というスリックに近いタイヤを履いている
このタイヤ
高速で走ると、タイヤ表面のゴムが溶けたような状態になって
非常に強いグリップを得る事が出来る
早い話が良く食いつくのだ
晴れた日は最高なのだが
雨の日は、まったくグリップしない、ツルツル

 

F1とか、GTなどというレベルの高いレースは雨の日用のウェットタイヤがあるのだが
私達レベルのレースでは、雨も晴れも同じタイヤで走ってしまう
だから雨の日は、ホントにツルツル

 

そんな状態では
エンジンは強力500馬力クラスで、車重は重いという車は最悪だ
アクセルをチョッと踏めば、たちどころに回ってしまう

 

逆に
非力で軽い車の天下となる
レビンクラスはヘロヘロと“みずすまし”のように走っていく
だから完全にポテンシャルが高い車をさしおいて
予選総合2位、なんて事になってしまったのだ

 

ところがところが
今回は最悪のパターン
午後から晴れ上がってしまったのだ、見事に
コースは、完全に“ドライ”
こうなると、もう太刀打ちのしようがない

 

本番レース前
修ちゃんは、憂鬱の見本のような顔をしていた
「スタートから第1コーナーまでに、何台に抜かれるかなぁ～」
スタートダッシュは、馬力勝負
レビン2位のポジションは絶望的であった

 

西の方の山を見ながら
「あの山に雲が掛ると、雨が降ってくるんだけどなぁ～」と完全に雨頼み
そんな切実な修ちゃんのハートをあざ笑うように
どんどん大晴天になって来た
路面が完全に乾ききってしまった午後3時
いよいよスタートの時間

 

フォーメーションラップののち
スターティンググリットに整列
!スタート!!
全車一斉にダッシュ

 

 

我らがキーパーレビン号はたちまち
後ろから襲い掛かるターボ軍団に飲み込まれていく

 

 

決してインを開けず踏ん張るレビン
第1コーナー手前、アグレッシブに突っ込むも
ハナを前に出せず
絶対的パワーに勝る車に抜き去られる

 

 

このあと17周、このままのポジションで
まるで練習走行のよう(本人は必死)に
17周走りきって無事ゴールしたのだった
デッドヒートは、最初の10秒だけで
残念な結果であった

 

“もしっ”
お天気が、“午前と午後、逆だったら”

 

「午前晴れ」で、「午後から雨」だったら

 

午前ドライで、午後ウェットだったら

 

レースのみならず、“もし”と“たら”は禁句なのだが
ものすごくエキサイティングなレースになったであろう!

 

雨のサーキットを舞台に
非力なレビンが、怪物のような馬力のターボ勢を
順番に抜き去っていく!
思い浮かべただけでもぞくぞくする

 

世の中
一つの要素で“絶対的優位な力を持っていても”
環境が変ると
“非力”なモノにも必ずチャンスがやってくる

 

レースは今の時代そのもののようだ
と、えらく感心したのであった
そして
「俺は、絶対負けないぞ」と、力んだのであった

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