2001年06月15日(金曜日)

第140話 作戦破れたり

明日からレースのための週末
土曜日にサーキットでしっかり調整して、日曜日に本番
今は、そのMINEサーキットに近い「小郡」に向かう新幹線の中

 

今回のレースは
私達にとって初めてのスプリントレース
今までの2回のレースは、耐久レースだった
耐久レースは、3人で交代して乗り継いで走る
だから責任も1/3という訳ではないが、それでもいくらかは気楽だった

 

今回のスプリントレースは
スタートからゴールまで自分一人
気合がまるっきり違う

 

耐久レースの時は
レースに「参加しに行く」という感じだったが
今回は「戦いに行く!」って感じ
「孤独が真ん中にある緊張感」なんて言うと、カッコつけ過ぎか

 

しかしそれでも、戦場に向かう戦士の心境があって
なかなかである

 

いつもはギリギリまで仕事をして
最終の飛行機か、新幹線に乗って向かうのだが
今日は、チョッと気負って
午後4時前に会社を早退して「小郡」に向かう事にした
「今日はたっぷり時間がある。あわてなくても今日中に向こうに着けばいい」
なんて
余裕かまして、モタモタしていたら
“モタモタしすぎて”
17時38分の「のぞみ」にギリギリで乗り遅れてしまった
その「のぞみ」に乗って
広島で乗り継ぐと、20時半前には「小郡」に着くはずであった

 

ところが、これをハズしてしまったので
18時29分名古屋発・小郡停車・博多行きの「ひかり105号」に乗るしかない
その前のどの列車に乗っても、その直後の「のぞみ」に乗っても
大阪か、広島で結局この「ひかり105号」に乗る事になる
小郡に到着は“21時53分”、ほとんど夜10時

 

特にこの「ひかり」は
名古屋・岐阜羽島・米原・京都・大阪・新神戸・姫路・岡山・広島・徳山・小郡
と、いくつもの駅に止まっていく“チンタラひかり”
別にこの「ひかり」が悪い訳ではないが
3時間24分はさすがに長い、遅い

 

小郡に約10時到着では
いつもと同じだ
あの、かましたはずの余裕は何だったんだろうか

 

※
予定通り夜8時半前に到着すれば
へな?は
その1時間ほど前に到着しているはず

 

腹を減らしてイライラしているはずのへな?の前に
「いや～待たせたね」と
悠然と現れ

 

「おそいぞっ、武蔵」
と言って
戦いに敗れた“佐々木小次郎”にへな?を
落とし込んでいたはずだった
戦わずしてへな?は、私に負けたはずであった
巌流島での、私が武蔵で、奴が小次郎って訳

 

夜10時到着では
さすがに、心配するのではとの温情が邪魔をして

 

「10時ごろ着くよー」と電話をしてしまった

 

「ハーイ、じゃっ飯食っときまーす」とへな?の明るい声

 

私が“チンタラひかり”にイライラしながら、冷えた駅弁食っている時に
奴は
たらふく温かい飯を食らって
惰眠をムサボッテいるのかもしれない

 

作戦破れたり!!

 

・・・・・ そうなんです
日曜のスプリントレースには、へな?も別の車で出場するのです
だから

 

今回
奴は
タダの敵なのである

 

ライバルなのである
しかも
レースタイムが低レベルである私達にとって
まともにライバルと呼べそうな
数少ない、貴重な、低レベルであり、同レベルの“敵”なのである

 

戦いは周到にという兵法にのっとり
私は小郡行きにまで
策を労したのであるが、あっけなく破れてしまった

 

※それを知ってか知らずか、満面の笑顔のへな?

 

 

本番では目にものを見せてやろうぞ

 

“小次郎”、覚悟して置け

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