2001年06月20日(水曜日)

第143話 乗りたくない

今は、名古屋から福岡への飛行機の中
朝7時40分発の早い便に乗った

 

今朝は飛行機に乗りたくなかった
飛行環境が悪い事が分かっていたから

 

 

今、飛行機は
勘弁してくれ、と言うぐらい揺れている
飛行機に乗りなれている私でも、さすがに怖いくらい

 

日本全体に横たわっている「梅雨前線」の上に沿って飛んでいる形で
最悪のパターン

 

梅雨前線と言うのは
寒冷前線と温暖前線とがせめぎあって
大気が非常に不安定な状態で
飛行機で飛ぶには一番悪い条件の一つである

 

雲も低く垂れ込め、飛び上がると早々に揺れ始める
揺れに揺れながら上空に上がっても
うねった雲が続き
ゴトゴトと揺れ続ける

 

こんな時に
よりによって今日は福岡の日帰り、明日は新潟の日帰りで
2日間で4回も飛行機に乗る事になっている
チョッと憂鬱

 

ここ何年かは、少々の揺れでは何とも思わなくなってしまったが
10数年前、飛行機にボツボツ乗り始めた頃は
私は飛行機が極端に怖かった
半端な怖がり方ではなかった

 

乗る前には必ず
しこたまアルコールを飲んで「ベロンベロン」の状態で乗る事にしていた
でないと気が狂いそうに怖かった
乗ってしまった後も
ほぼ2分おきに時計を見て
「もう三分の一経った。
あと半分で着く。
あと何分で着く。」
と、ずっと秒読みをしているぐらいであった

 

しかし、ある時、フッと“怖く無くなった”

 

よく憶えていないが
10回ぐらい乗った頃
向こうに着いたらすぐ仕事があるので、どうしてもアルコールを飲めず
我慢して
シラフで乗ったら、大丈夫になってしまったと記憶している

 

怖いからと言って
いつまでも飛行機になるたびに
アルコールに頼っていたら
いつまで経ってもダメだったのかもしれない

 

いつか、どこかで吹っ切らないと
いつまでも殻から抜け出せない
と言うことか

 

今は
飛行機に乗っている間中パソコンで原稿を書いているので
余計怖くなくなった
あっという間に1時間ぐらいが過ぎてしまう

 

今日乗っている飛行機は
マグダネルダグラス社の「MD-90」

 

マグダネルダグラス社とは
大戦中から数十年にわたっての大ロングセラーであった歴史的名旅客機「DC-3」
日本航空の初のジェット旅客機「DC-8」
などを作った「ダグラス社」
と
ベトナム戦争の主役であった戦闘爆撃機「F4ファントム」のメーカー
「マグダネル社」が
合併して出来た会社

 

その「ダグラス社」が
20年以上前に中距離用、中型機として作った「DC-9」という飛行機があり
「MD-90」は
合併してマグダネルダグラス社と言う名前になってから
「DC-9」を発展改良して、
高バイパス比の新世代エンジンに乗せ替えた新型機が「MD-90」
ちなみにこのエンジンは“V2500”と言って
日本のメーカーも深く関わっている
非常に静かで、力のある優秀なエンジンである

 

 

しかし、この「マグダネルダグラス社」も
飛行機メーカーの激烈な生き残り競争に負け
ほんのこの間
世界最大の旅客機メーカー「ボーイング社」に吸収されてしまった

 

かつては
アメリカのボーイング、マグダネルダグラス、ロッキード、グラマン
オランダのフォッカー
イギリスのBAe、トライデント
ソ連のツポレフ、アントノフ、ヤコプレフなど等
旅客機メーカーも百家騒乱であったが

 

あっという間に
倒産とか、統廃合が行われて
アメリカのボーイング社と、ヨーロッパのエアバスインダストリー社の
実質上、2社になってしまった

 

世の中
“数少ない勝者だけが生き残る”すさまじい時代に変ったのだ
そして
この「MD-90」も
ボーイング社によって新たに
「B-717」と
またその名前を変える事になっている

 

飛行機が揺れている時は、こんなどちらでもいい事を書いていると
気がまぎれて都合がいい

 

しかし
揺れる事がわかっている時は
飛行機には
「乗りたくないなぁ～」
と、やっぱり今でも思う

 

そろそろ降下し始めた
降下中は「かなり揺れる」と、機内アナウンスが言っている
ヤバイ、ヤバイ

Posted   パーマリンク

ページのトップへ