2001年06月24日(日曜日)
第149話 あまったれるな
私が多分、小学生3年生か4年生の頃
オヤジから、ものすごく怒られたことがあった
原因ははっきり憶えていない
たしか、ナンカの拍子に、オヤジに向かって生意気な事を言って
怒らせたか
チビの弟をまたイジメたか
いずれにしても、当たり前の話だが私が悪い
殴られて
「ビャーッ」っと泣いて、家の外に飛び出した
夜の事だったので
外は真っ暗
(昔は街路灯などほとんど無かった、だからホントに真っ暗)
泣きながら、がむしゃらに町の中を走った
そうしたら
オフクロが追いかけて来てくれた
血相を変えて
追いかけて来てくれて、私を連れ戻しに来てくれた
はじめて家を飛び出したら
オフクロが追っかけて来てくれた
そして、私を捕まえて抱いてくれたのだった
そのやさしさに、今度は嬉し涙
真っ暗な町をウロウロした不安から解放された安堵、
そして、私を連れ戻したときに「あー良かった、事故にでもなったどうするの」
と、オフクロはオヤジにちょっと文句を言った
?[悪い事をして]
↓
?[親父にこっぴどく怒られた]
↓
?[家を飛び出したら]
↓
?[心配したオフクロが追ってきた]
↓
?[そして、逆にオヤジが文句を言われた]
↓
?[悪い事をした私は、無罪放免になり、
それどころか可哀想がられた]
“悪ガキ”の私は
この事を、“うまい手”としてインプットしてしまったのだった
つまり
?[悪い事をして]
↓
?[家を飛び出したら]
↓
?[悪い事をした私は、無罪放免になり、
それどころか可哀想がられた]
???を、抜かしてインプットしてしまったのだ
「こりゃ~うまい手だ」と、インプットしてしまったのだった
※場面は変わって
暑い夏のお昼前、夏休みもそろそろ終わりの頃
毎度の事で、宿題をちっともやっていなかった私は
オフクロから
叱られていた
が
チョッと前のあの事件で、悪ガキはオフクロを“ナメテ”いたので
憎まれ口を言ったのであろう
突然オフクロがキレタ!
「お前なんかいらんっ!出てけーッ!」
変な事をインプットしてしまっている“アホな悪ガキ”は
喜々として、家をとび出した
そして
「また、すぐ追っかけて来てくれるぞ」と思って
近くの山崎川のコンクリート堤防から
家の方の見ていた
5分、10分、・・・30分?
ちっとも玄関からオフクロが飛び出してこない
??・・?
暑いし・・・
何はともかく腹が減ってきたし・・・・
おかしいな~?
「しょうがないな~、今日のところは、自分から帰っておこうか」
アホな私は
それでも、ほとんど恩着せがましい気持ちで帰って行った
「ただいまー、帰って来たよー」っと、玄関を入った
不敵な笑いを浮かべながら、ミシンに向かっているオフクロがそこにいた
何も言わない
こちらを見ようともしない
ナンか変だなぁー、と思いながらも
「帰って来たよ」ともう一度
オフクロは怖い顔して、しかも不気味な笑みを浮かべながら
「あ・まっ・た・れ・る・なっ、バカっ」
ノックアウトであった
あとは言われるがまま
叱られるがまま
素直に、山のように残っている夏休みの宿題を
オヤツ抜きで、必死でやるしか
私の生き残る道は無かったのである
私のインプットした“うまい手”は、もろくも粉砕されたわけで
“親をなめちゃ~イカン”と、幼い悪ガキは、インプットし直したのです
オヤジとオフクロと昔話をしていたら
オフクロが
「今までで、一番おかしい事だった」と、すごくうれしそうに言っていた
自分の子供を、へこました事が
オフクロ、70年以上の人生の中で、一番おかしい事だったとは
私は
よっぽど悪ガキだったのか
歳とった“元”悪ガキ
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