2001年07月11日(水曜日)
第164話 消えていく時
思わぬほど
早くなりそうな消えゆく時
あらゆる形あるものは
いずれ壊れ
あらゆる存在は、無に帰る
エントロピーの法則に拠るまでも無く
自然のこと
人は物ではないことがやっと解るかのように
自分の無知が
愚かさを自覚するのみ
覚悟をしても、覚悟を深くしても
未練に限りがなく
それが哀れ
何も手を施しようが無く
無念
細い細い炎が
糸を引くように、燃え続け
絶えそうになっても
まだまだ、と言うように
また、細く炎の糸が引きはじめる
突然の時は動揺で、手あたり次第のモノを恨んだりもしたが
今はむしろ静か
何ものをも
許し
慈しむ事が出来そう
私の事を最後まで説教し通すのかと思ったら
感謝の言葉が
親父の口からあふれて出て来る
こんな時になって
はじめて
俺の事を一人前の男として認めるなんて
うれしくない
男・タケシは最後まで俺をヒヨッコ扱いしなくては、うれしくない
感謝の言葉なんて言うな
涙が出てくる・
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