2001年10月27日(土曜日)
261話 仕事.SONAX
ドイツに来たのは、SONAXの製品をじっくりと経験するため
私たち自身の製品は
キーパーシリーズを含め、すべてオリジナルで開発したものばかり
既成の商品では
(私たちのポリシーを実現するためには)
性能的に飽き足らず
ほとんどすべての商品を自主開発してきた
ひとつの製品を、妥協無く開発するのには
大変な手間隙がかかる
ほぼ3ヶ月は必要だ
それでも10年近くの間に、30アイテムぐらいはやってきただろうか
しかし
洗車(というよりも)、車をキレイにすることは
実に幅広いことで
ユーザーの幅広い欲求を満たしていくには
もっともっと、色々なキレイに対応できる力を付けていかねば
と、かねてから考えていた
しかし
そのすべてを、自主開発のみでやっていくことにも、限界を感じ始めてもいた
そこで
今以上のラインナップを充実させるために
これを補完する意味での、提携先を探していたのだ
その候補がドイツのケミカルメーカー“SONAX”
なぜ、それがSONAXなのか
いろいろな要素があるが
まず第1に、一つ一つの商品に個性を感じたこと
ごくごく一般的な商品にでも、何らかのポリシーを感じたのだ
そして、ドイツから、開発担当者Dr.ピッチが
アイ・タックを訪れてくれた時
トレーニングセンターでディスカッションをして、その能力と、信念に
少なからず共感を感じたこと
言葉は、直接は通じないが
開発について、かなり通じ合うものがあると感じたこと
思考回路に類似性を感じたこと
商品ラインナップはさすがに豊富で、何百種類かある
しかし
カタログを取り寄せて、翻訳して読んでも
サンプルを取り寄せて
自分たちなりにテストをしてみても
よく分からない
「こりゃ、だめか?」と何度も思ったが
このまま、「大したことはない」と、片付けてしまうには
何か、違う気がして
結局
「ドイツに行って、作った人のやり方をじっくりと見て、体験しなければ
こりゃ、何も分からん
ドイツのものを日本人の感性のまま使っても、本来のものが出せていない
とにかく、ドイツへ行こう!」
と、言うことで、結局、来てしまったのだ
こちらに来て
昨日、一昨日と、たくさんの種類のものについて
聞いて
見て
やってみて
納得いくまで、しつこく、
しつこく聞いて
あまりにも、しつこく聞いたり、やったりしたので
SONAXのスタッフと、一時、険悪なムードになるぐらいだった
ここに見学に来るバイヤーたちは
SONAXのブランドが目的で来るので
あまり、しつこく聞いたりはしなかったのだろう
それでも私達は
せっかく来たのだから
それに
実際に使う人たちのことを考えると、安易に妥協はしたくなかったので
やはり、しつこく聞いた
そして、やった
その結果
やはり来てみて、直接聞いたり、見たり、やったり
そのことで分かったことが、いっぱいあった
来て良かった、の実感
これから面白いことが、いっぱい出来るという実感
[SONAX]このメーカー面白いですよ
SONAXとは、ホフマン企業グループの中核をなす会社
そして、そのホフマンとは
世界で一番初めにコンパウンドを開発した会社で
ドイツ・ノイブルグに、その原料となる「珪藻土」の鉱山を持っている
第2次大戦前から存在している古~い会社
SONAXは
大戦後、そのコンパウンドを原料に、数々のカーケア・ヒット商品を生み出し
その社長が2代目、3代目と更新するにつれ
界面活性剤、ワックスなどの開発能力に
トップレベルのものを持つカーケア・ケミカルのスペシャリストとして発展し
現在、ドイツ国内では50%のシェアを持ち
ヨーロッパをはじめとして
世界各国への輸出にも大きな力を持っている
歴史のある古い会社ではあるが
工場の生産設備は、非常に近代化されていた
まず驚いたのは
生産におけるほとんどの工程を
すべて自工場内でまかなってしまっていること
1.原料の仕入れの内、研磨剤の類は自分の鉱山から
搬入・加工製造
その部門は“ホフマンミネラル”という別の会社になっている
その他の原料の搬入・保管
2.原料の品質をチェックするための実験室とシステム
製造された製品の品質管理のための実験室
3.製品の開発研究、及びテストのための設備
研究所の設備は非常に充実しており、レヘルの高い研究員が揃っていた
(研究室の撮影は、出来なかった)
※低温状態でのウィンド清浄テスト装置
テストの評価はデジタルで出される
※実車で色々な実験を行う設備
テストするのに非常に楽な環境が作ってあった
しかも、テスト専属の作業スタッフが2名いた
4.ケミカル製造のためのミキサー類は
単純なミキサーから、エマルジョンのためのホモミキサー
過熱・加圧が出来る設備
粘度の非常に高いものための、特別なミキサーなどすべて整っている
5.容器の製造
容器の製造まで生産工場内で行っている工場は初めて見た
そしてその容器は、実に良く考えられており
自社開発、自社製造の強みがうかがわれる
6.製品の充填
液体製品の、ボトルへの充填
エアゾールの充填
すべてのことが外注に出されることなく自工場内で行われていた
7.製品の梱包、発送
これらの設備で特筆すべきは、容器の製造から充填、梱包まで
ほぼ自動化されており、作業スタッフの数は極端に少ないことだ
ここまですべての製造段階を自工場内でまかない
それが自動化されていると、コストでの競争力が高いことは間違いないだろう
※広大な工場群は、写真に写っているものの5倍はある
そして何より、研究スタッフの要であるDr.ピッチの存在
彼の姿勢は、非常に実践的であり、好感が持て
私たちのオーダーに違和感がなかったこと
これからが大変楽しみだ
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