2002年11月27日(水曜日)
581話 踏めばいいのだ
今日また、MINEに行ってきた
12月8日の「ジュニア耐久レース第3戦」に
出場するための練習である
本当は、レース前日の土曜日に練習日があるので
金曜日の夜出て行って、土曜日朝からみっちり練習をして
日曜日の本番に備えるのだが
この週の土曜日は
会社で、全国ミーティングがあり
どうしても、土曜日の夜にMINEに出発して
日曜日は、ぶっつけ本番になってしまう
だから、仕方なく
まだ10日前ではあるが、今日練習をすることにした
たまたま、清水さんたちも
自分たちが出場する車を持ち込んで、練習することになっていたので
合同で練習することにした
今は、その帰り
福岡から名古屋への飛行機の中である
今日の練習の結果は上々
私は一つ、開眼してしまった
おかげで、自分のベストタイムを更新することも出来た
約1年ぶりのベスト更新である
(メチャクチャ嬉しいのだ!)
ベストと言ってもたかが知れている
今までのベストタイム、1分46秒92に対して、今日のタイムは、1分46秒75
わずか、0.17秒だけの話
たったそれだけのことだが、私にとっては大変なことなのだ
朝から始めた練習
今日も47秒1がベストであって
どうしても、それをクリアできない
それどころか、ミスが多くタイムそのものがまとまってこない
こんなことでは
耐久レースの練習なんかにならず
少々めげていた
いよいよ今日最後の一本
お天気も良く、路面温度の低く、条件はいい
ただ、ストレートでアゲンストの風が強く、ちょっと気になる
走り始めて、本人はなかなか調子良かったつもりだが
今日一番悪いタイムしか出てこない
焦ったが
焦ると、余計に小さなミスが出るばかり
こんな調子で今日も終わるのか、諦めかけていた5周目
後ろから、広島営業所の「山本」がシビックで迫ってきた
(山本は今回、清水さんのチームでレースに参加する)
サーキットでは、上司部下の関係はまったくなし
山本は、まったく遠慮する様子もなく
ガバっと抜いていった
彼とのタイム差は、1周2~3秒ほど
速さはH.オサムといい勝負か
抜かれたあと
私は必死に、彼の後を追おうと頑張る
半周ぐらいまでは、何とか着いていけたのだが
やっぱり、どんどん放されていく
そんな時に気がついた
彼のシビックと、私のKeePreレビン
コーナー進入のスピードも、旋回中のスピードも
あまり変わらないのだ
違うのは
コーナー脱出してからの加速
そこがまったく違う
彼の乗っているシビックは
私のKeePreレビンより、戦闘力が上ではあるが
車自体の力で言えば1秒ちょっと早いだけ
たいした差は無い
だのに
コーナー立ち上がりで、置いて行かれてしまう
「何故なんだろうか?」
“踏んでいなかった”
私は、“アクセル”を踏んで、いなかったのだ
コーナーを脱出する時点で
アクセルを全開にしていなかった
つまり、ハーフスロットルでスピードを調整しながら
タイヤがグリップを失い、スピンしないように調整しながら
恐る恐る
コーナーからの脱出をしていたのだ
何度かスピンをした経験が、アクセルを踏めないようにしていた
サーキットのコーナーを攻める時には
?コーナー手前でフルブレーキング
?ヒールアンドトウをしながらシフトダウン
?ブレーキングで荷重が前に来ているタイミングで、ハンドルを切り込む
?荷重が前に来ていると、ハンドルがよく効いて、車がスッと回り込む
(これをターンインという)
?車の向きが鋭く変えて、クリッピングポイントに持っていく
?後は、いかにすばやくアクセルを開けて、コーナーを脱出する
大まかに、こんな段取りでコーナーをクリアしていくのだが
私は、いつの間にか?の場面で
アクセルを全開にせず
恐る恐る、アクセルを開け
スピードを調整することによってスピンを防ごうとしていた
ここはアクセル全開なのである
アクセル全開の上で
スピードオーバーでスピンしそうになったら
カウンターを当てて、コントロールすべきだし
それでもスピンしてしまうほど、スピードが高ければ
その時初めてアクセルを調整すればいい
とにかく
コーナーを抜けるときは
クリッピングポイントから、あるいは直前から
アクセルべったりと全開にしなければ、脱出スピードを上げることが出来ない
脱出スピードが遅ければ、次のコーナーまでのスピードも上がらない
分かっているのに
アクセルが踏み切れなかった
怖かったから!
何度もスピンを経験して
怖さを身に付けてしまい
いつの間にか
アクセルを思い切って踏み切れないようになっていた
実は、ターンインがキチンと出来るようになっていて
アクセルをべったりと踏んでも、大丈夫になってきているのに
身に染みた怖さが
アクセルを半分浮かせながら走るようにさせていた
それに気がついて
思い切って・・
勇気を出して、アクセルを全開にしてみた
大丈夫だったのだ
ターンインによって、車の向きが変えられているので
アクセルを全開にしても、大丈夫
平気であった
それに、今の時季は路面温度が低く、タイヤのグリップが上がっている
また、多少のアーバーステアは
コントロールできるだけの感覚が出来ている
「うわッ、これはいいっ!」と思ったとたんに
ベストを出すことが出来た
しかも、耐久レースのために
あまりエンジンの回転数を上げない状態(8000回転以下)で
である
いつものように頑張って
8400回転ぐらいまで使うような走りならば
夢の45秒台も出せるような気が、してきた
こんなことって
普段のことでも、よくあると思うのです
年を経て
多くの経験を積んでくると
知識が増え
能力が上がってきているのに
たくさんの失敗も経験してきているので
“懲りて”いて
思い切った行動が、起こせなくなっている
能力は上がっているのに
逆に、行動力は低くなっている
「歳を取った」という言葉は、こんなことを意味しているような気がする
思い切ってアクセルを全開にしてみること
そんなことが
歳を取った時にこそ、一番大切なことと思うのです。
今日のMINEでは
いつものように元気をもらったと同時に
勇気をも、もらったような気がします。
※高速機動隊のパトカーがMINEを走っていた
ヘ・タ・ク・ソ、であった(?)
※レーシングスーツを忘れた某レースドライバー
ア・ホ、である
※福岡への帰りの高速道路
ゾクッとするような夕日が、見送ってくれた
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