2002年12月29日(日曜日)
605話 今どきの若い者
「今どきの若い者は」といった時には
たいていの場合、「~~だから、ダメだ」で終わる
しかし、まんざらそうでもない
・・・・
今のガソリンスタンドは
何故か、年末の大混雑にあまりならなくなってきたが
かつてのスタンドの年末はすごかった
しかし、洗車屋はその上を行く
6日ぐらい前から本格的な混雑が始まるのだ
今日は大晦日から3日前の29日、年末もいよいよ終盤だが
一昨日、昨日に続いてギネス更新間違いない
26日が、401,900円
27日が、574,975円
28日が、623,790円
そして、今日29日は70万円突破するかもしれない
70万円/日の洗車売り上げとは
普通のガソリンスタンドの洗車売り上げ平均の2か月分に匹敵するもの
いくら年末とはいえ
これは異常だ
4日間だけで、230万円以上
すべて洗車だけでの売り上げ
台数にして、約400台
平均単価も6,000円/台に近い
このペースだと、今月は700万円になる可能性が高い
平月でも、400万を超えることがたびたびある
これが、刈谷という田舎町の、たった188坪の店舗単体の
「洗車」という単商品種での売り上げ
洗車という商品は、材料費はあまりいらない
むしろ、ほとんどいらないといった方が正確で、当然、利益率90%を楽に越す
商売としては、なかなか上々である
それに対して、今、ガソリンスタンドは非常に苦しい状態だ
ガソリンなどの燃料油が昔ほど儲からなくなっている
通常に買っていれば
レギュラーガソリンの仕入れは90円近い
ルートを外れた物を買えば
それなりに安いが
全量、ルート外の物を買うわけには行かないのだ
消費者に対して品質の証となっている「ブランドマーク」を取られてしまうからだ
だから、いくら安く買っても85円を下回ることは、なかなか難しい
それを92円とか、へたすると88円とか、86円などで売っている場合すらある、
セルフサービスの店で人件費を節約しても
とても健全な経営は出来ない
だから一生懸命、「油外収益、洗車収益を増やそう」
と言う
しかし、いつも不思議に思うのは
ガソリンスタンドでは
何故、燃料販売中心の考え方しか出来ないのか、ということ
丁寧な洗車とか、KeePreとか
高品質な洗車商品にこれだけ需要があるのに
なぜ、隣と同じ“決まりきったガソリンスタンドの洗車”しか、やろうとしないのか
あるいは
本気で高品質洗車をやろうと考え
本格的な洗車作業場を考えた場合でも
何故、燃料の給油を第一優先に考えたレイアウトまでしか組めないのか
オペレーションとかについても、同じ事が言える
あるいは
洗車の質を高いところで維持できない場合が多いのか
押し寄せる客を必死にさばく年末の快洗隊を見ていると
悩んでしまうことが多い
需要は圧倒的にあるのだ
間違いなく
今、時代は「売上げ主義から」「利益主義」にハッキリ変わっている
今までの既成概念から
大胆に価値観の方向を変えないと
イカンと思うのです
ダメだと言われがちな若い子達が
こんなにたくさんの人たちが欲しがるような
キレイな、きちんとキレイな洗車を創り出している
今どきの若い者、まんざらじゃないんですよ
今日の快洗隊のメンバー達
昨日に引き続いて紹介します
18歳の成住君、クリスマスの時はサンタクロースになっていた
同じ18歳、鈴木君、笑顔しか見たことがない明るい子
18歳トリオのトリ、杉浦君、この子はけっこう不思議な子。スタミナ?1
彼らの親分、モンキーダイスッキ・半田サブチーフ。結構うるさいらしい
応援部隊/先代のマネージャー新原君、今年結婚するかも。俺も呼んでね
応援部隊/成長目覚しい中部と四国担当の鈴置君
快洗隊の大親分、新婚ほやほやの“快洗隊営業部部長”鶴見君
アルバイトの加藤さん、ものすごく一生懸命な子です
快洗隊の年末最多経験者、アルバイトの内田さん、とっても可愛いお母さんです
さぁ、いよいよあと2日
さぁ、いよいよあと2日
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2002年12月29日(日曜日)
604話 人の幸せが憎い
もう一つ大晦日の話
私が独立したのは18年前
150坪で、建ってから20年ぐらいの
ありきたりの古いガソリンスタンドを引き継いで商売を始めた
それなりに繁盛していた
9月2日スタートで
その年の年末は無我夢中であったのか、特に思い出らしい思い出もないが
その次の年の大晦日には苦い思いである
その頃は、ほとんど店を休まず、だから私も休まず1年に363日働いた
1年以上運営していると
店のお客様の顔も覚え、燃料以外の作業も増えた
洗車も増えた
客数そのものも増えた
燃料油の販売も200klを超えている
(ダブルの計量器2基たけで)
だから、2回目の年末は
1回目の年末よりかなり忙しかったと記憶している
年末はただ単に忙しいだけでなく灯油の給油があって
あのポリ缶の重さが腰に来る
灯油だけでも100klを越すことがあった
あと7日
あと6日
あと5日
あと4日と
年末は毎日一日ずつのカウントダウンで
歯を食いしばって頑張った
あと3日
あと2日
そして、とうとう最終日の大晦日
最後の1日
毎年の事とはいえ、極限状態であった
足の感覚はとうの昔になくなっている
「あと一日が終わったら、3日間も休みが取れる」
励みはそれだけ
お正月には、両親と兄弟と自分の家族全員で
みんなで初詣に行こう
最終日、家を出る時
近所の人たちが空のポリ缶を持ってきてくれた
「最後でいいから、灯油持ってきてくれる?」
売り上げに協力してくれるというのだ
近所の人達は、私たちがガソリンスタンドを始めたことを知っていて
こんな形で協力してくれていた
みんな一人残らず優しい人たちばかりであった
大晦日ともなると、忙しさもピーク
狭い店の仲はお客様の車でビッシリ
やっとの思いで、夜7時
客足がぱったりと途絶えた
終わった・・・
みんなで最後の掃除をして
“ご苦労さん会”
当時は、アルバイトまですべて動員しても7人ぐらい
7人で、事務所の中で
(事務所と言っても、ホームセンターで買ってきた12畳のプレハブ)
酒とビールと袋菓子を買ってきて
“酒盛り”だ
クタクタになった体にアルコールが染みる
あっという間にグデングデンになった
この時のビールが、多分、一番旨いビールである
「オット!忘れていた
ご近所の人から預かったポリ缶に灯油を詰めなくては」
みんなで酔っ払って
菓子で腹いっぱいになって
そろそろ帰る
(飲酒運転かって?そんな昔のことは覚えていない (^_^.) )
私は、頼まれた灯油を入れて
車に積み込んだ
車は店のラッシュが始まる前に
楽しみにしていた初詣に備えて、キレイに室内清掃をしてあった
家に帰る道
やっと終わったという安堵感で涙が出てきそうになる
家に帰り着くほんの少し手前
後方から“灯油の匂い”がして来た
「ずうっと、石油の匂いを嗅いでいたので、鼻に残っているのかなぁ」
いや、ちがう!
ご近所のための灯油が入ったポリ缶から、灯油が漏れたのだ
やばい!
大慌てで車を止め、後部ゲートの中を見る
案の定、一つのポリ缶のフタが割れていた
後部のゲートの中は灯油がたっぷり漏れて
灯油の匂いが充満している
ガックリ来た
しかし、とりあえず家に帰らなくては
あんなに苦労して、仕事をやり遂げたのに
楽しみにしていた初詣が
灯油の匂いが充満した車でなんかでは台無しだ
家にたどり着いてから
車庫で(といっても、もちろん屋根無しである)
灯油が染みた床のカーペットを、引っぺがしに掛かった
灯油の匂いをたっぷり嗅ぎながら
これをやってしまわなくては、終わったことにならない
しかし、それをやっているうちに
無性に悲しくて
だんだん怒れてきて
爆発した!
ベロベロに酔っ払って
疲れと怒りにまかせて、怒鳴りはじめた!
最悪である
醜悪な大声が近所に鳴り響く
醜い言葉が響いた
「くそったれ~、あんたらぁはいいわなっ
あったかい部屋で
あっかいコタツに入って
酒飲みながら、テレビでも見てんだろっ!
こっちとら、もうすぐ年が変わるちゅうのに
車のカーペットはがしだよ
あんたらの灯油が、こぼれちまったんだっ~
くそったれ
俺は~、あんたらみたいに、何日も前から休みじゃなんだよ
今の今まで、死んじまうほど働いてたんだよ
あんたらが、コタツに入っている間も
くそっ寒い外で、必死なって働いてたんだよ~
足なんザ~、痛くって、動かねぇ~ンだよ、とっくに
あんたらはイイよな
コタツん中だもんな~
あったかくっていいよなっ~
みじめだろ~、俺なんて
笑うなら笑えよ
みじめだろ~、こんなこと言ってんの
だれど~~っ
こんな死ぬほどしんどい目しとるけど
俺はかせいでんだっ
山ほど稼いでんだよ~
今日の売り上げ○○○万円だぞ~
すっげ~だろ~
お前らが暖かい目してる間に
俺は、稼いでんだよ~
ざまあみろっ
くっそ~~~~っ
今に見てろよッ、おまえらぁの10倍稼いでやるからな
コタツに入ってろ~おまえら~
くっそ~~~~~~~寒いよ~っ」
涙でグチョグチョになりながら
灯油の匂いにむせながら
でかい声で叫んだ
誰も外に出てこなかった
馬鹿な恥知らずである
破廉恥極まりないキチガイである
せっかくの親切を無にする大ばか者である
人の幸せが憎かった
自分のしんどさが、惨めで、下劣な人間になり下がっていた
アルコールが言わせたのではない
自分の一番弱い部分が言わせた最も醜くい言葉である
私の最も恥ずかしい思い出の一つである
快洗隊の年末ラッシュの様子を見ていて
普段、ネクタイを締めているスタッフが
快洗隊スタッフに混じって
年末のラッシュを一緒に味わっていてくれている様子を見て
長い間、自分の中に封印していたことを書く気になってしまった
来年の年末は
こんな店が直営で5箇所ぐらいになるはずだ
一体どうなるのであろう
一体どんなドラマが待っているのであろう
全国から集まった、たくましきスタッフ達
大阪から、ひょうきん所長、河野さん
仙台から、石川君、来年はお父さん?
東京から、石原君、彼はこの快洗隊の初代所長
同じく東京から、平井君、ビン・ラディンに似ているのは彼の責任ではない
広島から、山本君、現マネージャーH・オサムとトップレーサーを競う
福岡から、最近お父さんになったパパ平山君
本社、開発部部長、なんちゅうカッコしとるのか
本社、IT推進室のパソコンの超使い手、鮫島さん
販売一課の若きエース、藤村君
みんな、人の幸せを憎むような了見の狭い人間は一人もいない
いい奴らだ
これ以上写真が入らないので
他の人と、快洗隊スタッフは、また次回に載せよう
今年は、まだ時間がたっぷりある
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