谷 好通コラム

2003年01月20日(月曜日)

622話 上海.タオル工場

今日の午前中
上海のタオル工場に行った

 

今、洗車用にベストのタオルを作ろうと計画しているので
中国の何箇所かの工場に希望を言って
サンプルを作ってもらっていた

 

しかし、なかなか思った通りのものが出来上がってこないので
現地の工場に行き
現物を見ながら、直接
こちらの希望の仕様を説明しようと考えた
今回上海を訪問した理由の一つである

 

工場は上海の郊外にあった
空港と上海の市街の途中にある工業団地の中
その工業団地は
いかにも中国の田舎という感じで
その風景は、GRIT吉田いわく「水墨画?」であった

 

上海といえば、急速に発展した立ち並ぶ高層ビルを思い出す
華やかな部分も確かにあるが
産業を支えている実際の生産工場は
こんな感じなどであろう
一回目の訪問では経験できなかった

 

工場について早速ミーティング
タオルの織り方などを、大きな虫眼鏡で見ながら
こちらの希望を事細かに説明する

 

普通、タオルといえば
人間が体や顔を拭いたり、手を拭いたりするもの
だから、フンワリと作ることが常識なのだが
洗車用はまったく違う

 

洗車の拭き上げに求められるのは
吸水性と、スカッと拭き跡を残さない切れの良さ

 

なかなか言葉だけで言っても分かりにくい
1時間以上話して、ようやくこちらの要望の意味が通じたようだ

 

「頑張って作ってみます。」と、強く言ってもらい
期待十分と感じた

 

それから工場見学
工場の中は、細かーい糸クズが舞い
決して良好な労働環境とはいえない

 

しかし、そこで働いている人達は
みんな一生懸命であり、そしてみんなとても可愛い人たちであった

 

見ていて
少しだけジーンと来るものさえ感じてしまったのだ

 

まず、糸をよって巻き取り機に巻く

 

そして、それを織っていく
きれいな柄が見事に織られていく様は壮観であった

 

その柄のデザインを作っているコンピューターは
1989年に買ったと言っていた
DOSである
それは5インチフロッピーを使っていた
ぶしつけな私と吉田と荻野は、それを見て大笑い
申し訳ないことをしてしまった
イカンイカン

 

織り上がったタオルは
1枚1枚、おばちゃんたちが工業用ミシンで縫製していく
1枚1枚
それで、月産50万枚だそうだ
1枚1枚縫って、月50万枚

 

思わずため息が出て
「タオルも大事に使わないかんなぁ~」、と思ったのでした。

 

この工場の総経理(社長)TAOさん
ホントに正直そうな人でした

 

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2003年01月20日(月曜日)

621話 上海は霧の町?

昨日の夜、上海のホテルで
インターネットにアクセスしようとして、かなり苦労をした

 

一昨年、ドイツに行った時に、海外からのアクセスを憶えて
それ以来、上海でも、グァムからでも、韓国チェジュ島からでも
比較的苦労せずにアクセスできたのだが
今回は、ホテルの設備を当てにしたところに失敗があった

 

私の海外からのアクセスのやり方
パソコンには“GRIC”という接続ソフトが入れてあるのだが
これに頼ってはダメ
これはただの電話帳としか使わない
現地での市内の接続番号にかけないと、電話代がぶっ飛ぶくらい来るので
その電話帳という意味である

 

私の海外からのアクセス方法
?ホテルの自分の部屋に電話の線をはずして、パソコンにつなぐ
?そのホテルの電話から市内電話をかけるための1桁の発信番号を調べる
?“GRIC”から拾った現地の市内番号を調べる
?アクセスの市内番号の頭に発信番号を付け“,”←カンマをつける
?これでOK。そのままダイヤルしてやれば、市内電話料金でアクセスが出来る
これだけである

 

少なくともこれまでは、これですべてうまく行っている
ところが今度のホテルには、パソコン用の接続端子があったので
何とかそれを使おうと、かえって苦労してしまった
結局よく分からなかったので
いつものように電話の線をはずしてやったら、一発で接続できた

 

あ~あ、である
結局、ジタバタしながら寝たのは深夜1時過ぎ
次の日は予定が決まっていたので
モーニングコールで7時に起きた
5時間半ぐらいの睡眠

 

以前はこれぐらい寝れば平気であったのだが
このところ、体が睡眠を欲しがる
出来れば7時間ぐらい寝たいと思うようになってきたのだ

 

昨夜の紹興酒が残っていて、頭が痛い
しかし、ビジネスで上海に来たのだから、頑張って起きた

 

カーテンを開けたら
上海の町が霧の中にあった

 

ほ~~~っ
と思いながら、空を見ると太陽は上がっている
今日は晴れだ

 

いつものように朝風呂に入って目を覚まし
8時ごろ、みんなと朝飯を食べた
今日はホテルの飲茶のレストランでバイキング
お粥がものすごくおいしかった

 

部屋に戻って
また外を見たら霧が上がってきて
視界が広がり、上海の町の様子が見える
上海はただいま大発展中
古い建物を壊して、どんどん高層建築を建てている

 

9時に上海の人と待ち合わせ
最初の目的地である「タオルの工場」に向かう

 

タオル工場での話は次の話にするが

 

その工場からの帰り道
昼の12時ごろ
また、何となく霧が晴れきっていない
町全体がボヤ~っとしている

 

空は完全に晴れている
晴れきっていて、昼になってもまだボヤ~っしている?

 

これは、ひょっとしたら
霧ではなくて、スモッグか?

写真は、上海の町を分断する大きな川、“黄浦江”にかかる橋を渡る時
前に走るおんぼろトラック

 

ボヤ~~っとしているのが分かりますか?

 

そのおんぼろトラックを見て
一緒に行ったGRIT!吉田君が
「あの車、僕の車と同じだ」と、唐突に言った

 

彼の乗っているのは、ローバーの“ディフェンダー”という珍しい車
珍しいと言っても、希少価値があるという意味ではない
滅多に誰も乗っていないという
イギリスの軍用車
きわめて乗り心地の悪い、よっぽど好きな者でないと乗らないという珍車なのだ

 

その“ディフェンダー”のトラック版が、上海ではおんぼろトラックとして活躍していた
それを見つけた吉田君の複雑な表情が面白かった

 

夕方、今度はわが社のメイン銀行の上海支店を訪れた頃には
霧?も晴れ
上海の摩天楼が素晴らしくキレイに見えた

 

私たちが訪問した銀行の上海支店は、このビルの19階にあった

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2003年01月20日(月曜日)

620話 客は来るもの?

頭の中のチャンネルを変えて
上海行きの飛行機に乗った

 

空港に着くまで、頭のチャンネルが
WBCに残っていた

 

空港に入って、チョッといるものを買い物をしたら
いつもの頭に戻った
態度の悪い店員さんのおかげだ

 

いつもながら空港の売店とか食堂の接客は最低だ
空港という場所の特性から
接客に努力しても、しなくても
結局、原則的に飛行機に乗る人しか、店には来ないけだし
飛行機に乗る目的を持って空港に来た人は
設備としての食堂とか売店を利用せざるを得ない

 

空港の店にとって、「客は来るもの」なのだ

 

これは国際線、国内線に関わらず
たいてい空港の売店の接客は、ほとんど最低レベルだ

 

来る者は来るし、来ない者は来ない
自分の接客は関係ない
空港という立地の特殊性がなせる業だ

 

少し違った例で同じようなことがある
たとえば燃料
燃料は、車に入れなければ車が止まってしまうので
入れざるを得ない
だから
ガソリンスタンドは店を開けてさえすれば
とりあえず車は入ってくる
それが多いか、少ないかは色々な条件によるであろうが
とりあえず客は来る

 

目立った場所にあって、こぎれいな店で
しかも、値段がある程度安ければ
それなりに客は来てしまう
「車が止まらないために、燃料を入れる必要があるのだから
客は来るもの」なのである

 

だから残念ながら
概して、スタンドの接客のレベルはあまり高い方ではなかった

 

素晴らしい立地にあって
ハードもそれなりであって
しかし、接客のレベルがあまりにも低い店でも
ある程度の客は来てしまい
ある時期までは
その程度の客数・販売量でも経営が成り立つほど
口銭(リットル当たりの利益)が十分にあった

 

しかし、ある時
“特石法”という業界を保護する効果のあった法律が撤廃されて
自由化となり、価格競争がフリーになってから
口銭が激減し、競争力のない店が次々と閉鎖されている

 

今日、空港に来る道に
まあまあの繁盛店があった
その店はセルフスタンド
客が自分で給油をするタイプの店である

 

その店は私の記憶では、接客において、ひどい店であった
だから、もったいないぐらいのハードと立地の中で
客数は決して多くなかった
暇な店であったと言ってもいい

 

それが、セルフスタンドになったら
なかなか繁盛しているのだ

 

原因は明白である
セルフスタンドになって、あのひどい接客を受けなくてもよくなったから
客が増えたのであろう

 

あの店を暇にしていたのは
あの感じの悪い、汚いスタッフであって
セルフになり、それがいなくなって
人件費が減った分、値段が安くなった
便利な場所にあったその店は、がぜん繁盛し始めたと言うわけ
その店にとっては、セルフの自由化万々歳であった

 

高い人件費を生かすことなく
かえってマイナスにしていた経営者は、決して褒められないが
時代が味方したということかもしれない

 

燃料は必要なものであって
「客は来るもの」である商売、ガソリンスタンドは
概して接客が弱い
いることによって、かえってマイナスになっているスタッフを抱えているスタンドは
セルフがいいのだろう

 

しかし、みんながそちらに走り、今、価格が著しく落ち込んでいる
人件費を浮かしたぐらいでは
とても補いきれないほど価格が下がって
口銭もひどい状態になってきた
よほど立地が良くて
素晴らしいハードを用意するだけの資本があり
圧倒的な数量を販売しなければ
セルフ化が接客悪いスタンドを救う特効薬にはならない時代でもある

 

発想を変えて
高価格、高技術、高レベルの接客、そして、それを支える素晴らしいスタッフ
こういう路線で素晴らしい業績を上げている店舗もある

 

ガソリンスタンドという業界が
「客は来るもの」と
運命的に、あまり接客のレベルが高くない業界であるとするなら
その中での差別化は、素晴らしい接客
これに勝るものはない

 

「お客様は、来ていただくもの」
これがむしろ普通であり、最も強いものである

 

もう一つだけ「客は来るもの」の例

 

繁盛店が、ある時落とし穴にはまってしまってように
ずるずると業績を落とすことがある
「味がものすごくいい店、ラーメン屋、すし屋、うどん屋、などなど」
「有名なものを独占的に売っている店」
「テレビで紹介されて、すっかり名の売れてしまった店」

 

これらの店は例外なく繁盛している
「行列が出来る店」と呼ばれる店がそうである

 

店を開けたとたんに行列が出来て
店のスタッフは接客と、販売にてんてこ舞い
こういう店のスタッフにとって
ある時から
「客は来るもの」になってしまうことがある

 

接客がどうであろうと
その店の売り物である、「旨いもの」を求めて客は押し寄せてくる
それが当たり前になってくると
ある時、スタッフにとって「客は来るもの」になってしまう
これが、ものすごく危険な事であることに気が付かないと

 

接客が悪くなるのは当然のこと
肝心の“味”まで落ちてくる

 

それでも、客は来る
評判が残っているから、まだ行列は出来ている
しかし、行列を作ってまで食べてもらったものが
マズカッタとしたら

 

接客が悪いのはまだガマンできるが
行列を作った目的であるその旨いはずであったものが、不味かったとしたら
もう次は行かない
そして、「あそこの○○はまずくなった」と、喋る

 

行列が消えるのは時間の問題で
「客は来るもの」と思ってしまっているスタッフには
リカバリーする手立ては何もない

 

やがて客は去って
暇な、かつては行列が出来ていた店として
廃墟のような店が残るだけである

 

現在、快洗隊はおかげさまで繁盛している
今回は、テレビにも取り上げていただいた
調子に乗って、ダメな店になってしまわぬよう気を引き締めなくては

 

奢るなかれ
決して奢るなかれ

 

「客は来るもの」ではなくて
「お客様には来ていただくもの」
そのためには
わざわざ来ていただくだけの意味がある洗車・コーティングを
最良の状態で提供することが、絶対条件である

 

我、奢るなかれ
決して奢るなかれ

 

 

などと書いている間に上海に着いてしまい
まずは、合いたかった頼さんと晩飯を食べた

 

上海のレストランで写真を撮ろうとカメラを向けたら
2台のカメラに狙いかえされた
右の奥にに立っているのが頼さんです

 

 

明日から上海でのビジネスが始まる

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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