谷 好通コラム

2003年03月04日(火曜日)

656話 春一番が吹いて

昼に大分に着いて
セルフSSと快洗隊店舗を現在造っている会社に行き
一生懸命に話をさせてもらい
午後4時半には、東京行きの飛行機に乗った

 

「大変ですね」とよく言われるが
今日のようなケースは、全く大変でも何でもない
朝、早起きしただけで
午前中は楽しいフェリー
しかも、ほとんど瀬戸内を走るので快適そのもの
午後から仕事を2時間ばかり、一生懸命頑張れば
また、移動
楽しい飛行機での旅だ
快適至極

 

むしろ、こんな効率の悪いスケジュール組みでは
たくさんの仕事は出来ない
最近は、インターネットで移動中でも仕事が出来るようになったから、まだいいが

 

移動だけでほぼ一日終わってしまうのは
全く無駄が多いということで、いただけない

 

それにしても
大分から東京への飛行機は揺れた
飛び立つ時も水平飛行中も全く揺れず
平和であったが
東京空港へ下降に入ってからがすごい
ドッタンバッタンであった

 

東京では“春一番”が吹いていたらしく
風速15mであると機内アナウンスで言っていた

 

春一番とは
長い冬が終わって、やっと暖かい春がやってくる時に
一時期、突風が吹き荒れる現象だ
春の産みの苦しみのようなもの

 

その春一番に揉まれて喘ぎ喘ぎ着陸した
JASのエアバスA-300-600SR
この機体
見慣れたJASのカラーではない

 

 

JAS・日本エアーシステムは、JAL・日本航空との合併に向けて
「JALシステム」としての機体にカラーを塗り替えている
段階的な統合で
現場はだいぶ混乱しているようだ

 

JASとJALの経営統合を、私は個人的に好意を持っている
国内線においては、ANAが強くなり過ぎた
いずれはやってくる寡占は
あらゆる面でひずみを呼び、利用者にとっても良い事はきっとない
そう思っていた

 

新生「JALシステム」
今、産みの苦しみを味わっているに違いない
春一番、真っ最中

 

東京に着いて
今日はさすがに、もう仕事はなかった
だから
新婚早々もろとも引越しの転勤をさせてしまった夫婦と
わが息子を誘って
晩御飯を食べに出た

 

場所は築地
初めて行った夜の築地の魚市場は
ギョッとするほど不気味であった

 

 

その魚問屋の間に点々とすし屋がある
その一軒「寿司清」

 

この寿司屋はうまい!
さすが、魚市場のど真ん中にあるだけあって
ネタは抜群
“しゃり”がまた、唸りたくなるほどうまい!
今日食べたのは寿司だけであったが
その工夫がまたニクイ
今まで食べたことのないような寿司が何種類も出た

 

そして最後に
やすい!
回転寿司よりはもちろん高いが
その満足度は、とんでもない違いで
東京に来たら、是非もう一度ここに来たいと思わせてくれた

 

 

寿司屋さんのカウンターは、エンターテイナーでもある

 

 

新婚早々もろとも転勤のこの夫婦は
「シュウ君」と「ユミちゃん」だそうだ (^・^)

 

ユミちゃんは、まだちょっと東京が苦手のようだ
でも、やっと刈谷へのホームシックが少し緩んだそうで
そのうち
春一番のごとく、東京の街を駆け巡る日も近い

 

朝、四国・松山にいて
昼、九州・大分で仕事をして
夜、東京・築地ですしを食う
今日も、またもや楽しい一日であった

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2003年03月04日(火曜日)

655話 貧すりゃ鈍す?

前回の話で
会社が赤字経営になってくると
かえって採算感覚が鈍くなって
経費の節減、仕入れのチェック、増販に対する意欲
赤字の時こそ、しなければならない経営努力がおろそかになり
お金の使い方が投げやりになる
下手すると赤字スパイラルに落ち込む
というようなことを書いた

 

今回は、それとはチョッと違った話

 

会社が赤字になると
商品力を落としてしまう例

 

昨日、松山で泊まったホテルは
間違いなく赤字経営であると感じた

 

設備的にはそれほど悪くない
料金もちょっと高いがまあまあ(7,700円)
いつものインターネット「旅の窓」で探してもらったホテル
(実は、私はこのサイトに登録したパスワードを忘れてしまい
不本意ながらこのところ、事務所のSさんに宿を探してもらっている)

 

部屋も広くはないが、それほど圧迫感はない
しかし、宿泊客は少なそうだ
レストランにも誰もいない
「ここで食事をしたら、いつ仕入れたか解らない材料で料理をするのだろうな」って
そんな感じ

 

フロントには、おじいさんと、入ったばかりであろう若者が立っていた
出来るだけ経費を節減しているのであろう
必要なところだけ照明が着けてあり
あとの不必要なところの照明は消してあった
一見、フロントが“休み”のように見える

 

本館のとなりに新館があって
私は新館のほうの部屋であった

 

新館だけあって、設備は最新である
ロビーは大理石の床、大理石のフロント、シャンデリア
ただし、誰もいなかった

 

チェックインなどの業務は、すべて本館のフロントで行い
新館のロビーには誰もいないし、何も置いてない
売店も閉めてある
フロント業務の合理化なのであろう
その様子は結構不気味である

 

部屋には、最新設備
枕元ですべてがコントロールでき
しかも部屋のテレビとは別に、枕元にもすごく小さいテレビが付いていた
(写らなかったが)

 

冷蔵庫には何も入っていない
これは、ビジネスホテルでは当たり前で
何階かに自販機があって
飲み物などをそこで買ってきて、自分の部屋の冷蔵庫に入れる仕組みだ
ところが
新館のどこにも自販機はない
本館に行っても自販機はない
それは、道路に面した外に置いてあった
自販機は外に置いた方が、通行人も買ってくれるはずだから
よく売れるだろうと考えたのか

 

部屋の掃除も決して行き届いているとは言えない
極端な人件費削減を行っているらしい

 

タオルは全部濃い青色、シミがあっても解らない
しかし、ビジネスホテルには珍しく
風呂に「ヘアートニック」「ヘアリキッド」「アフターシェープローション」の
ミニボトルのセットが置いてあった
これは、きっと
大量購入したものの不良在庫になったものだろう

 

新しいのに、なんとなく汚い
とにかく不気味なホテルであったのだ

 

いろいろな事情で客足が減ったのであろうこのホテル
経営努力として
経費節減、それも一番効果的な人件費の節減を徹底的に行ったのか

 

それはそれとして正解であろう
売り上げが落ちているのに、何の努力もしないのでは、話にならない
特に人件費は、経費の中でも最も大きいものだ
ここに手を着けないで、経費節減は絶対出来ない

 

しかし、それを下手に行なってしまった結果
「快適な宿泊」「利便性」というホテルの商品そのものの
商品価値を下げてしまっている
これでは元も子もない

 

人件費の削減で
ただ単に人数を減らすだけでは経営改善に全くならない

 

人員を減らす時には
「理にかなった業務の効率化」「スタッフのスキルアップ」
この二つを伴うことが絶対条件である

 

能力とモチベーションの低いスタッフが大勢でやる仕事と
高い能力を持った、やる気のある少人数のスタッフがやる仕事では
後者の方が、圧倒的に質の高い仕事が出来るものだ

 

過去の甘い状況での仕事に
慣れてしまっているスタッフを、たくさん抱えている場合
企業は再構築(リストラ)をするが
「少数“精鋭”体制」にするという肝心な努力を怠り
ただ単に人数を減らすのだけでは
仕事の質、商品の質を下げることになって
なおいっそう売り上げを減らし
利益を減らし

 

やはり赤字スパイラルの中に落ち込んでいくことになりかねない

 

企業の再構築
リストラクチャリングが目的の人員削減は
きちんとその本質を認識した上で実行すれば
少数“精鋭”体質を作り出す、絶好のチャンスでもあるが

 

経営者が「赤字経営におびえる」だけで、「客の満足度に鈍くなり」
商品価値の無意味な低下につながるような
単純な人員削減、人件費削減は
「貧すりゃ鈍す」
企業の再構築でもなんでもなく、ただの自滅型企業縮小でしかない

 

その意味でも、今の厳しい状況の中
企業の優劣に差が、なお一層出る時代なのであろう

 

自省の意味を含めて、私自身、よく考えなければならない

 

 

ただいま松山から大分へのフェリー
ダイヤモンドフェリー・神戸⇔松山⇔大分の便
「クィーンダイヤモンド号」の中だ

 

神戸からの到着が強風のために遅れ、松山港を40分遅れて出発
※松山港に入港するフェリー

 

 

2等客室とは雑居部屋で
一人分の居場所は、幅・約60cmのマットの上
しかし、今日は空いていたため3人分は占拠できる、快適だ
(前話で乗船料1,300円と書いたが、あれは割引料金。2,600円が正解でした)

 

 

※ラウンジ

 

 

※松山を出港直後、松山空港に降りる飛行機が見えた

 

 

※ほぼ瀬戸内を走るこのフェリー、まったく揺れもせず快適そのものでした。

 

 

4時間と少しで大分港に到着
九重連峰と別府の街がきれいに見えた

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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