2003年03月20日(木曜日)
668話 2周半の爽快感
今日はMINEに行った
久しぶりに元気の素の仕入れ
つまり、私の数少ないストレス発散・元気の素「レース」の練習だ
4月6日(日)に今年初めての「MINEジュニア耐久レース」がある
通常ならば、土曜日にサーキットに入り
そこそこ練習をしてから本番に臨むのだが
今回は、土曜日に営業の全体ミーティングがあって
どうしても、土曜日の夜遅くにしかMINEに入れない
だから、前もって少し練習をしておこうと思ったのだ
かなり前から準備周到に時間をひねり出していた
上手に前後を仕事で固めて、時間のロスを最小に
(長々と言い訳)
昨日の夜遅く“小郡”の駅前のホテルに入り
朝一番、ホテルに預けてもらっていたレンタカーで
MINEに向かう
快晴だ!
久しぶりの快晴である
私は、ここのところMINEに来るたびに雨に降られていた
しかし
今朝、起きて窓を見た時
空いっぱいに広がる青空に、「やったー!」と思わず叫んだ
ちょっとだけ胃にもたれ感があったが
あとは体調もばっちり
車に乗ったときの外気温は8℃
ほぼ無風
最高だ、一番タイムが出やすいコンディションである
久々に期待できそうだ
サーキットに着いたら
見覚えのある顔が・・・
H・オサムではないか
そういえば、明日、知り合いの結婚式があると言っていた
一日早く来て
奴も、久しぶりに走りたかったようだ
照れくさそうに「来ちゃいました」と言う
口は申し訳なさそうだが、顔はめちゃくちゃうれしそう
考えてみれば
彼は、今年の正月休み以来、まだ一日も休んでいない
2ヵ月半ぶりの休みだ
そういう私も今年まだ3回目の休みだが
彼もやっと、思い切って休む気になったのか、とある意味ではホッとした
今日のサーキットの予定によると
私たちの車が走れるのは、25分が5本だけ
とりあえず走ることにする
がしかし、困ったことになった
「荷物が届いていない!」
私はいつも
レーシングスーツとか、ヘルメットはかさ張るので
仕事ついでに持って回るには困るので、宅配便で前もってサーキットに送っておく
それが着いていない
困った
これではせっかくサーキットまで来たのに走れない
一昨日会社から送ったのだが
「19日必着」とするのを忘れていたらしい
送った人に聞くと「いつも翌日には着いているので、今回は必着としなかった」と言う
いつも必ず翌日に着いていたのは
「○○日必着」としていたからで
いつも着いていたから、と“必着”としなければ着かないのは当然だ
泣けてきちゃう
どうのこうの言っていても、仕方ないので
とりあえず1本目は
H.オサムに乗ってもらうことにした
走り出した彼は、すぐに激走モードに入っている
彼にとってのこの何ヶ月間は、初めてのことばかりであり
しかも、ひとつの会社の最高責任者としての行動を求められ続けたので
かなりのストレスが溜まっていたに違いない
その鬱憤をこの時とばかりに晴らさんと
燃えて走っているのだろう
コースインしてから
2.3周目に1分45秒台に入り、ものの5周も走らないうちに
なんと“44秒台”に入る
これは、一発勝負の予選タイムに匹敵する走りだ
コースコンディションが良かったことと
タイヤが、彼の大好きなニュータイヤであったことを差し引いたとしても
何ヶ月かぶりに走って
すぐのこのタイムが出せるのは
さすが、レースにおいて私の師匠?である
それだけ気合が入っていた、ということでもあるだろう
ところが、そのベストタイムを出した後
突然タイムが落ちた、47秒台が続く
10周目ぐらいにかかったところで
何を思ったのか
突然ピットロードに戻ってきた
走行タイム終了のチェッカーフラッグはまだ出ていない
「すわ、故障か?事故が?」
戻ってきたH.オサム
車から降りてきて、なんとなく元気がない
小林メカが「どうしたん?」と聞く
H.オサム「花粉症が出ちゃって、クシャミが止まらなくなっちゃった」
と、グスングスンしている
目は、なみだ目
「シケインでクシャミが出た時には、スピンしそうで怖かった~」とも言う
何ヶ月ぶりかの思いを込めた激走は
花粉所であっけなく終わった
・・・同情というより
これは・・・・・アホらしかった
(以前、私も花粉症かもしれないと書いたことがあるが、
あれはただの一寸した鼻かぜであったことを、ついでに報告しておく)
そうこうしている内に
宅配便のドライバーにいつ頃着くのか問い合わせたら
「昼の2時過ぎになっちゃいます」とのこと
それでは最後の走行枠1本しか走れない
何とか交渉して、午後一番に持ってきてもらうことになったが
果たしてどうなることやら
「あっちゃ~~」
花粉症のH.オサムがうれしそうに言う
「社長、そのまま走ったちゃったらどうです?
ジャンバー着てるから上着はOKですし、ズボンは見えないから大丈夫っすよ
それでヘルメットかぶって、グローブ貸しますから
大丈夫ですよ。走っちゃったらどうです?」
そういう、いい加減な提案には
私は断固として
「そりぁあ、まずいだろう」と言いながら
とりあえず事務所にヘルメットを借りに行ったH.オサムを、止めようとはしなかった
で、借りてきたサーキット備え付けのヘルメットをかぶって
奴のドライビンググローブを借りて、はめて
シートにためしに座ってみた
・・・・・・
別にどおってことない
上は、ワイシャツに快洗隊ジャンパー
下は、スーツのズボン
靴は、普通の革靴
ためしにアクセル、ブレーキ、クラッチを踏んでみる
ついでにヒールアンドトウもやってみる
ハンドルの回し具合、シフトの具合
別にどおってことない
「まっ、いいか」
ちょうど走行の時間になっていたので
ついでに、エンジンをかけて走り出してしまった
(またもや長い言い訳)
快調である
すこぶる快調である
借りてきてかぶっているヘルメットは、いつもの“フルフェース”ではなく
“ジェット型”といわれる前がないタイプ
すこぶる視界が広くて
しかも、呼吸がむちゃくちゃ楽である
「こりゃいいわ」
調子に乗って、飛ばし始めた
最初の1周半は、ナンバー付の遅い車を用心深くパスする
それでも、1分49秒台
タイヤもいつになく、いい感じでグリップする
苦手だった第3コーナーでもアクセルをいつもより踏める
この調子なら
夢の45秒台も、現実味が沸いてくるような気がする
こんなリズムの時が最高なのだ
3周目からが勝負
走り始めて3~5周目ぐらいが最もタイヤの状態が良く
予選の場合でも、ベストはここで出る
1コーナーもスピードに乗ってパス
バックストレートでの3速から4速へのシフトアップも
スピードに乗っている時のポイントでパス
「よっしゃ~~~」と気合が入る
2コーナーへのブレーキングは、タイヤを信じてかなり深く取った
4速→3速→2速へのヒールアンドトウ、シフトダウンもスムーズ
2コーナーを高い旋回速度でパスできたので
3速にシフトアップしながらの苦手の3コーナーも
いつになくハイスピードで回れた
しかも、アクセルを開けるタイミングもピッタシ
スピードが乗っているので
3コーナーを抜けた出口では、車がコースいっぱいにふくらみ
左輪を縁石に乗せながらパス
これは絶好調の時の証でもある
ヘアピンもまあまあ
視界が広いので、すごく余裕を感じる
ヘアピンを抜けて、立ち上がり
2速から3速に上げてしばらくした所で
「ガッガガッ」と異音が一瞬出た
それまでも、いつもと違うヘルメットのせいで
いつもより音が大きく聞こえていたので、そのせいかと思い
あまり気にしなかった
そのまま、第2ヘアピンから
シケインに向かう
2速から3速へ上げて
シケイン手前でのフルブレーキを掛けるホンの少し手前で
スコンとトルクが抜けた
あれっ?て感じでパワーが無くなったのだ
ほんの一瞬のことである
そして、ヘアピン後に聞いた「ガッガガッガガッ」と異音が再び鳴っている
すぐにコースを外して
ダートをゆっくり走る
ためしに、2速、3速、4速とギヤを入れてみるが
入ることは入る
「デフかな?」と思いながら
ゆっくりと、2速でコース端を走って、ピットに戻る
早速、小林メカが車にもぐって調べてくれたが
その結果
「3速が死んでいる」
ギヤ、つまりミッショントラブルである
今日はここで、ジ・エンド
おしまいである
ひとつのギヤが完全に死んでしまったので
ミッションを交換するしかない
今日中には、どうしようもない故障なのだ
それから長~い時間
昼からやってくる清水さんを、昼飯を食べながら待って
(サーキットのカレーはこんなに少ないのです。許せん少なさ)
いろいろ、今年のスーパー耐久のことについて話し合って
昼過ぎに別れた
今日付き合ってくれた大崎君とその愛息
今は、新幹線の中
そろそろ新大阪から京都に着くころ
まだ、外は明るい
明るいうちに名古屋に着いてしまうかもしれない
本当なら、MINEで5本ビッチリと走り込んで
体中に心地よい疲労をいっぱい楽しみながら
深夜、名古屋に帰り着くはずであったが
残念ながら
体にはひとっかけらの疲労も無く
もうすぐ新幹線が京都に到着するというのに、外はまだ明るい
たった2周半
でも
確実に爽快であった
かなり苦労しながら強行軍をこなして
時間をこじ開けてのMINE行き
それが残念なトラブルでチョイの間のサーキット走行であった
しかし
後悔などまったく無い
たった2周半であったのに、間違いなく爽快感に満たされている
また、無理してMINEに行こう
まだまだ“元気の素”が、足りない!
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